「あつまれ!1億総ひきこもりの森!」【第2回】そもそも人って、みんな好きに生きていいはず

構成・イラスト=岡本昌也 写真=平岩 享 編集=森田真規


作家・演出家・俳優の岩井秀人は、10代の4年間をひきこもって過ごし、のちに外に出て演劇を始めると、自らの体験をもとに「人生そのもの」を作品にしてきた。

そんな岩井秀人が、新企画「あつまれ!1億総ひきこもりの森!」と銘打って「ひきこもり」や「コロナ禍の生活」をテーマにした悩みや、グチなどを広く募集した。

どもども! 岩井です。
長らくこちらQJWebで「ひきこもり入門」をつづけて参りましたが、一部の人たちだけの話だった「ひきこもり」がコロナ禍で多くの人々の心身に点在するようになった感がございます。
そこで、皆さまからの「ひきこもり」や「コロナ禍の生活」をテーマにした悩みや、グチなどを広く募集し、「出たいけど出られない、けど……」のその先について一緒に考えてみようと思います。
皆さまの身に起きたこと、心に起きたこと、家族、友人の変化など、悩みでもグチでも小ネタでもいいので、お寄せいただければと思います! 共有しようぜ! おす!

……ということで第1回につづいて、皆さまから集まった愚痴・小言・お悩みなどをもとに、岩井秀人と取材チームが、答えを出すのではなく、ただただ一緒に考えていきます!

取材チーム

藤野沙耶
20代女性、会社員。岩井秀人の仕事やハイバイの公演をふんわりと手伝っている。コロナ禍は比較的元気に過ごしていたが、ヒマ過ぎて自分を見失い、今年の春にいわゆる「5月病」を患う。K-POPグループのBTSにどハマリしたことで復活。

岡本昌也
20代男性、劇作家。岩井秀人の主宰する「作家部」に所属。フラフラしつづけていたが、最近つま先だけ地に着いた。

コロナ前みたいな窮屈で暮らしにくい生活が全部戻ってきてしまうのは嫌

コロナ禍になりもちろん不自由なこともありますが、逆に暮らしやすくなったことのほうが多いです。

人と距離を取る、密にならない、大きな声でしゃべらない、黙食、飲み会や食事会に行かなくてよい、家で過ごすなど、心の底からホッとしています。

コロナが収まったら、前みたいな窮屈で暮らしにくい生活が全部戻ってきてしまうのは、正直嫌です。

毒きのこさん(47歳・女性)

やっぱり「コロナ禍の暮らし」に向いてる人っているよね。

「人と会わない楽さ」に気がついた感じはありますよね。

それはコロナ禍でよかったことのひとつだなって思ってる。

岩井さんは、コロナのおかげで「なくなってよかったこと」ってありますか?

あ~なんだろう。え、何がなくなった?

毒きのこさんは「飲み会や食事会に行かなくてよくなった」と。

ああ、なるほど。これはなくなったと言うよりは変化なんだけど、コロナ禍でいう「マスクをする・しない」「ワクチンを打つ・打たない」みたいな命に関わるような議論って、5・6年前だと、「違う考えの人への批判や攻撃」ってもっと激しかったと思うのね。

でも今は体感として、「まあ、そういう考えもあるか」っていい意味でみんな考え方が寛容になった気がする。

なるほど。なんでなんだろう?

「国が頼りない」っていうのと「統一した情報が流されてない」っていう問題もあると思う。

なんでも自分で考えなきゃいけないですよね。

そう。何を信じるかは、自分次第、みたいに。明日にでも「実はあっちのワクチン打っちゃいけなかったぞ!」ってなるかもしれないし。

副反応とかも、正直よくわからないですしね。だいぶ個人差があるみたいだし。

インフルエンザと違ってコロナはみんな初めて経験することだから、情報のさばき方がどうしても「どれが本当か?」というよりも「どれを信じますか?」という感じになるよね。

