ファッションから見えてくる人間性
さて、本書のページをパラパラめくっていると、まずひと言「どんだけ服持ってんだ!」と、ツッコミを入れないわけにはいかない。滝藤の所有する服の数はおびただしい。「“173日間”も撮っているのだから、そう見えるだけでは?」と思われるかもしれないが、そこはもちろんスタイルブックなのだから、すべてのスタイルは異なる。
とはいえ彼のコーディネートは、「少ないアイテムをうまく着回そう!」というスタンスではない。「好きなアイテムを好きなように着よう!」なのである。ぱっと見しただけでは違いがわからないような似たアイテムだってあるが、着るのは滝藤自身だ。いくら似たものであっても、身につけた際の肌触りや、着心地はまったく違うはず。ここにファッションの醍醐味がある。
モノを多く持つことが必ずしも生活や心の豊かさにつながるとは思わないが、選択肢が多ければ多いほど、豊かさを得られる可能性は広がるに違いない。それぞれのスナップの中で、時に無邪気に笑い、時にビシッとキメ、また時にはおどけてみせる滝藤を見ていると、このことがよく伝わってくる。“173日間”の彼は、とても豊かなのだ。
彼の変幻自在の演技を可能とするその原点は、この「豊かさ」にあるのかもしれない。
それに、滝藤の各スタイルに合わせたコラムを読んでいると、アイテムのどれもが彼にとってかけがえのないものなのだということがわかる。家族とのつながりを示すものや、先輩から譲ってもらったもの、共演者からのプレゼントに、若手時代に背伸びして手に入れたもの──。滝藤にとって、一つひとつのアイテムが重要な意味を持っており、現在の彼を構成しているのだ。
タイトルのとおり「服と(滝藤)賢一」は、切り離せない関係にあることが本書を読んでいるとわかってくる。
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