考察『元彼の遺言状』10話 ええっ!最終回じゃなかったの?本作最大のサプライズ…法廷シーンはお見事でした
月9ドラマ『元彼の遺言状』(フジテレビ)。篠田敬太郎(大泉洋)の冤罪を晴らすために、剣持麗子(綾瀬はるか)が法廷に立つ。見どころ満載の最終回と思いきや! 本日11話が放送される『元彼の遺言状』を、ドラマウォッチャー北村ヂンが考察する(ネタバレを含みます)。
どうでもいい証言のために、みなぎる緊迫感
金貸しの小笠原仁美(田山涼成)が殺され、篠田敬太郎(大泉洋)が被疑者として逮捕された「十ヶ浜強盗殺人事件」の裁判員裁判が始まった。
主人公・剣持麗子(綾瀬はるか)が弁護士であるという設定は、これまでほとんど活かされてこなかったが、ここにきてようやく法廷シーン。
弁護側の綾瀬はるかと、検事を演じる八嶋智人、証言台に立つ成海璃子。「どうしてここまで法廷シーンがなかったの!?」と思うほど、見応えがあったが……。
争点となったのが、「パーティーの最中、篠田は酒に酔って店の外に出て、ベンチで寝てしまった」のは真実か否か。
篠田の認識としては、
酒に酔い、店の外に出て寝てしまった(ストールがかけられ、店の旗は降ろされていた)
↓
目が覚めて店内に戻ると、まだパーティーがつづいていた
↓
店内でまた寝てしまった
↓
目が覚めると店内で小笠原が死んでいた
ということらしい。
検察もパーティー参加者が帰ったあと、篠田が小笠原を殺したと考えているようだ。……だとしたら、篠田が外に出たかどうかって、どうでもよくない!?
結果的には、パーティーの最中(篠田が外に出ている間)、参加者みんなの前で殺されていたわけだが、それがバレていない段階では、篠田が店の外に出てようが出ていまいが関係がない。
「篠田は店外で寝ていた」と証明することが、裁判に勝つ決め手だと(なぜか)考えている麗子と、篠田に対する罪悪感で心が揺らぐ滝沢美月(成海璃子)との法廷でのせめぎ合いは緊迫感がハンパなく、見ているこっちも手汗があふれてしまった。
しかしよく考えると、罪悪感と戦ってまで隠すほどの情報じゃない。あの緊迫感はなんだったのか……。
篠田は私にとって必要な人間です!
真犯人は、前回、死亡した診療所の院長・高瀬(東根作寿英)だっただった。
借金のカタに住人たちの土地を奪って、リゾートホテル建設を進めようと計画していた小笠原を、住人みんなの代わりに殺害したのだ。
そして、その場に居合わせたパーティー参加者たち全員が口裏を合わせ、お世話になっている高瀬を守るため、篠田を犯人に仕立て上げたのだという。
高瀬がどれだけ住人たちから慕われているかは前回描かれてきたし、パーティーで働くために一時的に町を訪れただけの篠田にすべてを押しつけようという発想も納得はできる。
町の住人たちの怪しい態度は、篠田へのうしろめたさからだったのだろう。
しかし唯一、篠田に対しフレンドリーで、「6年前、私すごくお世話になったんですよ~」なんて、にこやかに声をかけてきていた美月!
篠田を犯人に仕立て上げた一員でありながら、あの態度を取れるのは怖過ぎる!
ほかの住人にしても、
「あんた(篠田)さえ戻ってこなきゃ……。わかるだろう!? この町の住民はみんな、先生に助けられてきたんだよ! 先生はこの町の住民の命を守ってきたんだ! 先生はこの町に必要な人間なんだ!」
よく知らない篠田より、お世話になっている高瀬先生という気持ちはわかるけど、当の篠田を目の前にしてこれを言えちゃうのはヒドイ!
そんな彼らに向かってたんかを切り、「篠田は私にとって必要な人間です!」と言い切った麗子の姿にスッキリしたが、つづく発言にまたもやモヤモヤさせられた。
「あなたたちはこれから罰を受けることになります。刑法第172条虚偽告訴罪」
……虚偽告訴罪!?
ずいぶん重い罪(人に刑事罰又は懲戒の処分を受けさせる目的で、虚偽の告訴、告発その他の申告をした者は、3月以上10年以下の懲役に処する)だけど、本当に成立しますか? かなり唐突に感じた。
原作を大切にしてほしい
ドラマ版の後半は、ほぼオリジナルドラマとなっていたので原作者・新川帆立(弁護士出身)の責任ではないが、罪状についてはもう少し納得のいく説明が欲しかった。
ちなみにフジテレビでは、来期の月9も新川帆立原作の『競争の番人』を放送することが決定している。
同じ原作者の作品が2期連続で月9とは、フジテレビがそれだけ注目している作家ということなのだろうが、だったらもうちょっと原作を大切にしてほしい。
「原作を改変しまくっても文句を言わない作家」ということで重宝されているんじゃないといいけど(まさかね)……。
まさかの次回予告に一番驚いた!
事件の顛末はモヤモヤしたものの、とにかく篠田が「透明人間」になる原因となった事件は解決し、無罪放免に。
「暮らしの法律事務所」も存続することが決定して、麗子と篠田の居候関係も継続する。
いろいろと、きれいにまとまって大団円……かと思いきや、まさかの次回予告! コレ、最終回じゃなかったの!?
正直、本作で最も驚かされた仕掛け(?)だ。これ以上、何をやるというのか!?
気になるのが、判決が告げられる際、法廷に突然現れた森川富治(生田斗真)の存在。麗子の元彼・栄治とそっくりの兄だ。
「驚きましたよ、傍聴席に栄治がいるから」
「私に残した栄治の遺言。借りは返しましたよ」
麗子と富治はすでに何度も会っているわけだが、今回に限って、なぜか麗子は富治のことを栄治扱いしている(からかい半分といった雰囲気ではあるが)。
対する富治のほうも、
「だから、僕は栄治じゃありませんよ」
と、意味ありげに笑みを浮かべていた。
そもそも、最初の事件で栄治が「遺産は、僕を殺した犯人に相続させる」というメチャクチャな遺言状を残した理由もまだハッキリとはしていない。
死んだのは栄治ではなく富治で、今の富治は栄治と入れ替わってるなんてことは……?
色んなモヤモヤを残したままの本作も、今度こそ本当に最終回!(たぶん)
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