そうなるとそれぞれが自分の選択を信じるのに精一杯で、お互いのスタンスを気にしてる暇もないというか。

コロナ禍でも最初のうちは「飲食店も自粛しろよ」みたいな意見もあったけど、飲食店側の「いやマジで生活かかってんだよ」って声が聞こえてきて。別にコロナって病気で死ぬだけじゃなくて、自粛で生活が苦しくなって自ら死を選んじゃう……みたいなこともあるんだってみんなも気がついて。

国が「自粛、自粛」だけ言ってちゃんとした補償もしないから「ふざけんじゃねえ、俺は営業するぞ!」という店だってあるし、それを応援する人たちもたくさんいて。一概にひとつの考えを誰かに強要することが少なくなったと思う。

それは、俺はいい変化だと思う。そもそも人ってみんな好きに生きていいはずだから。

なるほど。

「一番神経質な空気」ばかり読んでちゃまずいなってみんなが気づき始めた感じがする。

あと、コロナ期間になったころに岩井さんが「もともと本当に会いたいと思ってる人にしか人は会おうとしない」って言ってたのは、「それな!」と思いました。

言ってた言ってた。けっこう限定的な期間だけど。緊急事態宣言が出る前ぐらいまでの段階かな。コロナのせいにしてたけど、単に会いたくなかっただけじゃない?って。

そうそう。それを聞いてけっこう、はっとしましたね(笑)。

年代にもよるけど、実際そうだったと思う。

この期間で人間関係が整理されました。「この人は大切な人だったんだ」と、はっきりしたかもしれないです。

この状況でもお互いに「会いたい」って思えて実際に会ってる人って、相当大事な人なんだろうね。

結論:コロナ禍でよかったことって案外あるよね

アルコール消毒を家族にも強要してしまう自分が嫌でたまらない

コロナ禍になってからというもの、外に出ることも怖くてままならないです。外出しても、帰ってきてすぐにお風呂に入ったり、やむを得ず物に触らなきゃならない場合は触ったあとにアルコール消毒をしないと怖くてたまりません。家族にも強要してしまう自分が嫌でたまりません。早くコロナが落ち着いた日々になってほしいものです……。

匿名さん

この方みたいな、潔癖な人は大変だろうね。むしろ、どのくらい予防してるかを知りたくなる。

気になりますね。

俺も最低限の予防はするけど、実際にマスクがどれくらい効果があるのか、とか知らないんだよね。正確なマスクの使い方とかも。

一回ずつ捨てて替えないといけないのか、むしろ毎日アルコールを染み込ませることでガード力がどんどん上がっていくのか。

たぶんないです、それは(笑)。

毎日アルコールを染み込ませたマスクが最終的にものすごい滅菌力になったりしないのかな。消毒やお風呂に入るだけじゃなくて、さらに予防を研ぎ澄ませた結果を教えてほしい。

そこまでやるか、みたいなとこまでやったらどうなるんでしょうね。

本当はこうしたい!ていう願望も教えてほしい。「親ごと、ラップで包みたい」とか「毛穴をすべて埋めたい」とか。

なんかそれも、一種の「欲の解放」のような気がするな。

そういう方向で発散させてほしいよね。家族に強要しちゃうより、世界にひとりで叫んじゃうみたいな方向で。

なんかほかの人の手紙で「SNSの使い方がどう」みたいなのもあったけど、俺はSNSって本来そういう欲を発散させる場所って思ってるから、ブログとかnoteとかで「ここまで予防してみたい!!」って書いて出してみてほしい。

書いた記事を改めて自分で読んでみたら「こいつやべえな」って思うかもしれないし(笑)。

その記事は気になりますね。全解放してみてほしいですね。

結論:「清潔にしまくってみた」と、SNSで世界に叫ぼう!

寝る前のティンダースワイプが日課になってて嫌だ

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岩井秀人

(いわい・ひでと)作家・演出家・俳優・劇団ハイバイ主宰2003年ハイバイ結成。2012年NHK BSドラマ『生むと生まれるそれからのこと』で第30回向田邦子賞、2013年舞台『ある女』で第57回岸田國士戯曲賞受賞。近年は、パルコ・プロデュース『世界は一人』の作・演出、フランスジュヌビリエ国立劇場『ワ..