6月10日、『呪術廻戦』の休載が発表された。心配されていた芥見下々の体調を考慮しての判断だ。こんなときは、既刊をアタマから読み返しながら芥見先生の完全復活を祈るべしである。『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載中のマンガ『呪術廻戦』を『ジャンプ』大好きライター・さわだが、1巻から隔週で読み直していく企画、今回は6巻、バトル成分濃いめの一冊を全力で考察する。(以下考察は、6巻までのネタバレを含みます)。今日(6/14)発売の『ジャンプ』には連載掲載あり!
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目次
1カ月と言わずに好きなだけ休んでいただきたい
ジャンプ編集部は、作者・芥見下々の体調不良により『呪術廻戦』の1カ月の休載を発表。本人は「週刊連載のスピード感のない呪術廻戦に魅力を感じない」と休載を拒否していたらしいが、これだけの注目作品だ。自覚のないストレスも相当溜まっているだろう。
コメントからも責任感の強さが垣間見える。だが、むしろ当然の権利として、1カ月と言わずに好きなだけ休んでいただきたい。復帰の際も、休んだのだからとハードルを上げず、気楽に描いてくれることを願います。
さて、今回振り返るのは第6巻。キャラクター名鑑のようだった前巻と打って変わって、バトル成分が濃いめの一冊だった。1コマ1コマに見応えがあり、アニメでもここらへんはすごく力が入っていたように思う。
また、今回初登場したのが、主人公・虎杖悠仁(いたどり・ゆうじ)の技(ただしくは現象)である「黒閃」。黒閃の設定や演出には、原作者・芥見下々の色がものすごく濃く出ていた。
緊張感のない東堂と虎杖
年に一度の呪術高等専門学校の交流戦。東京校と京都校の面々は、「学校が放った呪霊を多く倒したほうが勝ち」というルールそっちのけでバトルに興じる。そんななか、森林から生まれた特級呪霊・花御(はなみ)が乱入する。
交戦中だった伏黒恵(ふしぐろ・めぐみ)と加茂憲紀(かも・のりとし)、さらに単独行動していた狗巻棘(いぬまき・とげ)、そこに禪院真希(ぜんいん・まき)も加わって花御に応戦。交流戦を見守っていた教師で最強の男・五条悟(ごじょう・さとる)は救助に向かおうとするも、呪詛師・組屋鞣造(くみや・じゅうぞう)によって降ろされた五条専門の帳(とばり、バリアーみたいなもの)のせいで近づくことができない。
最強の敵キャラに対してああだこうだと策を練るのがバトル漫画の醍醐味のひとつだが、『呪術廻戦』では五条のために敵である特級呪霊たちが謀をめぐらす。この図式のおかげで敵のキャラクター性が深掘りされ、魅力が増す。逆に、味方側がミステリアスで掴みどころがない奴だらけでも、ちゃんと話は進んでいく。五条漫画であり、五条廻戦。物語の中心である上に、しっかりと読者人気も得ているのだから五条は偉い。
圧倒的な強さの花御に次々とやられていくなか、在校生最強の東堂葵(とうどう・あおい)と、さっきまで東堂と戦いながら修行をつけてもらっていた虎杖が到着する。花御曰く「呪力の総量だけで言えば絶対に私より弱い」はずの東堂だが、なぜかふてぶてしい余裕の態度を見せる。その東堂よりも弱いはずの虎杖まで強気な顔を見せ、伏黒は頼もしさと悔しさを感じながら、退散する。虎杖に「次死んだら殺す」とハッパをかけていたが、心境は複雑だ。
花御より呪力量で劣る東堂が取った行動は、なんとさっきのつづきだった。命を賭けた超格上の花御戦を、虎杖の修行に充てたのだ。ふてぶてしいにもほどがある。いいんだか悪いんだか緊張感みたいなものをまるで感じさせない。ある意味では「対格上」の醍醐味みたいなものを帳消しにしてしまっているが、そのぶんキャラが立っている。そんな東堂が虎杖に課した修行内容は、黒閃だった。
黒閃は「サイヤ人は死の淵から這い上がるたびに強くなる」みたい
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