北山耕平インタビュー「新しい意識、新しい新聞」(赤田祐一)【第3回】自分たちの新聞を作ろう

2020.5.17

イーグルスが教えてくれたこと

――たとえばパンク・ロックなんかだめなんですか。あれは都市の生み出したものですが。

北山 パンク・ロックっていうのは、別にパンクじゃないと思うんだよね、俺は。ロックは始めからぜんぶパンク・ロックだしさ。そう言ったら、ロックっていうものはさ、常に再生を繰り返してるから、その再生のときにそれがパンク・ロックであるというふうに呼ばれたし。ずっとつながってるものだと思うよ。ロックの延長線上にあるものだよね。俺、クラッシュとか、最初の頃は好きだった時期があるし。ただ、都市型のロックっていうのはさ、都市にいる人にとってはリアルなのかもしれないけど、都市にいない人たちにとっては、まったくリアルじゃないんだよね。だから、都市の音楽だろうなと思うわけ。特に、ある種の都市に住んでる世代の音楽なんだよね。

『Quick Japan』(飛鳥新社)創刊準備号(1993年8月1日発行)。グラフィックス=羽良多平吉

――北山さんの『写楽』に書かれた一連の文章をみると、やっぱりビートルズとか、ディランとか、『ローリングストーン』が応援していたアーティストを応援するような感じが強いですね。ジョン・レノンのことも、ずいぶん……。

北山 ジョン・レノンのことは、書いてくれっていう人たちが、結構いてね。地球とつながってるロックがいいよね、俺は。やっぱり、自分として、好きなのは、イーグルス *23。イーグルスには、ほんとにお世話になったと、今でも思ってるんだよね

――「ホテル・カリフォルニア」(1976年)ですか。

北山 違う、もっと前、「テイク・イット・イージー」(1972年)とか、あの時代からずっと。だって、イーグルスがいなければ、自分はロサンジェルスに行こうとは思わなかった。イーグルスに会いたいために、ロサンジェルスに行ったみたいなところがあるから。で、彼らのおかげで、自分は砂漠(デザート)というもののありがたさを知ったし、砂漠に入っていくことの、ある種、特殊な経験みたいなものをさせてもらったから、その意味ですごく、俺にとっては大きかったと思う。

――片岡義男さんにとって天啓を与えたエルヴィス・プレスリーが、北山さんにとってのビートルズとイーグルスみたいな。

北山 そう。イーグルスってのは、70年代のビートルズだよね。ビートルズのある部分を引き継いだことは確かだから。パンクっていうのも、ビートルズの、ある部分を引き継いで出てきてるよね。それぞれがまた違う道を引き継いでる。ビートルズは、ほんとに、いろんな可能性に向かって爆発したから、それぞれがどこを引き継いだかによって、そのあとの道がみんな違ってくるのは当然だと思うよ。ボブ・ディランだって、ビートルズの影響受けてる部分が大きいしね。

――日本のバンド、ザ・モッズなんかも、聞いてらしたんですか。

北山 モッズは、俺、インタビューしてたからね、最初の頃。『写楽』で、ずっとインタビューしてたのは、モッズだったからね。

――『写楽』では、モッズの4人が並んでて、モッズのバイオグラフィーと少年犯罪のバイオグラフィーを交互に並べたページがありましたね。あれは、最高でした。

北山 そうだね。ああいうのをやらせてくれたってのは、ありがたかったよね。どうやったらみんなに伝えたいことを伝えられるかということが、やっぱり編集の技術でしょ。

――あのスタイルには、たまげました。

北山 ただ、年長者には、わけわかんないことだよね。世代の断絶っていうのは、いやおうなく、あの当時からあるわけでさ。おもしろいけどね。ただ、自分はやっぱり自分と同じ道の上にいる人が、好きなんだろうね。同じものを探してるような人たち。あと、やっぱり、アメリカ・インディアンの、とくにローリング・サンダー *24 っていう人が、俺に与えた影響ってのは大きかったと思うな。それ以前と以後では、やっぱり、かなり、考え方もはっきりしてきたしね。

――転機みたいな感じですか。

北山 そう、使用前・使用後みたいな感じで。マリワナよりも強烈だったよね、あの人の存在のほうが。ただ、マリワナも強烈だったけどね。

――やっぱりそういう方向に傾倒されてからの北山さんというのは、すごく“オカルトの人”みたいなイメージが強いんです。僕は、もっと北山さんに、元気のいいジャーナリズム――さっき言った『写楽』の、少年犯罪とモッズを交互に紹介していくみたいなことをやってほしいんです。

北山 だって、そういう意味では、常にそれをやってられないから。自分の場合は、やっぱり、エネルギー充電してるときと、出してるときとに分かれてくるんじゃないかな。この10年間、新しいメディアが出てくるのを、待ってたことは確かだよね。自分が仕事したいと思えるような雑誌が出てきてほしいなと思ってたけど、結局出てこないよね。メジャーの中からも、生まれようとしなかったし。

*23 イーグルス…70年代のアメリカ西海岸を象徴するロック・バンド。アルバム『呪われた夜』は、カルロス・カスタネダの著書『ドン・ファン』シリーズの雰囲気をたたえる。

*24 ローリング・サンダー…インディアン共同体の老師のこと。北山耕平は、76年に渡米したとき、この老師に運命的に出会うことで、アメリカ・インディアンの世界の見かたに触れたと言う。詳細は北山耕平の訳書『ローリング・サンダー』(平河出版社)を読まれたい。

「イメージ・スーパー・マーケット」


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