鑑賞後、しばらくログインできなくなるかも……。全編Zoomで撮影された“新感覚ホラー”が誕生

2021.1.16

(c)Shadowhouse Films and Boo-Urns 2020
文=折田侑駿 編集=森田真規


2021年1月15日に公開された『ズーム/見えない参加者』。本作は、コロナ禍で急速に広まったWEB会議ツール「Zoom」を使って撮影が行われ、観客はパソコンに映し出されたZoom画面を68分間にわたって観つづけることになるホラー映画だ。

この映画を観た本稿の筆者は、鑑賞後あまりの恐怖に「観なければよかった……」とすら思ったという。Zoomのビデオフィルター機能を使用していたり、多くの人が見たことがあるであろうアナウンスが表示されたり、Zoom経験者にはリアル過ぎる演出が次々に登場する“新感覚ホラー”。

Zoomにしばらくログインできなくなるリスクを顧みず、ぜひ新しい映画表現を目撃してほしい。


恐怖のドン底に引きずり込まれた

筆者は映画などのエンタテインメントに関するものを中心とした文筆活動をしているため、連日のようにマスコミ向けの試写状が届く。ご存知の方も多いかと思うが、試写状とは、これから劇場公開される作品をいち早くチェックすることができる招待状だ。

劇場公開に先駆け、楽しみにしていた作品を観られるものとあって、平時であれば試写室のはしごなどをよくしていたもの。けれども、ここ最近はそうはいかない。私たちの生活全般に大きな影響を及ぼしている新型コロナウイルスは、当然ながらこういったところにも影響している。

現在のコロナ禍で大きく変わったのが、“オンラインマスコミ試写会”が広く実施されるようになったことだ。もちろん映画とは、そのほとんどが劇場のスクリーンに投影されるために作られたもの。どれだけ小さくとも、せめて試写室のスクリーンで観たい。しかし、現在の環境下では人数制限が設けられていたりもするし、移動におけるリスクもある。そういった点に関していえば、テレワークなどと同じで、この試写会の形態は今の社会環境に順応していて、個人的にはとてもありがたいのだ。

そんなある日、一通の試写状が届いた。それが、『ズーム/見えない参加者』である。

ズーム/見えない参加者:動くポスター映像

「全編Zoomで撮影」だからこその怖さ

不勉強なもので、本作の存在は試写状が届くまで知らなかった。作品概要欄には「全編Zoomで撮影」とあり、オンライン視聴の方法も記されている。どうやらホラー作品のようだ。「折を見て鑑賞しよう……」ということでしばらく鑑賞を保留し(これもオンラインの良点だ)、私自身の中でその“折”が来たので再生した結果……予想を遥かに上回る恐怖を味わった。

時間が経つと本作の持つおもしろさにも気がつくのだが、鑑賞した直後は「観なければよかった……」と思ったほど。もちろんホラー作品に対する耐性にもよるのだろうが、私の場合は恐怖のドン底に引きずり込まれることとなったのだ。

ズーム/見えない参加者:予告編

本作の舞台となるのは、新型コロナウイルスによってロックダウン中のイギリス。この環境下で、6人の男女が「Zoom交霊会」を開くことに。なんと彼らはZoomを介して、死者との交信を行おうというのだ。

Zoomとはご存知のとおり、本来はWEB会議サービスだ。打ち合わせやオンラインインタビューなどで筆者も頻繁にお世話になっている。しかしコロナ禍によって、会議を目的としたものに限らず、幅広い世代や層に浸透した。

筆者自身も、遠く離れた故郷の友人らとの“オンライン飲み会”や、昨年の初夏ころにはZoom参加者のバーチャル背景を草花の画像に設定し、“オンラインピクニック”などを試みたこともある。人々が直接的に会うことができない環境下での大きな希望となり、「Zoom演劇」の登場をはじめ、一時はさまざまな使い方がSNS上でも話題になった。

“Zoomで交霊会”という着想のおもしろさ

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折田侑駿

(おりた・ゆうしゅん)文筆家。1990年生まれ。主な守備範囲は、映画、演劇、俳優、文学、服飾、酒場など。映画の劇場パンフレットなどに多数寄稿。映画トーク番組『活弁シネマ倶楽部』ではMCを務めている。

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