「人間、生きてるだけでわりと偉業だと思います」
増田貴久が醸し出しているふんわりとした空気がすごい。全体的に柔らかい日の光で包まれた場面が多いのだが、その空気と同化しているようでもある。
グレーのパーカーにデニムキャップという姿で(これは「レンタルなんもしない人」本人と同じ服装)、いつも半口が開いていて、空気を読むことが苦手で、嘘がつけなくて、作り笑いが苦手で、寝ぐせがすごい。これを普段は美声でファッションセンスにも定評のあるアイドルの増田が、オーラを完全に消して演じている。これも演技力のたまものだろう。
プロデューサーを務める稲田秀樹は、「レンタルさんは今の世に現れた天使のような存在かもしれません」とコメントしている(公式サイト)。天使は人間の生活や悩みには介入しないが、彼らのあらゆるドラマを寄り添うように見守りつづける。これはヴィム・ヴェンダース監督『ベルリン・天使の詩』に登場する天使のことだが、ドラマの中の「レンタルなんもしない人」ととてもよく似ている。増田貴久は天使だ。
天使は人間の営みをすべて肯定する。離婚が決まったキャリアウーマンの彩(山口紗弥加)に、自分に点数をつけるよう求められると、さらっと「人間、生きてるだけでわりと偉業だと思います」と答え、赤ちゃんを見ながら「泣きたいときに泣いて、笑いたいときに笑って。赤ちゃんは好きにしているだけなのに、いつだってかわいい。本当は大人もみんな、そうでいいと思うんですけど」なんて言う。
都会で疲れ、自己肯定感がすり減ってしまった人たちに寄り添って、話を聞き、なんとなく肯定してあげる。これは仕事ですり減ってしまって「朝が来なければいいのに」と言うほど心が壊れかけた彼が、妻にしてもらったことだったりする。妻・沙紀のこのセリフがとてもよかった。
「今日は遅いし、もう寝よ。寝たら朝が来る。ま、寝過ぎて昼かもしれないけど」
仕事疲れ、友人疲れ、恋人疲れ、コロナ疲れしている人はぜひ。
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