ラッパーのSKY-HI(スカイハイ)が「1億円の私財を投じたオーディション」として当初は話題になり、『スッキリ』(日本テレビ)でその模様が頻繁に届けられるようになると、オーディション参加者たちのお互いを尊重しつつ音楽に没頭する姿が多くの視聴者を虜にした『THE FIRST』。
さらに、ここから誕生した7人組ボーイズグループ「BE:FIRST(ビーファースト)」は2021年11月3日に「Gifted.」でデビューを果たし、各種音楽チャート40冠など快進撃をつづけている。そして、SKY-HIが『THE FIRST』の“卒業式”と位置づけたライブイベント『THE FIRST FINAL』が、2022年1月29日&30日に横浜・ぴあアリーナMMで開催された。
この記事では、オーディション開始時から『THE FIRST』を追いつづけてきたQJWebで連載の全執筆を担当してきた坂井彩花氏が、『THE FIRST』という現象を改めて振り返る。さらに、記事の後半部では音楽ライターの高木“JET”晋一郎氏による『THE FIRST FINAL』のオフィシャルレポートをお届けする。
目次
- 想定以上の大きな“光”に
- 才能を殺さないための配慮
- “かっこいい”を具現化できるパフォーマンス
- 『THE FIRST』を愛するすべての人の“光”に
- 『THE FIRST FINAL』を徹底レポート!
- SKY-HIの登場で幕開け~『THE FIRST』が紡いできたストーリーを追体験
- パフォーマンスで見せた成長と<オーディション参加者>から<パフォーマー>への進化
- メンバーに贈られたSKY-HIのメッセージ「何回生まれ直しても君たちと出会いたい」
- 最終審査の課題曲「Shining One」Team ShiningとTeam Oneの邂逅に沸き起こる拍手
- BE:FIRSTの圧倒的なステージ! 新曲「Brave Generation」を初パフォーマンス
- すべての出会いに、すべての才能に感謝……ラストは「To The First」をBMSGメンバーで熱唱!
想定以上の大きな“光”に
「クオリティファースト、クリエイティブファースト、アーティシズムファースト」を掲げて始まったオーディション『THE FIRST』が、盛大な“卒業式”である『THE FIRST FINAL』をもって2022年1月30日に終わりを迎えた。会場であるぴあアリーナMMには、“『THE FIRST』参加者の晴れ舞台に駆けつけねば”と老若男女問わず多くの人が集結した。
オーディションを主催したSKY-HIも「『THE FIRST』というオーディション番組自体が応援されるのは想定していなくて」(「SKY-HIが振り返るオーディションの日々「『THE FIRST』は我々の人生を大きく変えた」【『あの日のTHE FIRST』レポート#12】」)と語っていたが、主催者の予想をいいほうに裏切るかたちで『THE FIRST』は幕を下ろしたのだ。
ところで、『THE FIRST』とはなんだったのか──。
初心、宝物、希望、革命、青春など、オーディション参加者たちもいろいろな言葉で表現していたが、『THE FIRST』はいろんな立場にいる人間にとっての“光”だったように思う。
才能を殺さないための配慮
ひとつ目に、“オーディション参加者にとっての光”である。『THE FIRST』は落選者に対し、最大限の配慮がなされていたオーディションだった。最終審査まで残っていたAile the Shotaがアーティスト契約、RANとREIKOがトレーニー契約を結ぶことに。
さらに、合宿最終審査まで残っていたRUIに関しては、落選時にSKY-HIから直筆の契約書を提示されていた。合宿審査に参加したSHUNSUKE、TAIKI、TENはBMSG(『THE FIRST』を主催したマネージメント会社&レーベル)と契約してはいないものの『THE FIRST FINAL』への出演を果たした(NAOKIは新型コロナウイルス感染症の影響でビデオ出演)。
edhiii boiに至っては、合宿前の段階でオーディションに落ちてしまったが自らアピールを重ね、BMSGとのアーティスト契約を勝ち取っている。こういった事実が驚くべきことであるのはもちろん、特筆すべきはそのスピード感だろう。SKY-HIが自らBMSGの代表を務めている利点を活かし、視聴者の記憶が鮮明なうちに、タイムラグなく才能を世に放つことに成功しているのだ。
また、上記に挙げた参加者以外にも可能な限りの心遣いがされていた。30人から一気に15人へと絞られた合宿前の3次審査で、SKY-HIは「今回の順位は、けっしてクオリティだけ、クリエイティビティだけ、アーティシズムだけで決めていません。全部を踏まえた上で、最終的なグループのかたちにフィットしそうな人を選びました(中略)きみの才能や可能性を否定することとは違う」(「「業の深いことをしている…」SKY-HIが逡巡を経て固めた決意【『THE FIRST -BMSG Audition 2021-』レポート#6】」)と述べている。
オーディションというものは、落ちてしまった誰かに「あなたには才能がない」と突きつけがちだ。そうなると、まだ原石である段階の、才能が磨かれる前に残念な決断を下してしまいかねない。眠れる才能を殺さないための配慮が、『THE FIRST』では常になされていた。
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