『呪術廻戦』12巻には、トンデモ理論、豪快バトル、芥見下々のぶっ飛びアイデアが詰まっている

2021.9.6
呪術廻戦サムネ

文=さわだ 編集=アライユキコ


映画版の公開(今年冬の予定)を待ちながら『ジャンプ』大好きライター・さわだが『呪術廻戦』(集英社『週刊少年ジャンプ』連載)の既刊を1巻ずつ振り返っていく企画。今回は12巻、豪快な格闘シーンの連続が見どころです(以下考察は、12巻までのネタバレを含みます)。

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少年漫画の禁じ手とゴリ押しバトルの爽快感

マンガならではのトンデモ理論で固めた頭脳戦も楽しいが、ただただ力任せに相手をブン殴って終わらせる豪快バトルも気持ちいい。長編「渋谷事変」真っ最中の12巻は、そんな「力こそ正義」みたいなバトルの連続だった。

オガミ婆の降霊術により、作中最強の肉体を持つパパ黒こと伏黒甚爾(ふしぐろ・とうじ)が復活。思い通りに操作しようとオガミ婆は魂は降ろさなかったはずなのに、なぜかパパ黒の身体には魂がくっ付いてきてしまった。理由は、「特別な身体だから」だそう。純粋なる強さが理屈をぶっ壊してしまった瞬間だ。パパ黒は、とりあえずとばかりにオガミ婆を殴り殺している。

つづいてのバトルは、釘崎野薔薇(くぎさき・のばら)vs呪詛師・重面春太(しげも・はるた)。舌戦を交えた頭脳戦で対抗する野薔薇だったが、途中で現れた七海建人(ななみ・けんと)が腕力に物を言わせ、重面をあっさりと昏倒させる。

一応術式は使用していたが、そういう問題じゃないってほどの力の差。野薔薇が必死で戦っていたのがアホらしくなってくる。敵の能力が不透明なまま決着をつけるという少年漫画では禁じ手に近いダイナミックな決着と、弱い者イジメが大好きな重面のヤられ顔とが相まって爽快感がすごい。

カラスを操るエゴイスティックな美女

細身の女性呪術師・冥冥(めいめい)も、使う武器は身の丈ほどの大きな斧。しかし、単なるパワー系ではなく、見た目通りに知的な戦法も得意らしい。そんな冥冥が戦うのは、偽夏油(にせげとう)が用意した特級特定疾病呪霊「疱瘡神」(ほうそうがみ)だ。

疱瘡神の技(領域展開)は、相手を棺桶の中に入れて拘束→そこに巨大な墓石を落として棺桶ごと地面に埋める(ここまでは必中)→3カウント以内に脱出しなければ病気になって死んでしまうという理不尽極まりないものだった。

「私のために死んでくれるかい?」

2度も力ずくで脱出した冥冥は、弟の憂憂(ういうい)を囮にする。その隙にドデカい斧をぶん回して疱瘡神の腕を切断し、カラスを命懸けで特攻させる技「神風」(バードストライク)でトドメを刺した。たぶん斧だけでなんとかなるのに、わざわざカラスに命をかけさせたり、勝算があったとはいえ弟を身代わりにする戦い方が、冥冥のエゴイスティックな性格を表している。

妙にリアルな漫画的理論武装


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