【天心vs武尊】“世紀の一戦”今さら聞けない3つのポイント「本当に負けたらすべてを失う?」

2022.6.18
那須川天心・武尊『THE MATCH 2022』

文=神宮寺しし丸 編集=田島太陽


2022年6月19日(日)、東京ドームで那須川天心vs武尊をメインカードとする格闘技イベント『THE MATCH 2022』が開催される。

1991年生まれの武尊(鳥取県米子市出身)、41戦40勝1敗。
1998年生まれの天心(千葉県松戸市出身)、41戦41勝無敗。

このふたりの対戦は、なぜここまで話題となっているのか?

格闘技メディアでの執筆やリングアナとしても活躍し、『アメトーーク!』(テレビ朝日)の「キックボクシング大好き芸人」にも出演したお笑い芸人の神宮寺しし丸が、この試合の見どころを3つのポイントで解説する。


ポイント(1)なぜ実現に7年もかかった?

那須川天心、武尊
『THE MATCH 2022』発表会見。左からRISEの伊藤隆代表、那須川天心、RIZINなどを主催するドリームファクトリーワールドワイドの榊原信行代表、武尊、K-1プロデューサーの中村拓己

武尊はK-1、那須川天心はRISE。ふたりは別々の団体所属です。K-1は基本的に他団体と交流しない方針。交流せずとも自分たちだけでやっていける最大手の団体なのです。そのため、K-1のリングに上がる選手はK-1所属選手のみ。その方針から、実現までの交渉が難航したと言われています。

お笑いでたとえると、「M-1グランプリ」に吉本興業所属の芸人しか出れないような感じ。

さらにK-1は「我々のやっていることはキックボクシングではなく、K-1という新しい競技」という定義を掲げております。お笑いでたとえると「我々のやっていることは、漫才ではなく、M-1という新しいお笑い」といった感じ。

この方針にはファンから賛否両論あるものの、K-1が業界最大手であるという事実があるので、それほど間違った策ではないのかも。好き嫌いは別として。

対戦実現に至るまでの7年間の経緯は、こちらの記事でまとめています。
天心vs武尊、なぜ“世紀の一戦”? 愛憎の7年間を名言で振り返る

これを読めば、土壇場での地上波(フジテレビ)放送消滅も「それが何か?」と思えてきます。それほど、この一戦が実現するまでにはいろいろなことがありました。

ポイント(2)なぜ武尊はK-1を辞めなかった?

7年間の経緯を振り返ると、「K-1が嫌いになってきた」という人もいるかもしれませんが、ちょっとたんま!

かたくなに他団体と交流しないK-1の方針の好き嫌いはさておき、この方針があったからこそ「那須川天心vs武尊」は異常なほどファンの観たい心理を掻き立て、東京ドームのメインカードとなり、300万円のチケットが完売する盛り上がりとなったのです。言わば「世紀の一戦」の立役者はK-1なのです。やはりK-1サイコーなのです!

ここで素朴な疑問。どうして武尊は頑固なK-1を辞めてでも那須川天心戦を実現しなかったのか? お答えしましょう。

K-1という厳格な家庭に育った武尊。そこに現れた那須川天心というヤンチャ坊主。ふたりはお互い惹かれ合います。しかし、親(K-1)を裏切って駆け落ちするという選択を、武尊はしたくなかった。親が大好きだからです。那須川天心と結ばれるときは両家(K-1とRISE)の了承を得て、みんなに祝福される形で結婚したいと考えていたのです。

そして、7年間という長い時間をかけて2022年6月19日、ふたりは晴れてゴールインならぬリングイン、となったのです。


ポイント(3)本当に“負けたらすべてを失う試合”なのか?

