同世代の仲間と進んでいく物語
会場が暗転すると、ライブの4日前の誕生日当日である、1月18日に撮影されたというVTRが流される。スクリーンに映るNovel Coreは「21歳になった俺の姿を会場のみんなに届けられたらと思って……」と口火を切ると、「『A GREAT FOOL』の登場で盛り上がった人、拍手!」「『DOG -freestyle-』のラップがヤバ過ぎたって人、拍手!」などと話しながら、会場の一体感を高めていく。そして、映像の中のNovel Coreに突如かかってきたSKY-HIからの電話をきっかけに、3つ目のセクションへ突入した。
後半ド頭に投下されたのは、BMSG所属の奇跡の1月18日生まれ組で紡ぐ「118」。若さゆえの勢いと年齢に固執しないスキルでedhiii boiがオーディエンスを圧倒したかと思えば、リズムを捉えたフロウと低音ボイスでSOTA(from BE:FIRST)が魅了する。
そして、等身大の姿をイメージさせるコーディネートに衣装チェンジしたNovel Coreの登場だ。<社長もゴンフィンガー>のフレーズではSKY-HIも一瞬だけ現れ、<pow! pow! pow! pow! pow!>と弾を乱射。それぞれの個性を活かしたフロウやリリックは、新時代の幕開けを予感させた。
いうならば、“転”は同世代の仲間と進んでいく物語。つづく「LOVE SONG」も、同世代であるSGが客演だ。SNSを通じて親交を深めたという今っぽいエピソードを持つ彼らだが、産み落とされる音楽は何年もの付き合いを感じさせるほど強固である。じゃれ合うようなステージングに相性抜群の歌声、客席で踊るように揺れるタオル。じゅうぶんなほどに“LOVE”を感じさせる時間がそこにはあった。
締め括られるNovel Coreの“エピソード0”
いよいよライブは、エピソード0を締め括る“結”のパートへと導かれる。『“A GREAT FOOL” BIRTHDAY LIVE』の配信決定、ファンクラブ設立、全国ツアー『A GREAT FOOL』の開催、6月3日にKT Zepp Yokohamaでバンド体制でのワンマンライブを行うこと、そんな特大級の告知を4つ発表したあと、Novel Coreは胸中を語り始めた。
「少しずつファンが増えているなか、今日のライブは来れない人も出てしまうキャパのCLUB CITTA’でやらせてもらいました。2020年4月、インディーズで自分で作ったアルバム(『WCMTW』)を出してライブを楽しみに準備していたけど、緊急事態宣言が出て全部吹っ飛んだ。ライブはスタッフやお客さん、そしてアーティストの生きる場所。あのときは急に生きる場所を奪われたような気持ちになって悔しかった。
2020年9月、CLUB CITTA’で無観客ライブをやったときに『必ず大きくなって、お客さんを入れて戻ってくるぞ』と宣言していたんです。みんなが来てくれたおかげで、僕の夢が叶った。苦しいことや悲しいことが、急に起こってびっくりすることも多いと思う。世紀末な世の中を生きているからこそ、一人ひとりに愛を伝えることを忘れずに生きていってほしい」
そして誘われたのは、コロナ禍に制作された「Show You LOVE」である。スクリーンには曲のリリース時にファンと共に作ったMVが映し出され、楽曲のエモーショナルさを加速させる。何よりも印象的だったのは、会場の端から端までを見渡し、一人ひとりに言葉を届ける姿勢だ。
本気で死にたいと思った夜を超えてきたからこそ、たくさんのHATEに身を焦がれた経験があるからこそ、<生き延びたら会おうよ>というリリックがズシンと響く。<形ある愛を 君にも見せるよ>という覚悟も、<大切な人に愛を 伝えそびれないように>という祈りも、世間体を意識したきれい事じゃない。Novel Coreにとって、人生経験の伴った紛れもないリアルな言葉なのだ。
レコーディングしながら泣いたという「PERIOD.」により、終わりを迎える結びのパート。これまでの人生に思いを馳せ、たくさんの人を脳裏に描く表情は穏やかで優しい。前半では虚勢のように聴こえる<寂しくない>も、後半に向かうに従ってチームメイトを想う愛の言葉へ変化。いくつもの困難を超えてこの日CLUB CITTA’に立った自身の物語を、丁寧に歌へ想いを乗せることで鮮やかに描き切ったのである。スポットライトが消えて暗転し、エピソード0の幕が落とされた。
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