家飲みを楽しむ100のアイデア 取るに足らないことでもひとつずつ立ち止まってじっくり味わう(パリッコ✕スズキナオ)

2020.8.15


100年前スペイン風邪が流行したとき、庶民は何をしていたのか

ナオ でも、特に今回はこのかたちでよかったと思いました。あちこち取材に行くことができないので、改めて家でできることをいろいろやってみようともがくみたいな。

パリ その記録ですよね。なんか、でも、人間の本質っていうと大げさだけど、人生いろいろあるけど、日常の中に小さな楽しみがなきゃやってられない、みたいな、それはどんな時代の人にでもあったんじゃないかと想像するんですよね。

ナオ そうですね。今回、新型コロナウイルスの感染が拡大していく過程でよくスペイン風邪が引き合いに出されていましたよね。今調べてみると「1918年~1921年に世界各国で極めて多くの死者を出したインフルエンザ」とあるから、ちょうど100年前って感じだ。大変な猛威を振るったわけですが、そのときを生きていた人が当然いて、過酷な状況でも日常はあったわけですよね。「晩ごはんどうしよう」とか。

パリ そうそう。その間、庶民の人々がくすりとも笑わなかったなんてあり得ないわけで。きっと、いろんな価値観で何かを発信していた人とかもいたんじゃないかなぁ。興味ある。

ナオ そういうのって消えてしまいがちじゃないですか。「スペイン風邪が流行した」っていう記録があとに残るだけで。

パリ 確かにそのときの悲惨さを後世に伝えることが一番重要だけど、「ところでみんな、毎日どんなご飯食べてたの?」も気になるし。

「家飲みを楽しむ100のアイデア」執筆者は他に、泡☆盛子さん、古賀及子さん、たけしげみゆきさん、玉置標本さん、山琴ヤマコさん

ナオ 今回の『のみタイム』は、そういう消えそうなほうの最たるものでしょうね。

パリ うん。「WEB飲みをしていたら、偶然友達みんなが席を外して自分以外赤ちゃんだけになった」とか。これ、紙で残したの価値ありますよ! ナオさん。

ナオ はは。私の書いた「赤ちゃんをあやしながら飲む」ですね。それも「100のアイデア」に入ってるという。

パリ  冷静に考えるとどこがアイデアなんだ。

ナオ あらかじめ言っておきますが、取るに足らないようなアイデアも多いんですよ。

パリ あの『酒のほそ道』のラズウェル細木先生とWEBで飲んだとき、先生から、「クソの役にも立たない」というありがたいお言葉をいただきました。

ナオ はは。珍しく口悪く。帯コメント風に言えば、「ラズウェル細木氏、激昂!」。

パリ あ、でも「そこがクセになって、読み出したら止まらない」とも言ってくれてましたね。念のためフォロー。

パリッコ・スズキナオ『週刊のみタイム』016/2020.07.26「ラズウェル細木さんと『のみタイム1杯目』を読む」現在、第18回まで公開中

コロナが収束し、生きる楽しみに幅を出すには


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パリッコ

1978年東京生まれ。酒場ライター、漫画家/イラストレーター、DJ/トラックメイカー、ほか。酒好きが高じ、2000年代後半よりお酒と酒場に関する記事の執筆を始める。著書に『つつまし酒 懐と心にやさしい46の飲み方』『酒場っ子』『ほろ酔い!物産館ツアーズ』、スズキナオ氏との共著に『“よむ”お酒』『酒の..

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