『ヴィンチェンツォ』19話「俺はビジネス以外で誰かと約束したことがない。でも約束するよ。必ず戻ると」…かっこよ過ぎる

2021.8.21


「“有能なら腐っててもいい”。この国の考え方よ」

消えた金塊は、やはり暖薬寺のチョクハ僧侶(イ・ウジン)とチェシン僧侶(ウォン・スンウ)らがあらかじめ小分けにして持ち出していた。ソ・ミリのハッキングで金庫の扉が開いたときのヴィンチェンツォのはしゃぎぶりが微笑ましい。果たして、金塊と「ギロチン・ファイル」はどこに隠されたのか?

ヴィンチェンツォらはパク議員への反撃に移る。まずはギロチン・ファイルから得たパク議員のスキャンダルを流しまくる。頭を抱えるキム室長。悪徳弁護士チェ・ミョンヒ(キム・ヨジン)、地検長になったハン(チョ・ハンチョル)も打つ手なしだ。そこへ名乗りを上げたのが、ヴィンチェンツォらを裏切ったチョン・イングク検事(コ・サンホ)。バベル・タワーをめぐる裁判そのものをなくそうというのだ。

「この国にはマフィアの変形が大勢いる」と呆れるヴィンチェンツォにチャヨンはこう応える。「“有能なら腐っててもいい”。この国の考え方よ」──韓国だけじゃなく、日本でもあてはまりそうだ。

ハードな話題の直後にメロウな話題がやってくるのも『ヴィンチェンツォ』の特徴のひとつ。「すべてを成し遂げて出国したら戻るのは難しいわね」「私にとってヴィンチェンツォ・カサノはただの思い出じゃないわ」と呟くチャヨンに、ヴィンチェンツォはこう言う。

「俺はビジネス以外で誰かと約束したことがない。でも約束するよ。必ず戻ると」

うーん、カッコいい。その上、仕事もデキるのが憎い。ギロチン・ファイルを使って裁判の延期を撤回させ、裁判の鍵を握るホ判事(第6話でスズメバチに顔を刺されていた人。チャ・スンベ)をさらって脅す。ヴィンチェンツォが語った古代ペルシャの王と判事のエピソードがエグい。このエピソードは古代ギリシアの歴史家、ヘロドトスが書いた『歴史』に記されている。

怪物が目覚める日

バベル・グループの違法行為によるクムガ・プラザの賠償請求裁判が始まった。すっかりヴィンチェンツォに懐いてしまったチャン・ハンソ(クァク・ドンヨン)が相変わらずかわいらしい。

すっかりヴィンチェンツォの弟分になったハンソ/Netflixオリジナルシリーズ『ヴィンチェンツォ』独占配信中
すっかりヴィンチェンツォの弟分になったハンソ/Netflixオリジナルシリーズ『ヴィンチェンツォ』独占配信中

法廷で証拠として再生された映像は、バベルグループがこれまで何度も有力者たちに利益を供与してきた場面ばかり。しかし、ミョンヒやハンの顔にはモザイクがかけられていた。刑務所に入ったら殺すのが難しくなるからだ。一方、ヴィンチェンツォは裁判所のトイレでチョン検事の首をグイグイ絞めながら警告を与える。このときのヴィンチェンツォの表情の冷酷さが凄まじい。とても金庫の扉を開けて木魚を叩いていた人と同じとは思えない。寒暖差が激し過ぎ!

法廷に勢揃いしたカサノ・ファミリー/Netflixオリジナルシリーズ『ヴィンチェンツォ』独占配信中
法廷に勢ぞろいしたカサノ・ファミリー/Netflixオリジナルシリーズ『ヴィンチェンツォ』独占配信中

バベル・タワーをめぐるバベルグループの悪事は露見し、抹消登記手続きに入ることになった。カサノ・ファミリーの勝利だ。バベルグループのCEOとなったハンソは、麻薬同然と言われたRDU-90の生産中止を指示する。

しかし、あの男が黙っているわけもなかった。拘置所の中で狂犬と化したバベル・グループ会長、チャン・ハンソク(オク・テギョン)だ。そんな彼に破壊されたバベル・タワーのミニチュアの写真をわざわざ拘置所まで行って見せつけるヴィンチェンツォもたいがいだが、ハンソクは「怪物」になると逆に宣言する。

マフィアVS怪物の最終決戦が火蓋を切って落とされたのだ。

拘置所で狂犬と化したハンソク/Netflixオリジナルシリーズ『ヴィンチェンツォ』独占配信中
拘置所で狂犬と化したハンソク/Netflixオリジナルシリーズ『ヴィンチェンツォ』独占配信中

ハンソ、最大の危機!


この記事の画像(全56枚)


この記事が掲載されているカテゴリ

大山くまお

Written by

大山くまお

1972年生まれ。名古屋出身、中日ドラゴンズファン。『エキレビ!』などでドラマレビューを執筆する。

CONTRIBUTOR

QJWeb今月の執筆陣

酔いどれ燻し銀コラムが話題

お笑い芸人

薄幸(納言)

“ラジオ変態”の女子高生

タレント・女優

奥森皐月

毎日更新「きのうのテレビ」

テレビっ子ライター

てれびのスキマ

⾃⾝の思想をカタチにする「FLATLAND」

アーティスト・モデル

森田美勇⼈

お笑い・音楽・ドラマの「感想」連載

ブロガー

かんそう

「BiSH」元メンバー、現「CENT」

アーティスト

セントチヒロ・チッチ

ドラマやバラエティでも活躍する“げんじぶ”メンバー

ボーカルダンスグループ

長野凌大(原因は自分にある。)

“永遠に中学生”エビ中メンバー

アイドル

中山莉子(私立恵比寿中学)

最新ニュースから現代のアイドル事情を紐解く

振付師

竹中夏海

平成カルチャーを語り尽くす「来世もウチら平成で」

演劇モデル

長井 短

子を持つ男親に聞く「赤裸々告白」連載

ライター・コラムニスト

稲田豊史

頭の中に(現実にはいない)妹がいる

お笑い芸人「めぞん」「板橋ハウス」

吉野おいなり君(めぞん)

怠惰なキャラクターでTikTokで大人気

「JamsCollection」メンバー

小此木流花(るーるる)

知らない街を散歩しながら考える

WACK所属「ExWHYZ」メンバー

mikina

『テニスの王子様』ほかミュージカル等で大活躍

俳優

東 啓介

『ラブライブ!』『戦姫絶唱シンフォギア』ほか多数出演

声優

南條愛乃

“アレルギー数値”平均の約100倍!

お笑い芸人

ちびシャトル

イギリスから来た黒船天使

グラビアアイドル/コスプレイヤー

ジェマ・ルイーズ

QJWebはほぼ毎日更新
新着・人気記事をお知らせします。