安達祐実×桑島智輝、1万枚以上の写真で記録された夫婦の物語
写真家の桑島智輝が、妻・安達祐実を日々撮影した何万枚もの写真の中から、400点以上を展示した写真展「前我我後」が開催中だ。他人と夫婦になり、共に人生を歩むとはどんなことなのか。日々の変化、感情の揺らぎ、過ぎていく時間……あらゆるものが写り込む写真の数々は、“夫婦愛”とひと言で表現するにはあまりにも濃密で、生々しい記録である。
写真展の開催によせて、2015年から2019年までの日々を捉えた写真集『我我(ガガ)』について、『クイック・ジャパン』vol.145(2019年9月発売)に掲載されたふたりのインタビューを転載する。
なぜ日々、写真を撮りつづけるのか?
2015年11月13日の結婚記念日から出産を経ての3年間に焦点を当て、アルバム70冊(18,500枚)から厳選した写真集『我我』。自宅で、旅先で、安達を記録しつづける夫・桑島智輝。写真家/被写体という関係が夫/妻へと変化してもなお、写真を介して愛情を確かめ合うふたりに、夫婦の関係性、写真への思いを聞いた。
――そもそも桑島さんが安達さんを撮り始めたきっかけはなんだったんですか?
桑島 安達さんが芸歴30周年を迎えたときに、作品撮りみたいな感じで始まったんですよね。写真が溜まってから本にしたり写真展をやったりして。当時はやっぱり「安達祐実」っていうものがすごい強かったから、単純に撮ってて楽しかったんですよ。
安達 その写真集が出たときに付き合い始めた、くらいですかね。
――最初は仕事だったのが結婚にまでつながったんですもんね。
安達 そうですねえ。私たちの間に写真がなかったら、そもそも夫婦にもなってないと思うし、もし今写真が消え去ったら、それもろとも夫婦関係も消え去ると思うんですよ。撮ったり撮られたりすることがなければ、関係が成り立たないみたいな。それぐらいの感じはあります。
桑島 この関係があるからこそ写真を撮り続けられるっていうのもある。
安達 ほかの人は撮るんだけど私は撮らない、っていうことになるとバランスが崩れる感じはしますね。目に見える愛情の秤じゃないですけど。
桑島 撮らなきゃ愛がわからないってのがありますよね。言われなくてもわかるじゃんというのが通用しないので(笑)。
安達 そうだね。撮らなくなったらまあ「そういうこと」なんだろうなって(笑)。
――毎日撮り続けることで、いい距離感を保って確認し合えているんですね。
安達 考えて言葉にするとそういうことですね。でも日常のなかで、撮ったり撮られたりする行為はごくごく自然なことですよね。だから、毎回それを意識しているわけではないと思います。
桑島 撮りまくってるわけじゃないですよ。深追いはしないし、仕事みたいに何枚も撮るわけじゃない。一枚撮れば記録として残りますから。「あ、今いいな」って思ったところで撮って、それが暗くてもなんでも、シャッターを切ることがすごい大事で、写ってなくてもいいんですよ。真っ黒の写真になってもいいから、そこでちゃんと押したってことを記録として残していくっていう行為が大事だと思います。
出産前後、感情の変化
――今回の写真集は出産前とあとで、大きく雰囲気が変わる作りですね。
安達 うんうん。産む前は鬱屈した部分がけっこうあったかも。
桑島 鬱屈してるし、このときは写真自体も「こう撮らなきゃいけない」って思って撮ってる感じだったね。
――妊娠中、撮られることに抵抗を感じたりしなかったんですか?
安達 撮られること自体が嫌だなと思ったのは一度もないです。ただこの時期、仕事と家庭のバランスが不安定だったっていうのはあるかもしれないですね。私は離婚経験もあるし、子供もいるし、次結婚するときはこうであってほしいっていう理想が強くあったんですよ。それがうまく叶っていかない不安やもどかしさというか。
桑島 僕は超絶マイペース。自分の動きを変えられないんですよ。本来ならばそれを改め直すべきなんですけど、できなくて怒られて、ちょっと修正するけどまた元どおりに戻ってまた怒られて。
――そういった不安や怒りのなかでも撮りつづけていたわけじゃないですか。どうやってカメラを向けるんですか?
桑島 そこは臆さないっていうか。僕自身は怒られるけど、写真は特区みたいなもので怒られないから。
安達 写真を撮るっていうことはくしゃみしたりまばたきしたり、っていう生理現象と同じだから。
桑島 だからそこは許されてるっていう感じでしたね。
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