『ヴィンチェンツォ』名シーンだらけの17話、こんなの泣くに決まってる!ソン・ジュンギの泣きの演技の見事さ

2021.8.7
Netflixオリジナルシリーズ『ヴィンチェンツォ』独占配信中

文=大山くまお 編集=アライユキコ 


『愛の不時着』と同じ「スタジオドラゴン」制作の大人気ドラマ『ヴィンチェンツォ』を韓ドラ大好きライター・大山くまおが解説、鑑賞をガイドする土曜日。今週は17話、とんでもなく大きく展開します、涙も信頼も裏切りも見逃さないで(17話までのネタバレを含みます)。

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屈指の“感情ジェットコースター”回

Netflixで配信中の『ヴィンチェンツォ』全話振り返りレビューも第17話。これまでにも増して、名シーンだらけの“感情ジェットコースター”回だった。

冒頭の緊迫したシーンから、ヴィンチェンツォ・カサノ(ソン・ジュンギ)の母を失った悲しみと剥き出しになる残忍さ、クムガ・プラザの人たちの温かさとカッコよさ、ヴィンチェンツォとバベルグループの間で繰り広げられるチェスのような駆け引きと張り巡らされた罠、そして裏切り──。これだけ詰め込まれているのに、全20話のうちの1エピソードなのだから恐れ入る。改めて振り返っていこう。

チャン・ハンソク(オク・テギョン)の屋敷に乗り込んできたヴィンチェンツォは、母を殺したカン・ホチョル(イ・ギュソプ)の脳天を撃ち抜き、銃口をハンソクらに向ける。だが、殺さない。

「俺はこう考えている。苦痛のない死は祝福だ」

ヴィンチェンツォは予告する。今後ふたつのものを与えると。ひとつは「死よりつらい羞恥心」。そしてもうひとつは「苦痛がじわじわ増す死」。手始めにハンソクの耳を撃つ! 悶絶するハンソクに絶叫しながら駆け寄る悪徳弁護士のチェ・ミョンヒ(キム・ヨジン)。彼らの信頼関係は、雇い主と雇い人を超えているように見える。サイコパス同士で通じ合っているのだろうか?

Netflixオリジナルシリーズ『ヴィンチェンツォ』独占配信中
耳を撃たれたハンソク/Netflixオリジナルシリーズ『ヴィンチェンツォ』独占配信中

ヴィンチェンツォの母、オ・ギョンジャ(ユン・ボクイン)の亡骸を前にして、ホン・チャヨン(チョン・ヨビン)は泣き腫らしていた。そこへやってくる血塗れのヴィンチェンツォ。彼は母に向かって「母さん」と初めて言って嗚咽する。

葬儀に出席しているのはクムガ・プラザの人々。チョ社長(チェ・ヨンジュン)もいるし、もちろん情報院のアン・ギソクくん(イム・チョルス)もいる。「バイバイバルーン」の経理のミスヤン(チョン・ジユン)だって涙していた。彼らはヴィンチェンツォの家族である。

墓前で「結局、この先、俺が生きる所は、後悔という地獄だ」と呟くヴィンチェンツォに、チャヨンは「いいえ、短い間だったけど、あなたはお母様に永遠の幸せを贈ったの」と返す。「もっとつらいのは、すでに恋しいことだ。母さんが」と再び涙するヴィンチェンツォ。

涙のシーンはつづく。ヴィンチェンツォは母がチャヨンに託していた手紙を読む。

「“おなかの中で胎動を感じてから今まで、ずっとあなたを愛していた。最後まで見守れなくて、ごめんね。私の息子、ジュヒョン。本当に心から愛してる。私の息子に生まれてくれて、ありがとう”と。ジュヒョンのことをお願いします」

こんなの泣くに決まってる! ソン・ジュンギの泣きの演技の見事さに加え、泣かせる母の言葉は「まだ来るか! まだ来るか!」という感じだった。しかし、ヴィンチェンツォが見るのは、人を殺めつづけてきた夢。彼も誰かの親を奪ってきた。彼はここから“修羅の道”を歩んでいく。

「僕たちはカサノ・ファミリーです」


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大山くまお

1972年生まれ。名古屋出身、中日ドラゴンズファン。『エキレビ!』などでドラマレビューを執筆する。

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