“史上最高の大会”『キングオブコント2021』をまだまだ味わい尽くすラジオ、配信まとめ。反省会、振り返りまでが賞レース!



ファイナリストたちによる振り返り

賞レース後にファイナリストが集うのが恒例になっているABEMA『月曜 The NIGHT』。男性ブランコ、そいつどいつ、ニューヨークの3組がリモートで登場した。深夜各々の家からの参加であること、MCのスピードワゴン、特に小沢一敬が熱をもって彼らを讃えることもあり、メンバーたちの心もほぐれていく。特にニューヨーク嶋佐がお酒も進みぐだぐだになっていく様が見どころ。M-1について、最近注目している若手についてなどの話題も(10/11まで無料で視聴可能)。

史上初の賞レース3冠に期待のかかったマヂカルラブリーと満を持しての決勝初登場となったジェラードン。彼らの所属する大宮ラクーンよしもと劇場で10/4に『キングオブコント2021アフタートーク in 大宮』が行われた。参加したのはこの2組に加えタモンズと、4年連続決勝進出も今年は涙を飲んだGAG。つまり大宮セブン6組のうち、今年KOCに参加した全組が集結したことになる。今年の大会の傾向を冷静に判断したマヂラブが提言する、翌年目指すべき方向性の話には笑いながらも納得させられる。キーワードは「シアター」(10/11まで購入・視聴可能)。

なお、Paraviで観られる番組の公式反省会『キングオブコント2021生・大反省会』では、終わったばかりの全組の率直な言葉が聞ける。ほかにもニューヨークを筆頭に、蛙亭、そいつどいつらがたっぷりと時間をかけて自身のYouTubeチャンネルで大会を振り返っているのも観ておきたい。『野田ゲー』チャンネルではマヂカルラブリー野田と大会の前説を務めたBKBという組み合わせの振り返りも。また無限大ホールではチャンピオンの空気階段、吉本以外から唯一決勝に行ったザ・マミィを含むファイナリスト6組の『キングオブコント2021 プレミアムトーク』が(10/12まで購入・配信可)。

あの人はこの結果をどう観たか

「本編をもう一度観直そう」と思っている人におすすめなのが、かもめんたる岩崎う大が放送と同時に自身のYouTubeチャンネル『う大脳』で行っていた生配信。6代目KOCチャンピオンである彼の的確で具体的な批評は毎年注目を集めている。それぞれのコントのどこがよかったか、全体の流れの中でどう影響を受けたか、もう少しこうしたらいいのではなどのコメントは、現役でコントを作りつづけている彼ならでは。常時映り込んでいる時計、テロップなど、途中からでも本編録画と同時再生しやすい工夫がなされているのもいい。
動画内で語られなかったコメントも加えてまとめられた有料noteも、冷静で筋の通った意見がたっぷり読める。昨年『しくじり学園 お笑い研究部』(ABEMA)で行われた「キングオブう大」からは実に2組(ザ・マミィ、ジェラードン)が今年の決勝に進出した。今年も「キングオブう大」の開催が待たれる。

う大脳「生配信!キングオブコント2021/6代目王者・う大が見ながら語る!」

M-1審査員であるナイツ塙宣之や、今や芸人語りといえばの平成ノブシコブシ徳井健太らさまざまな芸人がKOCについて語っているが、中でもあえて取り上げたいのがレイザーラモンが主にファイナリストの動きや体の使い方を中心に話している動画。ふたりそろってプロレス経験を持ち、HGは今もなおトレーニングを欠かさず体を鍛えている。そんな彼らだからこそ語れる空気階段の1本目のネタ、マヂカルラブリーのネタの動きについての考察は興味深い。
RGによるネタ披露後の屋敷裕政の振る舞いについて語った“ニューヨーク論”もよかった。また、マヂラブ野田について語るRGから飛び出した「誰かにとっての神は誰かにとっての凡人なのかもしれない」という名言も印象的だ。

レイザーラモンのニューラジオ#35

「今年のKOCはいつもと違う」と印象づけたオープニング映像を手がけた映画監督・今泉力哉の2時間にわたるインスタライブもすすめたい。ジム・ジャームッシュの映画『COFFEE&CIGARETTES』モチーフのオープニング秘話はもちろんのこと、自身も大阪NSCに通っていた今泉ならではの芸人へのリスペクトに満ちた、それでいて映画監督として具体的なコントの演出や見せ方にも触れた感想は実に聞き応えがあった(アーカイブあり)。

見巧者による感想や解説はネタの新たな見方を教えてくれる。ファイナリスト本人による振り返りは芸人がどれほどそのネタを磨き、そのネタにかけていたかを知らせてくれる。
「今年のKOCは他者を受け入れるネタが勝った」というまとめ方もあって、それももちろんひとつの見方だ。けれどそれがすなわち残りのネタが古いとか、劣っているということにはならない。
この日の13本のネタは、どれも芸人たちがそれぞれに人生を懸けて生み出し練り上げたもので、13通りのおもしろさがある。もっといえば今回決勝には選ばれなかった何百何千の、これに匹敵するネタが劇場にはある。たくさんの感想を知ることが、その一つひとつのネタの魅力を受け止める器を大きくすることにつながると信じている。

だから、ひとつの見方に満足してその年のレースを解ったような気になるよりも、いろんな見方を知って「おもしろい」を広げるほうがきっと来年以降も深く広く楽しめると思うのだ。振り返りまでが賞レース。たっぷり楽しみ尽くしたい。


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釣木文恵

(つるき・ふみえ)ライター。名古屋出身。演劇、お笑いなどを中心にインタビューやレビューを執筆。

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