『真犯人フラグ』真相編が、どうにも考察できないドラマになっている7つの理由

真犯人フラグ11

文=米光一成 イラスト=たけだあや 編集=アライユキコ


日曜ドラマ『真犯人フラグ』真相編スタート(日本テレビ)。先週は、これは本当に真相に近づいているのか?と不安になるほど新たな謎が増えた。真相編2話目(第12話)は2022年1月16日放送。『あなたの番です』(日本テレビ)考察の先駆チームである米光一成とたけだあやが再タッグを組んで考察する連載の11回目。(11話までのネタバレを含みます)。


『真犯人フラグ』第11話ネタバレあらすじ

まず真相編1発目の第11話を振り返って、その後に「どうにも考察できないドラマになっている7つの理由」を考察していこう。

「パパが殺した」という篤斗(小林優仁)の証言で、凌介(西島秀俊)は、阿久津(渋川清彦)と落合(吉田健悟)に任意同行を求められる。吹き矢を構えていたバタコ(香里奈)は、襲撃を諦める。
凌介が犯人だということは考えにくいので、これは劇中でも語られたように記憶を捏造されたのだろう。最初目を覚ましたときは凌介を見て怯えていなかったので、そのあとから証言の間に記憶改変されたということになるのだが、そんなことできるのか? 今までも低かったリアリティのラインがさらに低くなって、なんでもアリの状況になってきた。
カルト教団が出てきているので、教団のすごいパワーなら、そんなことも可能だということなのだろうか。

事情聴取で、光莉(原菜乃華)の監禁動画にあった椅子が、凌介が過去に購入したものと同じタイプだという事実を突きつけられる。椅子は、凌介のレンタルルームの書斎に置いていた椅子だ。だが、凌介はその鍵を失くしているのだ。凌介は、鍵を失くして放っておいたり、合鍵を作られても放っておいたり、セキュリティの意識がなさ過ぎである。

瑞穂(芳根京子)は、篤斗のことを思って、篤斗の好きなアニメ『シベツ!』のキャラクター“むかわちゃん”のコスプレをして病院に見舞いに行っていた。凌介も、見舞おうとするが、篤斗は激しく怯える。

「とにかく林の居場所だな」
瑞穂、一星(佐野勇斗)、河村(田中哲司)。日野(迫田孝也)が「至上の時」に集まって作戦会議。林の居場所を掴むことが先決だと逃亡に使った赤いスポーツカーの情報を集めることにする。
さらに、河村は、等々力建材と住愛ホームの贈収賄疑惑を記事にした。林が隠している事実を暴けば、林が動き出すだろうと読んだのだ。

等々力茉莉奈(林田岬優)は、父の幸造(長谷川公彦)があなたを消すだろうと林に伝える。林は、「……やっぱ、あいつ殺すか……」とつぶやくのだ。あいつとは誰なのか?

河村に林からメールが届く。「記事にするならすべてを話す」というメッセージと、『週刊追求』を手にしている林の写真。河村と両角(長田成哉)と凌介が、林が指定した場所に駆けつけると、そこはガソリンスタンド。
洗車機から、例の赤いスポーツカーが出てくるが、その運転席に林の血まみれになった死体が——!

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考察するタイプではないという7つのポイント

これは、考察するタイプのドラマではないんじゃないか。そう考えるポイントを7つ挙げていく。

1.枠組みが広過ぎる
たとえば、『あなたの番です』であれば、マンション内の交換殺人がドラマの主軸だったので、その中に犯人がいると設定して考察できた。だが、『真犯人フラグ』は、そういった枠組みがゆるゆるだ。
登場人物も膨大な上に、テレビコメンテーター雫石千春(小松利昌)ですら、同じ大学の同級生だということがわかり、関係ない人物として外すことができない。犯人になり得る人物がものすごく多いのだ。

2.カルト教団や闇社会の人間が出てきてなんでもアリになった
闇社会の人間・強羅誠(上島竜兵)、カルト教団、アサシン木幡由美(香里奈)など、何をやらかしても不思議じゃない人物が多数出てきた。特にカルト教団は、組織的に動ける上に、常識的な判断では動かないので、なんでもアリになってしまった。

3.謎が推理では明かされないことが示された
謎を散らすだけ散らして、ほとんど回収しないまま突進しているドラマだが、いくつかの小さい謎は明かされた。たとえば「アフロディーテの下僕が誰か」という謎は、前話で太田黒芳春(正名僕蔵)だと判明した。だが、謎が明かされたのは、太田黒とぷろびんが話をしている場面が出てきたからで、推理して突き止めたわけでも何でもない。覆い隠していた事実を、このタイミングで明かしたというだけだ。バタコの正体もそうだ。謎が推理で解明されるのではなく、ただ制作側が隠していたことを出しただけなのだ。

