“かっこいい”を具現化できるパフォーマンス
ふたつ目に、“音楽業界にとっての光”である。そもそも『THE FIRST』は、「このままだと日本から良質なダンス&ボーカルが生まれなくなってしまう」(「【『THE FIRST -BMSG Audition 2021-』レポート#1】SKY-HIが人生を縣けるボーイズグループオーディションがスタート!」)というSKY-HIの危機感から発足したプロジェクトである。今までの日本のシステムにフィットできなかった才能をすくい上げると共に、日本の音楽業界を豊かにするための第一歩を作っていくことを念頭に置いていたはずだ。
かくして結成されたBE:FIRSTは、すでに大きな反響を生み出している。デビュー曲「Gifted.」は各種音楽チャートで40冠を獲得、米ビルボードの“Hot Trending Songs”24時間チャートでも1位に輝き、プレデビュー曲「Shining One」のMVはYouTubeで2500万回再生を突破(2022年2月時点)。デビューしてわずか3カ月にもかかわらず、大きな実績を残している。
従来の方法で人気を得ようとするならば、オーディエンスの趣向や流行に寄せることが一般的だ。宇多田ヒカルや星野源、米津玄師のように高い音楽性を備えながら人気を勝ち得たアーティストもいるが、それはどちらかといえば少数派。高次元で生み出されるアートを理解するには、多くの場合、オーディエンスの側にそれを理解するための素養が求められる。
「クオリティファースト、クリエイティブファースト、アーティシズムファースト」を掲げるBE:FIRSTがさまざまな面で結果を出せていることは、本来であればわかりづらい“かっこいい”ということを、ダンス&ボーカルのパフォーマンスを通せばマスに訴えることができる、という事実にほかならない。
『THE FIRST』を愛するすべての人の“光”に
また、日本に根差したリエイティブも大きな特徴だ。昨今のボーイズグループといえば、海外を拠点に活動しているクリエイターから楽曲提供を受けるケースも少なくないが、BE:FIRSTはSKY-HIを筆頭に、☆Taku Takahashi、Matt Cab、MATZ、Ryosuke “Dr.R” Sakaiといったクリエイターと共に制作。コレオグラフ(振り付け)もs**t kingz(シットキングス)のNOPPOやMaho Udoなど、日本にゆかりがあるクリエイターが担当している。
つまり、BE:FIRSTが世界で活躍するということは、そういったクリエイターたちが世界に知られることにもつながるのだ。SKY-HIの楽曲「Dystopia」には<US, UK, モノマネなら御免被るわ/世界どこと比べても力の落ちた音楽家>なんて歌詞があるが、BE:FIRSTを通して日本のクリエイターの実力を世界に伝えていく意思もあるのだろう。つまりBE:FIRSTが活躍することは、日本の音楽業界の刷新につながるのである。
社会現象を巻き起こし、多くの人の記憶に残るオーディションとなった『THE FIRST』。BE:FIRSTのスタート地点として、また、伝説の始まりとして歴史に刻まれていくことだろう。オーディション参加者の光として、音楽業界の光として、そして『THE FIRST』を愛するすべての人の光として。
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