アニメよるマイナースポーツ振興が起こる?男子新体操アニメ『バクテン!!』から考える

2021.6.19


アニメで魅力を伝えるという、競技振興の効果

2021年1月に放送された『SK∞(エスケーエイト)』で、あるキャラクターが言っていた。「スケートボードは指導者も少なく、極めたところで稼げない」と。エクストリームスポーツが盛んなアメリカではいざ知らず、競技としての認知度がアメリカほどではない日本の現状なのかもしれない。ここの課題はスケートボードに限らず、競技人口が約1100人(2021年3月4日時点)の男子新体操や、ほかのマイナースポーツにも通じるものがあるのではないだろうか。

(C)バクテン製作委員会

この課題を解決するために関係者の方々は、私のようなアニメファンが考える以上に、考えを巡らせているに違いない。しかし、その内容はもしかしたら競技になじみのない人とマッチしていないのではないか、と思うのだ。

陸上十種競技の元日本チャンピオンでタレントの武井壮さんが、『The UPDATE』(NewsPicks)の「東京パラリンピックは熱狂を生むのか?」(2019年8月27日配信)という回で言っていた。「競技のレベルやクオリティを上げても一般の人は観ない」「アイコンとなる選手が必要」「もっと競技に携わる人をメディアに出すべきだ」「観られなければ意味がない」と。このコメントを見て、これまでそのスポーツに関わってこなかった人にも競技の魅力を広げていくにはまず、観戦のハードルを下げる必要があるのではないかと感じた。

もちろん観戦のハードルを下げたところで、大会数や練習場所といった機会がなければ、競技人口の増加にはつながらないだろう。ただ何かを始めるきっかけには、目にしたときの衝撃や感動が大きく影響する。言葉を失ってしまうほど圧倒的な技の数々、そして競技に夢中になっている人たちの姿だけをありありと“魅せる”ことこそが、競技振興の入口、第一歩なのではないかと思うのだ。

スポーツの振興とは無縁のものに見えるアニメ。しかし、マンガ『SLAM DUNK』がバスケットボールの競技人口を増やしたと言われることもあるし、アニメの聖地巡礼が地域活性につながることも、昨今では珍しくない。だから『バクテン!!』というアニメが男子新体操の振興の入口となり、プラスの影響を与える可能性も、きっとゼロではないはずだ。

本来なら私みたいな男子新体操ド素人に、口を挟む資格はない。ただ、アニメを通して男子新体操に心を鷲掴みにされ大会日程を検索し、コロナの影響で観に行けない可能性が高いことが発覚してショックを受けている人間として、どうかひと言だけお許しいただきたい。

現実にはない表現も大胆に取り入れながら、選手にスポットライトを当てる映像を作れるアニメには、男子新体操、いや、あらゆるマイナースポーツがより多くの人の目に魅力的に映る“魅せ方”のヒントが眠っているのではないか、と。そして『バクテン!!』がきっかけとなって、全国各地に男子新体操が広まったらうれしいな、と。

【参照・参考】公益財団法人日本体操協会 令和2年度登録人口集計表(2021.03.04)

この記事を気に入った方はサポートをお願いします。次回の記事作成に活用いたします。

この記事の画像(全6枚)


関連記事

この記事が掲載されているカテゴリ


  • アニメ『バクテン!!』

    アニメ『バクテン!!』

    2021年4月8日より、フジテレビ「ノイタミナ」にて毎週木曜24時55分から放送中。ほか各局でも放送中。FODをはじめ動画配信サービスでも配信中。


Written by

クリス菜緒

福岡のわりと田舎在住のライター。『リアルサウンド ブック』『cinemas PLUS』などでアニメやマンガのレビューを書いたり、教育系NPOで広報をしたりしているが、実のところ愛猫“雛”との戯れの比重が大きめ。好きな食べ物は、セブンイレブンの草もち。サイト:https://qris.site/ ツイ..

QJWeb今月の執筆陣

酔いどれ燻し銀コラムが話題

お笑い芸人

薄幸(納言)

「金借り」哲学を説くピン芸人

お笑い芸人

岡野陽一

“ラジオ変態”の女子高生

タレント・女優

奥森皐月

ドイツ公共テレビプロデューサー

翻訳・通訳・よろず物書き業

マライ・メントライン

毎日更新「きのうのテレビ」

テレビっ子ライター

てれびのスキマ

7ORDER/FLATLAND

アーティスト・モデル

森⽥美勇⼈

ケモノバカ一代

ライター・書評家

豊崎由美

VTuber記事を連載中

道民ライター

たまごまご

ホフディランのボーカルであり、カレーマニア

ミュージシャン

小宮山雄飛

俳優の魅力に迫る「告白的男優論」

ライター、ノベライザー、映画批評家

相田冬二

お笑い・音楽・ドラマの「感想」連載

ブロガー

かんそう

若手コント職人

お笑い芸人

加賀 翔(かが屋)

『キングオブコント2021』ファイナリスト

お笑い芸人

林田洋平(ザ・マミィ)

2023年に解散予定

"楽器を持たないパンクバンド"

セントチヒロ・チッチ(BiSH)

ドラマやバラエティでも活躍する“げんじぶ”メンバー

ボーカルダンスグループ

長野凌大(原因は自分にある。)

「お笑いクイズランド」連載中

お笑い芸人

仲嶺 巧(三日月マンハッタン)

“永遠に中学生”エビ中メンバー

アイドル

中山莉子(私立恵比寿中学)
ふっとう茶☆そそぐ子ちゃん(ランジャタイ国崎和也)
竹中夏海
でか美ちゃん
藤津亮太