ラジオ変態の女子高生、伊集院光に恋をする(奥森皐月)

2020.9.16
奥森皐月

文=奥森皐月 編集=田島太陽


3歳のころから芸能活動を始めた奥森皐月。『おはスタ』(テレビ東京)や『すイエんサー』(Eテレ)などにレギュラー出演し、2019年の『やついフェス』では「公式キャンペーンガールオーディション」でグランプリを獲得した、16歳の女優・タレントだ。

彼女の趣味は「お笑い」。それも、15歳で『R-1ぐらんぷり』にエントリーするほどの熱量。今回は、自ら「変態的」と形容するほど偏愛する「芸人のラジオ」について、熱い思いをしたためる。

「好きなものを深めたい」からラジオへ

2020年4月に高校に入学した私は、現役の“FJK”(First JK=高校1年生)である。

令和JKは、SNSと共に生きる世代。インスタグラムに軸足を置き、恋リアを嗜み、推しの俳優やアイドルについて友達と話に花を咲かせる。しかしながら、私はそんな女子高生にはなれなかった。

奥森皐月『ニッポン放送 ラジオパーク in 日比谷 2019』にて
奥森皐月『ニッポン放送 ラジオパーク in 日比谷 2019』にて

「生活の中心にしているもの」「なくなると生きていけないもの」「愛してやまないもの」。私の場合、これらがひとつに集約されている。ラジオだ。自己紹介では、名前より先に「ラジオが主食のラジオ好き女子高校生です」と言いたいくらいにはラジオが好きだ。

幼いころからラジオにはなじみがあった。母が仕事中のBGMとしてJ-WAVEを流していたからだ。「君の席」(バナナマンとおぎやはぎとラーメンズによるお笑いユニット)が好きな母は『バナナマンのバナナムーンGOLD』と『おぎやはぎのメガネびいき』(共にTBSラジオ)をよく聴いていた。当時からヒムペキ兄さんは一緒に楽しめていた気がする。

自発的に聴き始めたのは、小学4年生のころ。音楽とお笑いをこよなく愛していた私は「好きなものを深めたい」一心で、気づけばラジオに辿り着いていた。

愛聴した三四郎とアルコ&ピース

初めてひとりで聴いたラジオは『三四郎のオールナイトニッポン0(ZERO)』。漫才が好きで、ネタ動画を毎日のように見ていた三四郎がラジオをしていると知りさっそく聴いてみたのだ。ふたりのトークは、知らない世界が多くとても刺激的だった。

小宮さんの「宇宙柄の短パンが虫食いで破けたのを直そうとお店に行ったら”ワッペン”を勧められた」話では、泣くほど笑った記憶がある。相田さんの「母親と確定申告に行く」話は、なぜか小学生の私のツボだった。

公園での鬼ごっこを諦めて、三四郎のラジオを四六時中聴いていた小学校時代。番組内で生まれた、小宮さん扮する芸術家“コミクシー”(覆面芸術家で、バンクシーの兄という設定)の展示を見たかったが、当時は自力で有楽町に行けなかった。悔しい思いをしたことは鮮明に覚えている。

もともと、お笑い大好き家族に生まれたため、芸人さんのテレビやネタを観るのは当たり前だった。『一人ごっつ』や『笑う犬』(共にフジテレビ)などの王道から、ラーメンズとジョビジョバのLIVE DVDまで完備された家で教育を受けた。上質なお笑いを提供しつづけてくれた両親には感謝しかない。

自宅のお笑いDVDの数々
自宅のお笑いDVDの数々

そこから、私のお笑い愛とラジオ愛を見事なまでに歪ませてくれた人たちがいる。アルコ&ピース。

ラジオ史に残る伝説の番組『アルコ&ピースのオールナイトニッポン』。この番組に人生を変えられた人は多く、私もまたそのひとりである。放送中に巻き起こる「茶番(ラジオコント)」に出会ったときは、比喩表現でもなんでもなく鳥肌が立った。

ラジオの無限の広がりを知り、この上ない幸せを感じた。私が聴き始めて間もなく番組は終了してしまったが、あのラジオと同じ時代に生まれたことだけでも誇りに思っている。ひとりっ子で友達もそれほどいなかった私に、突如「平子さん・酒井さん」という「お父ちゃん・お兄ちゃん」ができた。ラジオを聴くだけで家族も増えるのか、と戸惑いながらも喜ばしく感じていた。

高校1年生になった現在も、私はラジオを聴くことが何よりの楽しみで、日常の潤いとなっている。

お気づきであろう、私はラジオ変態なのだ

奥森皐月、2歳のころ。当時からお笑いが好きだった
奥森皐月、2歳のころ。当時からお笑いが好きだった

物心がついたときにはすでにスマホがあった。小学1年生で自分用のiPod touchを持ち、小学2年生でLINEを始めた。ツイッターやYouTubeがない世界は考えられない、Z世代のど真ん中である。そのなかで、ラジオのレトロな要素は特別魅力的に映った。

興味のない情報も知れる、規律に縛られない自由奔放な大人に出会える、不思議とパーソナリティとの距離が近く感じる、いつでも笑わせてくれる。唯一無二の、ラジオの存在に何度も助けられてきた。

この愛は如実に聴取時間に現れる。

今聴いている番組を聞かれると、

「JUNK全曜日、ANN(0・R含む)、サンドリ、24時台3兄弟、らじおと、東京ポッド、かまタク、問わず語り、Laughter Night、タダバカ、踊り場、High School a Go Go、宮下草薙の15分、密会Midnight、モーモーラジオ、マイメロセラピー、沈金、60TRY部、ミューコミプラス、みむこじ、耳壇、SONAR MUSIC」

と答える。口頭のときはひと息で答える。

これはあくまでも一部であり、本当はもう少し聴いている。さらに、PodcastもRadiotalkもGERA放送局も若手芸人さんのYouTube自主ラジオも聴く。これだけは黙っておきたかったが隠してもムダなので言うと、ハガキ職人さんのツイキャスまで網羅している。

もうお気づきであろう、私はラジオ変態なのだ。

女子高生の心も掴んだ、ラジオの帝王

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