ゆりやんレトリィバァ悲願の優勝『R-1グランプリ2021』採点徹底分析。審査員たちの声が聞こえなかった謎を解く

R1サムネ

文=井上マサキ イラスト=まつもとりえこ 編集=アライユキコ


“ひとり芸日本一”を決める『R-1グランプリ2021』(カンテレ・フジテレビ)。番組はCreepy Nutsが書き下ろしたテーマソング「バレる!」をバックに始まった。予選に挑む芸人たち、勝ち上がったファイナリスト、そこに「俺の天賦の才がバレる」とR-指定の歌うサビが乗る。しかし終わってみれば、優勝したのは「すでに才がバレてる」ゆりやんレトリィバァ、5回目の決勝進出で『THE W』との2冠を果たした。生まれ変わった『R-1グランプリ』を改めて振り返ってみたい。

90点台が多い理由を考察

2002年にスタートした『R-1ぐらんぷり』は、19回目の今回から『R-1グランプリ』と名称を変え、大幅なリニューアルを果たした。司会が霜降り明星&広瀬アリスになり、放送はCOOL JAPAN PARK OSAKA TTホールから生中継。審査員や審査方法も大幅に刷新された。

ファーストラウンド全組の採点一覧。表中の赤字がその審査員がつけた最高点。青字が最低点。審査員ごと、ファイナリストごとに平均点と標準偏差(点数のバラつき)も併せて算出した
ファーストラウンド全組の採点一覧。表中の赤字がその審査員がつけた最高点。青字が最低点。審査員ごと、ファイナリストごとに平均点と標準偏差(点数のバラつき)も併せて算出した。作図/井上マサキ

審査は『M-1グランプリ』などと同様に、ひとり100点満点で採点。これにツイッターでの視聴者投票の結果から、1点、3点、5点のいずれかが加わる。

採点の一覧を眺めると、90点台が多いことに気がつく。審査員ごとの平均点も90点以上で、標準偏差(点数のバラつき)も少ない。審査員の多くが90点近くで小幅に点差を上下させており、平均点が高いホリや古坂大魔王は95点前後で点数をつけていることがわかる。

裏を返せば、大きな点差がつけづらいということ。漫才の『M-1グランプリ』、コントの『キングオブコント』と違い、R-1はコント、漫談、フリップ芸となんでもあり。同じくなんでもありの『THE W』は1対1で対決する“相対評価”なのに対し、今回のR-1は100点満点の“絶対評価”。ひとり目のマツモトクラブを基準にしようにも、次々にタイプの違うネタがかかってしまう。評価にメリハリをつけるためには、審査員の中に独自の「基準」を設ける必要がある

友近だけが低い点をつけている

その「軸」が顕著に表れたのが、古坂大魔王がZAZYにつけた「99点」だろう。ピンクの奇抜な出で立ち、4回繰り返される「なんそれ!」なフリップ、そして独特のリズムが最後にひとつに重なる大技。音ネタを得意とする古坂大魔王だからこそ、まだふたり目なのに「完璧な芸」と惜しみなく高得点をつけることができた。

審査員はそれぞれ「軸」を持っている。だからこそ審査員たちのコメントを聞きたかった。祠(ほこら)に住む怪物を手懐けた吉住に、ナンセンスが好きそうなザコシショウが88点をつけたことも、外れた祖父の乳首の代金をリコーダーで稼いだ高田ぽる子に、同じ女性芸人の友近だけが低い点をつけていることも。最終決戦で誰が誰に何点を入れたのかも。

おいでやす小田「わしいらんやないかい!」

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井上マサキ

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井上マサキ

(いのうえ・まさき)1975年宮城県生まれ。ライター、路線図マニア。大学卒業後、システムエンジニアとして15年勤務し、2015年よりライターに転身。共著に『たのしい路線図』(グラフィック社)、『日本の路線図』(三才ブックス)、『桃太郎のきびだんごは経費で落ちるのか? 日本の昔話で身につく税の基本』(..