「あつまれ!1億総引きこもりの森!」【第1回】「似たような日々の寂しさ」のルーティーンを疑う

2021.10.14

構成・イラスト=岡本昌也 写真=平岩 享 編集=森田真規


作家・演出家・俳優の岩井秀人は、10代の4年間をひきこもって過ごし、のちに外に出て演劇を始めると、自らの体験をもとに「人生そのもの」を作品にしてきた。

そんな岩井秀人が、新企画「あつまれ!1億総ひきこもりの森!」と銘打って「ひきこもり」や「コロナ禍の生活」をテーマにした悩みやグチなどを広く募集した。

どもども! 岩井です。長らくこちらQJWebで「ひきこもり入門」をつづけて参りましたが、一部の人たちだけの話だった「ひきこもり」がコロナ禍で多くの人々の心身に点在するようになった感がございます。
そこで、皆さまからの「ひきこもり」や「コロナ禍の生活」をテーマにした悩みや、グチなどを広く募集し、「出たいけど出られない、けど……」のその先について一緒に考えてみようと思います。
皆さまの身に起きたこと、心に起きたこと、家族、友人の変化など、悩みでもグチでも小ネタでもいいので、お寄せいただければと思います! 共有しようぜ! おす!

……ということで、皆さまから集まった愚痴・小言・お悩みなどをもとに、岩井秀人と取材チームが、答えを出すのではなく、ただただ一緒に考えていきます!

取材チーム

藤野沙耶
20代女性、会社員。岩井秀人の仕事やハイバイの公演をふんわりと手伝っている。コロナ禍は比較的元気に過ごしていたが、ヒマ過ぎて自分を見失い、今年の春にいわゆる「5月病」を患う。K-POPグループのBTSにどハマリしたことで復活。

岡本昌也
20代男性、劇作家。岩井秀人の主宰する「作家部」にいる。フラフラしつづけていたが、最近つま先だけ地に着いた。

ひきこもりに戻ったら、社会には二度と接続できない気がする……

5月に死ぬほど仕事をしていたら、ある日突然心が折れて、「むり、死ぬ」となってしまいました。
1カ月、仕事をお休みして、6月の後半に復帰したのですが、また「むり、死ぬ」が出てきています。
仕事をすることで、社会の中にいていいよ、と言われていると思っているので、仕事をしてない自分には生きてる価値がありません。
このままひきこもりに戻るのかな、ここで戻ったら社会には二度と接続できない気がするな、と思って困っています。怖いです。

ねむみえりさん(28歳・女性)

「心が折れて」そのまんま帰ってこれなくなっちゃう人もいるから、帰ってこられただけ偉いよ。

池上(正樹)さんとの話でも出ましたけど(参照:「岩井秀人「ひきこもり入門」【第5回後編】子と親にとっての幸せとは何か」)、「コミュニティをいくつか持とう」みたいなのはありますよね。

それはあるよね……。あと瞑想するといいよ、瞑想。

どうやるんですか? 瞑想って。ただボーっとするんですか?

これ、俺はけっこうちゃんと説明できるんだけど、説明を聞くほうがいいのか、実際に体感したほうがいいのかわかんないな。

座禅的なこと……?

座禅はなんかイメージ的には、姿勢悪くなっただけでひっぱたかれたりするじゃん(笑)。そういうのじゃないね。

よけいなこと考えちゃだめなんですか?

考えていい。とにかく自分をヒマにするんだよ。
そうすると、頭の中にばーっといろんなことが浮かぶよね? そのとき、気になってることとか不安なこととか。

そんでその浮かんだことはそのままにして、気になってることは「気になってることなんだな」って思って、流してく。

それから身体の感覚に意識を向けてくんだよね。たとえば、「自分の呼吸」とかに意識を向ける。

うんうん。

そうすると(自分の意識の中に)大きめの器があることにだんだん気がつく。

その器の上に、気になってることとか困ってることとか、まだ何も起きてないのに心配してることがあるんだっていうのが、なんとなくわかるようになっていくんだよね。そういうのを整理していく時間。

すげー。

何がいいかはわかんないです。

うん、俺も何がいいかはちゃんと言えないんだけど……(笑)。

よけいな気苦労?をしなくなる感じはする。無限に湧き出てくる悩みとか気苦労を整理しないまま解決しようとして、てんやわんやになって結局全部が残ったまま外に出てかなくちゃいけない、みたいな状態にならなくてよくなった。

へえ~。1日1回決まった時間にやるんですか?

