『ヒコロヒーの金借りチャンネル』に見る芸人たちのリアルと、岡野陽一との借金頂上決戦の行く末

2021.1.27

文=かんそう 編集=鈴木 梢


「国民的地元のツレ」として大注目の若手芸人ヒコロヒーがイカレYouTubeチャンネルを立ち上げた。その名も『ヒコロヒーの金借りチャンネル』。まったく金がなくむしろ借金すらあるヒコロヒーが、芸人の仕事に集中して1年で爆売れするため、総額500万円をほかの芸人たちから借りるという、ひと言で言えば「人間の業」が詰まりに詰まったチャンネルだ。


借金交渉で見えてくる芸人たちの「リアル」

基本的なルールは以下。

  • 知り合いの芸人、タレントに電話でお金を借りる交渉をする
  • ただし、事前にいくら借りられるかを予想する
  • スタッフも同様に予想する
  • 予想が近かったほうがお金を借りることができる

まず、このチャンネルの一番の魅力。それはヒコロヒーの「話術」。これに尽きる。相手の給料からどれだけ借りられるかというのを計算し、時にまじめに、時にくだけて、言葉巧みに相手の警戒心を解き目標額を借りようとする一連の流れはとても美しく思わず見惚れてしまう。

大事なのはヒコロヒーはただ相手から金をむしり取ろうとする悪ではないということ。あくまで「借金」。これはあえて退路を断つことで「売れる」ということに対してもう一度真剣に取り組もうという覚悟の物語だ。

そしてもうひとつ、借金の交渉相手となる芸人たちの「リアル」が垣間見られるのがものすごくおもしろい。本気で金を借りたいヒコロヒーに対して最初は難色を示すものの、煙たがることなく真正面から話を聞き、折り合いをつけようとする芸人たち。

「自分はM-1優勝するから貸せるし、ヒコロヒーはおもしろいから言い値で返せる」と豪語するオズワルド伊藤俊介や、ヒコロヒーの実力を買って、ブレイクする道筋を立てながら現実的に貸せる額を提示する霜降り明星せいやなど、なぜかヒコロヒーが金を借りようとすればすれほど、相手の芸人がカッコよく見えてくるのだ。

岡野陽一との借金頂上決戦


この記事が掲載されているカテゴリ

Written by

かんそう

1989年生まれ。ブログ「kansou」でお笑い、音楽、ドラマなど様々な「感想」を書いている。

CONTRIBUTOR

QJWeb今月の執筆陣

酔いどれ燻し銀コラムが話題

お笑い芸人

薄幸(納言)

「金借り」哲学を説くピン芸人

お笑い芸人

岡野陽一

“ラジオ変態”の女子高生

タレント・女優

奥森皐月

ドイツ公共テレビプロデューサー

翻訳・通訳・よろず物書き業

マライ・メントライン

毎日更新「きのうのテレビ」

テレビっ子ライター

てれびのスキマ

7ORDER/FLATLAND

アーティスト・モデル

森田美勇⼈

ケモノバカ一代

ライター・書評家

豊崎由美

VTuber記事を連載中

道民ライター

たまごまご

ホフディランのボーカルであり、カレーマニア

ミュージシャン

小宮山雄飛

俳優の魅力に迫る「告白的男優論」

ライター、ノベライザー、映画批評家

相田冬二

お笑い・音楽・ドラマの「感想」連載

ブロガー

かんそう

若手コント職人

お笑い芸人

加賀 翔(かが屋)

『キングオブコント2021』ファイナリスト

お笑い芸人

林田洋平(ザ・マミィ)

2023年に解散予定

"楽器を持たないパンクバンド"

セントチヒロ・チッチ(BiSH)

ドラマやバラエティでも活躍する“げんじぶ”メンバー

ボーカルダンスグループ

長野凌大(原因は自分にある。)

「お笑いクイズランド」連載中

お笑い芸人

仲嶺 巧(三日月マンハッタン)

“永遠に中学生”エビ中メンバー

アイドル

中山莉子(私立恵比寿中学)
ふっとう茶☆そそぐ子ちゃん(ランジャタイ国崎和也)
竹中夏海
でか美ちゃん
藤津亮太

QJWebはほぼ毎日更新
新着・人気記事をお知らせします。