レシピカードには店の理念が詰まっている
翌日、自宅から自転車で回れるだけのスーパーへ行って、レシピカードを探した。出だしは快調。よく行く地元石神井の「まなマート」、「クイーンズ伊勢丹」でそれぞれ収穫があったが、そこからが難航。石神井~大泉にかけて、そういうのがありそうにない雰囲気の「業務スーパー」とか「Big-A」なんかも丹念に寄りつつ、10店は回ったと思うんだけど、一向に見つからない。あっついし、もう帰りたかったけど、最後に西武新宿線の上石神井方面まで行って、あと数店だけチェックして帰ろうと思った。すると、そんな僕の努力をレシピカードの神は見逃さなかったのだ。
今日回ったエリアには「いなげや」が複数ある。大泉学園駅付近だけでも系列が2店あり、どちらにもレシピカードは置いていなかった。そして上石神井方面に向かう途中、また大きめのいなげやがある。当然、僕はここをスルーしようとした。ところが、店の前を通り過ぎた瞬間に、勝手に自転車のブレーキがかかる。知らず知らずのうちに、体がコレクターモードになってしまっていたのだ。両手ががっちりとホールドされ、もはや自分の意思ではどうすることもできない。「わかったわかった!」と、このいなげやもチェックすることにした。
入り口を入って、売り場ではなく、いきなりレジとサッカー台の間を進んでゆく。慣れたものだ。そして各種のチラシコーナーをさーっと流し見てゆく……するとなんと! レシピカードコーナーがあるじゃないか! 思わず二度見した。います? スーパーにレシピカードが並んでいるのを発見して、思わず二度見してるやつ。
いなげやでの収穫はなかなかで、合計20枚。しかも、ちょっとクセのあるレシピが多めなのが嬉しい。
それでは、各店のレシピカードの特徴や方向性について、以下に大まかにまとめていきたいと思う。
圧倒的物量がずらりと並ぶ快感。ゆえに一風変わったレシピも多く、眺めていて楽しい。特に「糀甘酒スイカフローズン」は攻めてる。
どのキャッチコピーも端的で、かつ「まいたけとツナの和風マリネ」の「香りと甘みが◎」以外すべてが「!」「♪」で終わっているのが無邪気でいい。
ご飯物やガッツリ系のおかずがメインで、食べ盛りのお子さんがいる家庭がメインターゲットと思われ、これは気取らない店の雰囲気とも非常にマッチする。レシピカードには店の理念が詰まっているのかもしれない。 あと、若干寄りの写真が多めのような気がした。
まず確認しておきたいのが、まなマートは石神井地区にしかないローカルスーパーだ。なのにレシピカードがあるということは、業界的に見てかなりのレアカード。手にしていると、全国のレシピカードマニアたちの悔しがる顔が思い浮かぶ。
ライフにおける「水産」「畜産」「農産」のジャンル分けを、青、赤、緑の色分けで視覚的にやっているが、これを初見で的確に見分けるのは難易度が高いかもしれない。ただし、一度覚えてしまうとこの上なくわかりやすい。 カツオ刺し、ポークソテー、肉じゃがなど、誰もが知るオーソドックスな料理にワンアイデア加えてみる、というような発想のメニューに特徴がある。
店のイメージどおり小粋なレシピが多く、写真も美しい。そのまま健康志向のカフェメニューになってても違和感がない。
特徴的なのがカード最下部で、そのレシピにぴったりな、店で実際に買える商品が紹介されている。例えば「たっぷり夏野菜のピリ辛ラタトゥイユ」なら「九州農家の手摘みとうがらし」。他のスーパーならばひと言「鷹の爪」と書いて終わりの部分だが、このレシピは真の意味では、九州農家の手摘みとうがらしを使わないと完成しないのだ。
正方形のデザインにこだわりを感じ、絶妙に小物が使われていたりと、写真への気合いが他と一線を画す。メニューもちょっと素人では思いつかないような、魅力的でありながら攻めたものが多い。
と思ったら裏面に「料理提供:ベターホームのお料理教室」との記載が。なるほど、つまり専門の業者と提携して作成されているレシピカードというわけか。うん。「客に対して有益な情報を発信する」という観点において正しい。そういうやり方もあるんだな。
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