そういうやり方もあるらしいけど、俺はヒマなとき、電車の中とかでやってる。本気でやりたい人は修行に行って1日14時間とかやるらしい(笑)。やればやるほどいいんだって。ご飯食べてる間とかも瞑想する。

本で読んだんだけど、インドに瞑想の修行に行った人の話で、ご飯にカレーが毎日出てくるんだって。それもすぐ食べちゃだめで、スプーンですくって、ゆっくりゆっくり口に運ぶ。

まずはカレーが口に近づいてくるのを感じて、やっと口に入れたら次は舌の上にカレーが乗ってるのを感じて、ひと噛みひと噛み……ってすごい時間をかけて食べるんだそう。

おお……。

でも、あるときアイスクリームが出てきたんだけど、カレーをめちゃくちゃゆっくり食べてる目の前で、アイスクリームが溶けていくから、相当瞑想をつづけて心が鍛えられていた筆者さんでもマジでキレそうになったって。

きっつい。

そういう思いはあんまりしたくないなあ……。

結論:瞑想、いいよ!

ライブやイベントも観れない世界でこんなにしんどいのを耐える意味とは?

ずっと友人も恋人もいない人生です。
皆がやっている長縄跳びにずっと入れなくて、私だけひとり縄跳びやっているみたいなそんな感じです。何かに悩んだり、つらくても、逆に楽しみなこともすべてひとりで消化するしかありません。コロナも先が見えず、ふとしたときにもう生きる意味を見失いそうになります。
自分が糧にしていたライブやイベントも観れない世界でこんなにしんどいのを耐える意味ないのでは、と考えると、本当に自分の存在を、無またはそれ以下に思えて、虚無感と孤独感に苛まれます。
このコロナ禍をどう乗り越えていけばいいのか、と考えてしまいます。

猫背さん(41歳・女性)

とのことです。

これもう、コロナ禍じゃなくない(笑)?

僕ももう、すべてをコロナ禍のせいにしたくなる感じはわかります。

でも、もともとはライブやイベントにひとりで行ってたってことだよね。

俺、ひとりでそういうとこ行ける人って、うらやましい。俺は、誰かを巻き込んでないと気がすまないから。どっちかというと、「ひとりで楽しめるようにならなくちゃ」って思ってるし。

なるほど。見方を変えれば、すでに幸せかもよっていうか。ないものねだりかもしれないですね。

ね。それに、コロナ禍で今、映画だってイベントだってひとりで行ってもいい感じになってるし。それで、別のおひとり様と友達になれたりするんじゃないかな。

「友達作ろう」っていう目的で「友達ができた」なんてこと、ないと思うし。

結論:ひとりでいろんなこと楽しめるのが、むしろうらやましい。

手がけた仕事や出演したものを人に言えない環境でとても寂しい

現在、私は手のパーツモデル(手タレ)の仕事をしております!
コロナ禍で月に数回ほどになってしまった仕事であっても、やりがいがあって楽しいです。しかし出演したCMや雑誌などの媒体名をリリースしたあとであっても、よそ様に言えない決まりで、とても寂しいです。
「このCMに出させてもらうんだ! この広告の手は自分なんだよ!」などと手タレが言うのは禁じられているようです。手がけた仕事や出演したものを人に言えない環境でとても寂しいです。

ヨシザワ リョウ さん(31歳・女性)

1回、自分の名前先行で手の宣伝してみたらいいんじゃない(笑)? 「手のインスタグラマー」とか。

それいいですね!

「数々のCMに出演中! 私の手はこれです」って。いろんなところへ行ってみました、みたいな。

指で足作ったりして。

あ、いいじゃん! 「東京タワー登ってみた」みたいな。

かわいい(笑)。

手の甲あたりに髪の毛つけたりして、「なんで名前出してくんねーんだよ!」とかの事情を話せばいいよね。仕事の裏話とか。

「新しいiPhone出ました」とかもいちいち手でやって。手のほうを目立たせて。

でも、けっこうちゃんとフォロワー増えそうですね。手フェチの人とかの。

フェチ絶対いるよね。となると、ちょっと際どいもの持たなくちゃいけないときもあるよきっと。

じゅくじゅくの苺を持つとか、いいかもですね。

どんな趣味なのそれ。
でもそういうことだよね。「この商品のCMの手は私です」って言っちゃいけないだけで、だったら「私」として宣伝してくっていう。

商品のための手っていうより、手のための手っていうか。

そうそう。自分を宣伝すればいいの。
自分の手が映えるものを持って、手先行で商品を決めて、勝手に宣伝とかしてたら、いずれ名前出してもよくなったりっていう可能性は出てくるんじゃない?

それだ。

結論:手のインスタを開設。

大好きだったひとりの時間…


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