最前列300万円という異常な値段設定も、東京ドーム約6万枚のチケットは即日完売。お互いの所属団体であるRISEvsK-1の対抗戦ということもあり、空前の盛り上がりを見せる那須川天心vs武尊の『THE MATCH 2022』。

現在SNSでは、ルール的にはどちらに有利だ、体重はどちらに不利だと、天心ファンvs武尊ファンで論戦となっています。

この試合は当日の6月19日だけの勝負ではなく、この7年間の勝負でもあったと思うのです。7年間の勝負で、交渉に有利なAサイドを勝ち取ったのは那須川天心だった。しかし、すべての勝負が決するのは6月19日です。7年間の勝者でも、この一日に負ければ敗者です。

格闘技の試合で負ければすべてを失う。それはそうなんですが、本当にすべてを失った選手を見たことはありません。負けた選手も数カ月後には再起戦の舞台が用意され、さらにリベンジ戦の機会が与えられる。必ずそこには“救い”がありました。

しかし、この試合で負けたら……。その後どれだけの実績を積もうが、この敗戦を取り返すことはできない。そこに“救い”は存在せず、正真正銘「負ければすべてを失う」試合。

ふたりの男の7年間、いや人生のすべてを懸けた戦い。それが”世紀の一戦”那須川天心vs武尊です。

神宮寺しし丸
(じんぐうじ・ししまる)太田プロダクション所属のピン芸人。プロレス・格闘技観戦歴38年。事務所の先輩、劇団ひとりに溺愛されていることでも有名。お笑い芸人として活動する一方、格闘技ライター、リングアナウンサー等でも活動。自身のYouTube『神宮寺しし丸チャンネル』では「今週の格闘技“裏”ニュース」として格闘技の裏ネタ等を配信中

【関連】無敗女王の肉体美!人気格闘家・ぱんちゃん璃奈が写真集を発売

大会概要:『THE MATCH 2022』

那須川天心、武尊

日程:2022年6月19日(日)
会場:東京ドーム 
時間:11時開場/13時開始 ※オープニングファイトは12時30分開始(予定)
主催:THE MATCH 2022 製作実行委員会
※『ABEMA PPV ONLINE LIVE』にて全試合独占生中継


この記事の画像(全6枚)




この記事が掲載されているカテゴリ

神宮寺しし丸

Written by

神宮寺しし丸

(じんぐうじ・ししまる)1975年生まれ、大阪府出身。太田プロ所属のピン芸人。1997年から芸人活動。途中、人材派遣会社の社長を経て芸人復帰。格闘技専門誌でライター、大会のリングアナを務めることも。365日の花言葉を言う“お花くん”としても活動。YouTube『神宮寺しし丸チャンネル』『お花くんチャ..

CONTRIBUTOR

QJWeb今月の執筆陣

酔いどれ燻し銀コラムが話題

お笑い芸人

薄幸(納言)

「金借り」哲学を説くピン芸人

お笑い芸人

岡野陽一

“ラジオ変態”の女子高生

タレント・女優

奥森皐月

ドイツ公共テレビプロデューサー

翻訳・通訳・よろず物書き業

マライ・メントライン

毎日更新「きのうのテレビ」

テレビっ子ライター

てれびのスキマ

7ORDER/FLATLAND

アーティスト・モデル

森⽥美勇⼈

ケモノバカ一代

ライター・書評家

豊崎由美

VTuber記事を連載中

道民ライター

たまごまご

ホフディランのボーカルであり、カレーマニア

ミュージシャン

小宮山雄飛

俳優の魅力に迫る「告白的男優論」

ライター、ノベライザー、映画批評家

相田冬二

お笑い・音楽・ドラマの「感想」連載

ブロガー

かんそう

若手コント職人

お笑い芸人

加賀 翔(かが屋)

『キングオブコント2021』ファイナリスト

お笑い芸人

林田洋平(ザ・マミィ)

2023年に解散予定

"楽器を持たないパンクバンド"

セントチヒロ・チッチ(BiSH)

ドラマやバラエティでも活躍する“げんじぶ”メンバー

ボーカルダンスグループ

長野凌大(原因は自分にある。)

「お笑いクイズランド」連載中

お笑い芸人

仲嶺 巧(三日月マンハッタン)

“永遠に中学生”エビ中メンバー

アイドル

中山莉子(私立恵比寿中学)
ふっとう茶☆そそぐ子ちゃん(ランジャタイ国崎和也)
竹中夏海
でか美ちゃん
藤津亮太

QJWebはほぼ毎日更新
新着・人気記事をお知らせします。