4.主役の凌介のセキュリティ意識がガバガバ
謎の中心となる凌介のセキュリティ意識がガバガバなのだ。めちゃくちゃ怪しくて怪し過ぎるから真犯人じゃないだろうでおなじみの菱田朋子(桜井ユキ)が合鍵を持っていることが判明しても、そのまんま。そのせいで朋子は、日々、凌介の部屋に入り放題だ。DNA鑑定書も仕込めるし、結果をすり替えることも可能だ。なんでもやり放題の状況なので、DNA鑑定の事実すら信用ならない手がかりになってしまっている。
さらに、凌介は、トランクルームの鍵を失くしても、そのまま放置している。セキュリティの意識がまったくないのだ。そうなると凌介に対して、なんだってできる状況が保たれてしまう。凌介が使ってるトランクルームに光莉を閉じ込めてしまうことだって、いまだにできちゃう状況だ。

5.枝葉が多過ぎる
林が殺害された。居場所を知っている人物は絞れるので犯人推理が可能だ。しかも、殺される直前の時間経過が丁寧に示されている。河村が雇った強羅誠、もしくは茉里奈、本木陽香(生駒里奈)あたりが犯人だと推測できる。が、そのうち誰が林を殺したにしろ、メインの謎である家族失踪の真相には遠い枝葉なんじゃないか。いや、枝葉だと思えていたすべてがひとつに収斂するすごい展開が待っているかもしれないと期待したいが、そうするにはもう枝葉が茂り過ぎている。

6.ほのめかしが多い
無駄なほのめかしが多過ぎて、軸が見えてこない。占い師だろう猫おばさん(平田敦子)や、奇妙な逸話を語る阿久津。それ以外にも、顔の一部をちらっと映してさて誰でしょうという演出が多い。

7.隠し過ぎ!
凌介は、DNAの結果を見たはずだろう。だが、ドラマの中ではまだ明かされない。いまだに朋子の押し入れに何が入っているのかも謎のままだ。隠しつづけてもう8話ぐらい経っただろうか。葬儀屋の本木陽香が言った謎の言葉「らっきょうどうしました?」も、ハニートラップを仕掛けた理由も明かされていない。謎の言葉といえば「しちはごじゅうろく」も、謎のままだ。小さな謎の数々が増え過ぎて、解明されることがない。そろそろ解明されないと、もう忘れつつあるよ。

真犯人フラグ相関図2
主要登場人物相関図。イラスト/たけだあや

謎解きするのは諦めた

12話の予告を観ると、ガチ考察は諦めて、楽しむのが正解なのではないかと思えてくる。

第12話の予告編に「そして、始まるデスゲーム」という文字が出てくる。
光莉の「わたしのお父さんを殺してください」の動画が拡散。娘も息子も凌介が犯人だと証言していることになり、凌介は大勢の人間から命を狙われる状況に追い詰められていくようなのだ。

「真帆さんは宗教に入っていた、入ってない、どっち」というセリフもある。真帆(宮沢りえ)がカルト教団に入っていた可能性はある。教祖(相築あきこ)と、真帆の母親・館野志乃生(丘みつ子)の顔が似ているのも気にかかる。ことによっては、教祖と真帆は姉妹なんじゃないか。

こうなってくると、カルト教団は枝葉でなく、主軸と関係してきそうだ。そうなると本当になんでもアリだ。「かがやきの世界」を信じる教団と、凌介たちの壮絶なバトルになっていくという展開もあり得る。

ガチ考察して謎解きするのは諦めた。もう超弩級のサスペンス展開になって楽しませてほしい。

追記! 15日に始まったドラマ『逃亡医F』(日本テレビ)が、『あなたの番です』っぽさもあっておもしろかったよ。脚本は福原充則(『あなたの番です』の脚本家!)だけあって、リアルとコミカルと突飛さのバランスにあな番みアリ。

【西島秀俊 芳根京子 宮沢りえ】日曜ドラマ「真犯人フラグ 真相編」第12話予告60秒【日テレドラマ公式】

【関連】考察『真犯人フラグ』全話レビュー


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米光一成

米光一成 (よねみつかずなり)ゲーム作家/ライター/デジタルハリウッド大学教授/日本翻訳大賞運営/東京マッハメンバー。代表作は『ぷよぷよ』『はぁって言うゲーム』『BAROQUE』『はっけよいとネコ』『記憶交換ノ儀式』等、デジタルゲーム、アナログゲームなど幅広くデザインする。池袋コミュニティ・カレッジ..