『イカゲーム』がNetflix史上最大ヒットとなった要因は?韓国のムード、デス・ゲーム類似作からの影響などから解説

2021.10.5

文=池田 敏 編集=森田真規


2021年9月17日にNetflixで配信がスタートし、全世界で爆発的なヒットを記録している今話題の韓国ドラマ『イカゲーム』。その勢いは留まることを知らず、世界83カ国で視聴回数が第1位になったという。

Netflix史上、最も多くの視聴者数を獲得する作品になる見込みも高いと言われている本作の魅力を、海外ドラマ視聴歴40年超えの評論家・池田敏氏が解説する。

【追記(10月15日)】

『イカゲーム』が配信開始から28日間で1億1100万世帯で視聴され、Netflixが提供するオリジナルドラマとして史上最高記録となったことを発表した。これまでの記録は『ブリジャートン家』の8200万世帯だった。


大スケールかつスピーディーな“デス・ゲーム”

9月17日にNetflixで配信が始まった韓国ドラマ『イカゲーム』が、世界的人気を博している。海外メディアによれば、Netflixが世界でランキングを集計している83カ国で視聴回数が第1位になったといい、事実、日本のNetflixでも配信が開始されてからずっと人気ナンバーワンだ。

しかしこのドラマシリーズ(全9話)、“パクリ疑惑”が起きている。日本のコミック『カイジ』シリーズ(何度も映像化されている)を筆頭に、やはりコミックとその映像化作品『LIAR GAME』『神さまの言うとおり』、同名小説とその映画化作品『バトル・ロワイアル』などと似ているという指摘がSNS上で渦を巻いている。きりがないので米国の各小説とそれらを映画化した『ハンガー・ゲーム』シリーズについては、本稿では省略する。

『イカゲーム』予告編 - Netflix

『イカゲーム』のストーリーをネタバレしないよう紹介するとこんな感じ。韓国の中年男性ソン・ギフン(演じるのは、やはりSNS上で大泉洋に似ているという声もあるイ・ジョンジェ)は経済的困窮者(ダメ人間ともいう)だが、地下鉄の駅で声をかけられ、あるゲームに参加することに。賞金は1億ウォン(約940万円)×参加者の人数456人で456億ウォン(約42億9千万円!)。

主人公ソン・ギフンを演じたイ・ジョンジェ/Netflixシリーズ『イカゲーム』独占配信中

しかしそれは負けたりルールを破ったりするとすぐに殺される、“死のゲーム”だった。最初のゲームは、なんと「だるまさんがころんだ」(韓国では「ムクゲの花が咲きました」と呼ぶ模様)。「だるまさんがころんだ」で動いてしまった参加者は鬼に捕まるが、本作では顔全体をマスクで覆った面々に、たちまち銃で撃たれてしまう。

第1話「だるまさんがころんだ日」/Netflixシリーズ『イカゲーム』独占配信中

本作や前出の各作品は、まさに命懸けという危険な勝負を描くことから、“デス・ゲーム”ものと呼ばれる。そして「だるまさんがころんだ」が展開する『イカゲーム』の第1話を観た段階で筆者は「これまでの“デス・ゲーム”ものの影響を受け過ぎかな」と思ったが、第2話が予想外の展開だったので驚き、目が離せなくなった。『賭博黙示録カイジ』を読んだ人には以下軽いネタバレだが、いきなり第5巻の終わりくらいまで飛ぶのだ。

とにかく従来の“デス・ゲーム”ものと比べてスケールが大きく、スピーディーで退屈させない。たとえば日本のコミックの中には心理描写を重視し(それはそれで独自の様式美だが)、勝負・試合がなかなか進まないコミックが少なくないと筆者は思うが、本作は多くの場合、タイムリミットがあるゲームをほぼ同時進行もしくは短めに描くので自分もゲームに参加している感覚だ。

時代を超えた“デス・ゲーム”の名作に


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池田 敏

(いけだ・さとし)海外ドラマ評論家・映画ライター。映画誌『月刊スクリーン』(近代映画社)などに寄稿し、WOWOWのアカデミー賞授賞式中継などテレビ番組の監修も。著書は、海外ドラマの初心者からマニアまで楽しめる『「今」こそ見るべき海外ドラマ』(星海社新書)など。

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