レインボーのリモートコントの異常なリアリティ
『キングオブコント2020』で美しい女装姿が話題となった空気階段の水川かたまりだが、それ以前に水川にメイクを施していた芸人がいる。レインボーの池田直人だ。彼は以前からコントで女装姿を披露しており、その姿は女装というよりは女性そのもの。姿だけでなく、レインボーのふたりによるコントは異常なリアリティを持っている。何が彼らのコントにリアリティを持たせるのか。
いい意味で「胃に悪い」コント
以前「ジャルジャルが状況を逆手に取った『リモートコント』の完成度の高さ」という記事を執筆し、リモートコントの難しさとジャルジャルの発想力の高さを紹介したのだが、もうひと組、ジャルジャルとはまったく別の視点から「リアル過ぎるリモートコント」をするコンビがいる。それがレインボーだ。
ジャンボたかおと池田直人からなる吉本興業所属のコンビで、2018年の『ぐるぐるナインティナイン』(日本テレビ)の人気企画「おもしろ荘」で優勝した経験もある注目の若手芸人。ジャンボたかおのウザ暑苦しいボケと、池田直人の完成度の高い女装が特徴だ。
男女感のあるあるや嫌な部分を容赦なく描いた彼らのコントは、いい意味で「胃に悪い」。コントのほとんどはボケらしいボケやツッコミらしいツッコミがなく、徹底的にひたすら嫌な人間同士の会話、嫌な男、嫌な女、そのリアリティだけを追求しぶつけてくる。ある意味「あるあるネタ」の一種で「そんな経験1ミリもしてないけどありそう」と思わせられてしまう。観ていると「死ぬほど腹が立つのにめちゃくちゃ笑える」という謎の感情が湧き上がってくる。
そんなレインボーのリモートコントはそのリアリティにさらに拍車がかかっている。自分だけの空間で離れた他人とコミュニケーションを取ることができる「リモート」というある意味で特殊な状況だからこそ生じる人間関係の「ズレ」や「本性」があらわになっていき、もはや「何を観せられているのか」という気にすらなる。コントというよりも本当にどこかで存在している人間たちのプライベートをのぞき見しているような感覚に陥る。それくらいふたりの演技力が化物じみている。
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