読者投稿2000句から厳選!かが屋・加賀&放送作家・白武の「エロ自由律俳句」第4回



想像をかきたてる白武の句

“ガラスが全て見せてくれた”。これは、「着替えるからあっち向いてて」と言われて向いたけど、ガラスに全て映っていたという情景を詠んでいます。これ、読者の自由律俳句の中に「水槽」という単語を見つけて、そういえば“水槽が全て見せてくれた”ことも過去にあったことを思い出しました。

ほぉ〜……。

水槽のほうがなんか、魚という本来見るべきものがあるものに反射してるので情景的に素敵かなとも思いましたね。

なるほど、これは奥ゆかしいですね。

読者からインスパイアされました。

いいですねぇ〜。読者の影響によって僕たちの句がよくなっていくっていう(笑)。

かが屋・加賀
かが屋・加賀

次の“こちょこちょから怪しかった”

これは、女性から迫ってるのか、こちら側の反応なのか……。

女性からの仕かけですね。高校1年生のときに、近くのマンションに北海道から引っ越してきた中学3年生の女の子がいて。北海道ではすることがないからってすごいエッチをしてる子だったんです。その子が「いま何してるの?」って聞いてきて、夜その子の家に遊びに行って映画観てたら、こちょこちょを何回も仕かけてきて。よく考えたら最初から怪しかったなと……。

うわぁ〜、なんじゃその思い出! この子はもうエッチなことを知ってる子だったんですね。

つづいて“ジャンル一覧にはなかった”は、僕が見たいものがジャンル分けされていなかったときに少しマイノリティだと感じるというか。括るほどではない、「見過ごされる趣向なんだな」と思うという句です。

次の“霧雨で足を洗う”。僕、海を見るのは好きなんですけど、入ったり遊んだりするのは好きじゃなくて。

とてもわかります。見るのとか海の音を聞くのは好きだけど、遊んだ記憶はあんまりないですね。

でも入るのは嫌いだけど、海辺で遊んでて汚れた足を霧雨のシャワーで洗ってるのとか見たかったよなぁと。

うわぁ〜! それはめちゃくちゃいま想像しちゃいました。女の人の足ですね。

同じテイストで、“砂のトンネルが開通して触れた”。これは小6のときに公園の砂場で遊んでて、意図せず好きな女の子と手が触れて目が合う瞬間があって。大人になってもビーチに行ける人はこういう体験がまだできるのかもしれないけど、僕は海が苦手だからもうこれからの人生では…。

確かにもう訪れないかもしれないですね。

加賀「想像の中ではいくらでもモテられる」句

“透けて平気なばあさんとばあさん”。思わず「おっぱいが大きいな」と感じてしまうばあさんはよく街で見かけると思うんですけど、ブラジャーを着けてなくて透けても平気なばあさんは、同じく透けて平気なばあさんと仲よくなると思うんですよね。

(笑)。類友的なことですか。

ばあさんになっても身だしなみをきっちりしてる貴婦人はいるので、そういう人はブラジャーを着けないばあさんとは仲よくなりづらいんですよ。つまり、透けて平気なばあさんを辿っていけば、透けて平気なばあさんがいっぱいいるところに行ける、という妄想です。

次が“唇腫らしてそれぞれオフィス”。エレベーターの中で同僚とものすごいキスをしたあとで、何事もなかったかのようにそれぞれのデスクに戻っていく。自分だけが気づくくらいのわずかに唇が腫れているふたりが、お互いを見やりながら微笑み合うという画が浮かびました。

我々は就職活動に背を向けたことで、そういうことを経験しない人生を歩んでいるのが少し悔しいですね。あり得たかもしれない別の世界線に想いを馳せてしまいます。

こういうエッチな体験してみたいですね。つづいての“制服持って帰ってみる”は、アルバイトや仕事の制服を、使う使わないは別として「1回ちょっと持って帰ってみよう」という内容の句。コスプレの衣装では出せないエロチシズムです。

次の“湯を抜いたバスタブで狭がる”はストレートですね。外に出ればいいだけの話なんですけど、狭がりながら濡れた唇を寄せ合っているというのがいいと思います。

なるほど。これは読者からしたら、モテてる側の人が詠む自由律俳句だと思ってしまうかもしれませんね。

その認識で問題ないです。想像の中ではいくらでもモテられるので。僕見つけちゃったんです、自由律俳句の中だとモテることもできるって。僕は今回の句会のなかで奥さんにも高校教師にも、校長先生にもなることができました。役者みたいな感覚です。

最後の“たたずぬれず寄る”は、僕の理想を詠んだ句です。勃ちもせず、濡れもせず、お互いに身を寄せ合っている状態が一番素晴らしいんじゃないかと思いまして。ここにずっと憧れがあります。

でもねぇ〜、これだけですまなくなってくるのがまた人間の性(さが)といいますか。僕はだから、この句に対しての確信を持てないと結婚に踏み出せないなと思っていますけど、その考えすらも浅はかだと女性から思われる可能性もありますよね。

そうですね、ちょっとこの句は男性的な視点が介在しているのかもしれません。

読者投稿からの傑作選:加賀&白武セレクト


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原 航平

(はら・こうへい)ライター/編集者。1995年生まれ、兵庫県出身。映画好き。『リアルサウンド』『クイック・ジャパン』『キネマ旬報』『芸人雑誌』『メンズノンノ』などで、映画やドラマ、お笑いの記事を執筆。 縞馬は青い

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