金八先生が女生徒を妊娠させる!?行き過ぎたエピソード連発『3年B組金八先生』スペシャル版配信解禁

2020.7.3

文・イラスト=北村ヂン 編集=アライユキコ


『3年B組金八先生』全シリーズ毎月配信中。7月3日に配信開始されるのは、スペシャル版の1〜6だが、人気ドラマの宿命か、単発2時間の放送枠には到底収まらないような「トンデモ」エピソードも叩き込まれている。それも魅力のひとつだと、『金八』マニアのライターで漫画家の北村ヂンが見どころを解説。


『贈る言葉』と『新・十五歳の母』

動画配信サービス「Paravi」で順次配信されている『3年B組金八先生』。今月配信されたのは、1982年から1986年にかけて、年1回ペースで放送されていたスペシャル版。

第1シリーズ、第2シリーズの大成功を受け、当然のごとく第3シリーズも……という期待は高まっていたものの、『金八先生』でブレイクしたおかげで武田鉄矢のスケジュールを半年間拘束するのが難しくなってしまい、苦肉の策で(?)企画されたのがこのスペシャル版だ。
これまで半年間かけて生徒の問題とじっくり向き合ってきた金八先生だが、スペシャル版ではそれを2時間でやっつけないといけない。そのため、どうしてもインパクト重視のトガったエピソード中心になり、どうかと思うようなハチャメチャな展開も多い。

今回紹介するのは、その中でも“どうかしてる”度の高い、スペシャル1『贈る言葉』とスペシャル6『新・十五歳の母』。

リベラル金八VSネトウヨ鉄矢

スペシャル1『贈る言葉』には、第1シリーズの卒業生たちが登場。
あれから3年が経ち、高校3年生となった彼らは同窓会を計画する。しかし、大学進学を目指す者、就職する者、高校中退しちゃってブラブラしている者……それぞれに事情を抱えており、集まりが悪そうなのだ。
そんなとき、卒業生のひとり九十九弥市が進路について「警察官か自衛官になりたい」と漏らしたことから、教師たちは騒然となる。

金八は「ボクは繰り返し繰り返し、命の大切さを生徒に訴えてきたつもりでしたけど……」と思いっきり落ち込み、金八といつの間にか結婚していた天路(倍賞美津子)先生は「私ヤダ、弥市に鉄砲持たせるなんて」と全否定。さらには君塚校長(赤木春恵)までやって来て「まさかと思ったんですけど、これが現実なんですね……」。

要は「生徒を自衛官にするなんてとんでもない」という話。兄を戦争で亡くしている君塚校長はまだしも、教師に限らず周囲の大人たちが全員、自衛隊否定派なのだ。
さっそくこの問題(!?)を解決するため、金八は卒業生全員に連絡を取り、強引に同窓会を開催することに。当日はほかの教師たちも集まり、弥市に「自衛隊がいかによくないか」を教え込む会と化す。

卒業生たちに日本国憲法を順番に朗読させ、弥市の番にはわざわざ、「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」部分を読ませる。……ただの嫌がらせだよ!
どんな問題が起こっても生徒たちと向き合い、話し合ってきた金八が、自衛隊問題だけは頭ごなしに全否定! 日本国憲法には、職業選択の自由も謳われているんだけどな。

とっくに卒業した生徒の進路に、中学校の教師たちが思いっきり介入した結果、弥市は自衛官になることを諦めてしまうという、なかなか恐怖のエピソードなのだ。
さすがに1982年にもなって、そこまで自衛隊に対する偏見が強かったとも思えないので、時代というよりは、自身も戦争体験を持つ脚本家・小山内美江子の思想的なものなのだろう。金八のヒットで小山内美江子にも発言権が増していた時期だとは思われるが、いくらなんでも露骨過ぎる。

一方、金八先生と人格が同一視されがちな武田鉄矢はどうなのかというと、のちに「自分は金八先生のようにリベラルではない」と発言している。最近では、嫌韓・嫌中本をラジオ番組で紹介したり、ネトウヨ発言をして炎上したり、立派な高齢ネトウヨと化していて、これはこれは痛々しい。当時、どんな気持ちでこのエピソードを演じていたのやら。

そういえば、「恥を知りなさい!」でおなじみの三原じゅん子議員も第1シリーズ卒業生だ。……金八先生より、武田鉄矢自身の影響を受けちゃったのかな。

金八が女生徒を妊娠させた!?


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北村ヂン

(きたむら・ぢん)1975年群馬県生まれ。各種面白記事でインターネットのみなさんのご機嫌を伺うライター&イラストレーター。藤子・F・不二雄先生に憧れ過ぎています。

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