タモリを匂わせてもいた「お昼の生放送」
ついつい松ちゃんのコントに筆を割いてしまったが、歴代チャンピオン&ファイナリストのコントがおもしろくないわけがない。バナナマン&さまぁ~ずの“レジェンド””2組との化学反応も素晴らしかった。
ハナコ作「舞台監督」では三村のつっこみが炸裂し、シソンヌ作「キャンプ」では大竹の哀愁が空気を作る。バイきんぐ作「壁」では日村の顔と体型が最大限に活かされ、東京03作「クイズ番組」では設楽と角田の丁々発止のやりとりがたまらない(「おめでとう」で業者が忘れてきた”ジャイアントのハンマー”がここで出たと思った)。
2組が共演したロッチ作「仁義なきマジシャン」では、最終的に『でんじろうのTHE実験』のような装置で体に電流を流され、おじさんたちが床に転がり回った。厳密にはコントではないかもしれないが、現実と虚構が入り乱れ、コント衣装で本気のリアクションを取るくだりは、かつてのコント番組でもよく見られた光景でもある。
そして圧巻だったのは、ロバート作「お昼の生放送」。ロバートに加え11名が参加し、『笑っていいとも!特大号』のような「曜日レギュラー全員集合スペシャル」を演じるのだ。秋山演じるMCがレギュラー陣をいじりまくり、コーナーを無視して「誰が前どこの曜日だったか」で延々と立ち話をつづけてしまう。BGMにうっすらと『ブラタモリ』の使用楽曲が流れており、タモリを匂わせてもいた。
ロバートの立ち回りはもちろん、客演のコント師たちが「職業」「以前出演していた曜日」「所属事務所」「先輩後輩」などをしっかり把握しているからこそ、知らない人たちの雑談がずっとつづく。本編では13分ものコントになったが、現場では27分もカメラを回していたそう。いつか完全版をParaviに上げてほしい。
また、浜田雅功の不在についても触れておきたい。『キングオブコントの会』ではあるが、今回『キングオブコント』MCの浜田雅功の参加はなかった。ダウンタウンは昨年の『お笑いの日2020』オープニングでちょっとだけセンターマイクの前に立ったのだが、コントでの共演はおあずけ。
その代わり、ブリッジコントでは“浜田いじリ”がつづいた。「面会」では、スカジャンを着たマネキンにさらば青春の光・森田が「なんで『プレバト!!』で賭博なんかやったんですか」と語りかける。「浜田の楽屋」では、ロバート秋山演じる清掃員が台本の書き込みを見つけ、「結果発表」の音階が「ファ・ファ・ファ・ラ」であることを知る。
後輩のいじりに寛容なダウンタウンの姿は、『水曜日のダウンタウン』でもおなじみ。後輩たちの手によって、浜田の不在は逆に存在感を増すのだった……と思いきや、なんと本放送では出前館のCMが流れ、浜ちゃんが「♪出前がスイスイスイ~」と歌って踊るではないか。もはやこれもコントなのではと錯覚した。
KOC優勝特典に「松本人志とコントできる権」を
昨年から今年にかけて、コント番組の復興が目覚ましい。思いつくだけでも『新しいカギ』『ただ今、コント中。』(フジ)、『東京 BABY BOYS 9』『お助け!コントット』(テレ朝)、『笑う心臓』『やばいハートマーク』(日テレ)など、各局でコントが作られている状況だ。NHKの『LIFE!』も順調にシーズンを重ねている。
その中で、『キングオブコント』を手がけるTBSがコント番組をやるなら、と考えれば『キングオブコントの会』はまさに最強で最適な布陣だろう。ジャルジャル、かもめんたる、バッファロー吾郎、キングオブコメディ(解散)など、まだ登場していないチャンピオンもいることだし、今後もぜひつづけてほしい。
だって、『キングオブコント』の優勝特典が「松本人志とコントができる権」だったら、最高なんじゃないかと思うのだ。
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