『元彼の遺言状』5話 事件はショボイがいいチーム、関水渚をいいように操る綾瀬はるか&大泉洋

2022.5.16
元彼の遺言状5

文・イラスト=北村ヂン 編集=アライユキコ


月9ドラマ『元彼の遺言状』(フジテレビ)。綾瀬はるかと大泉洋のバディに関水渚がおもしろい加わり方をしてきて楽しい。だが、謎解きのほうは、うーむ。5話を漫画家でライターの北村ヂンが考察する(ネタバレを含みます)。


オフィスに水槽があるから交換殺人をしている!?

綾瀬はるかと大泉洋がバディを組んだ月9ドラマ『元彼の遺言状』第5話。
本作はミステリードラマということにはなっているが、トリックを解き明かしていくことに重点が置かれている回と、そうでもない回がある。

そして今回は……どうでもいい回!?

弁護士の剣持麗子(綾瀬はるか)、居候の篠田敬太郎(大泉洋)も参加したパーティーの最中に事件が発生する。
そのパーティーは、投資会社M&Sキャピタルの創立25周年パーティー。会場が暗転するなか、ステージで代表の真梨邑礼二(藤本隆宏)が、共同代表の庄司健介(髙橋洋)に感謝の言葉を述べている最中に殺人が行われたのだ。

被害者は、投資家の久野(芝崎昇)。首のうしろに注射痕があり、暗転中に毒物を打たれたようだ。
同行していた森川紗英(関水渚)によると、暗転する直前に誰かが会場に入ってきたという。さらに暗転中、一瞬ドアが開いて明かりが差し込んでいる。

じゃ、そいつが犯人じゃね?というのは誰でもわかるところ。
しかし、その“そいつ”を見つけるのが大変なのだが、「一度見たものは忘れない」特殊能力を持った紗英が、そいつの顔を覚えていて、なおかつ出先で“偶然”そいつと出会ったことでトントーンと事件は解決に向かっていく。
“そいつ”とは、アクアショップを経営する浜野美咲(遊井亮子)。彼女の夫は1週間前に溺死しており、殺人の疑いがかけられていたが、完璧なアリバイがあるらしい。

簡単に白状しなくてもいいのに……

さらに、パーティーで挨拶していた真梨邑のオフィスに水槽があったことで、篠田は「交換殺人なんだ!」とひらめく。

……いや、そうはならんやろ!

交換殺人とは、殺したい相手のいるふたりが、それぞれ相手を交換して殺すこと。
交換殺人のメリットは、加害者と被害者の間に殺害する動機がないため、足がつきにくいこと。そして、本当に殺したい相手が殺されている間に完璧なアリバイを作ることができる。
ミステリー小説やドラマではちょいちょい見かけるものの、おそらく現実世界でやる人はいないと思われるトリックだ。

……それはいいとして、美咲と真梨邑が交換殺人を犯したという根拠は、

・真梨邑の部屋に水槽があったこと
・美咲が、女癖の悪い夫に悩んでいたこと
・その夫が最近死んだこと
・美咲が暗転する直前、パーティー会場に入ってきたっぽいこと(うろ覚え)

これだけのエビデンスで、よくドヤ顔で「あなたは殺す相手を間違えた」なんて言いに行けたもんだ。
犯人側も、こんなユルユル推理で簡単に白状しなくてもいいのに……。

『剣持麗子のワンナイト推理』新川帆立/宝島社
原作『剣持麗子のワンナイト推理』新川帆立/宝島社(今回はオリジナルのようだ)

麗子&篠田に操られるお嬢さま

事件のトリック自体はどうでもよかったものの、麗子と篠田+紗英のチームを見ていて楽しいエピソードではあった。

行き場がなく、麗子の法律事務所に居候している篠田はともかく、実家が大金持ちの紗英がなぜ、ちょくちょく事務所にやってきているのか謎だったが、単にふたりから認められることに喜びを感じているようだ。
森川製薬創業一家の令嬢として育てられつつも、一族は金のことばっかり考えてるやつばっかり。なおかついとこ(麗子の元彼)の森川栄治(生田斗真)に幼少期から思いを寄せるも相手にされず。
麗子や篠田のように、対等な立場で(むしろ上から目線で)相手をしてくれる人間関係に飢えていたのかもしれない。

ふたりにいいように言いくるめられて、法律事務所の留守番をやらされたり、アクアショップや警察に潜入捜査をさせられたり。それでも妙にうれしそうな紗英ちゃんが愛おしいのだ。そんなことする必要はまったくないお嬢さまなのに……!
紗英を演じる関水渚が潜入捜査というと、どうしても『コンフィデンスマンJP』のコックリ役を思い出してしまうが。

元彼の遺言状相関図2
森川一族から紗英参戦中(1〜2話を相関図にまとめました)イラスト/北村ヂン

篠田がミステリー小説マニアとしての知識を活かしてトンチキな推理を展開する一方、麗子がキレキレの推理を披露してそれを否定というお約束の流れも円熟し、漫才感が増している。
いいチームなのだが、「なぜ麗子は探偵でもないのに毎回、犯人捜しをしちゃうのか」という疑問は常に頭の隅に残っている。犯人さえ見つけなければ、大口の顧問弁護士契約を取れそうなシチュエーションなのに!
自分が損をするとしても、正義感に突き動かされて……というキャラとは思えないのだが。
このへんの事情もいずれ明かされるのか、「そういうもんだから」で突き進むのか?

で、篠田の正体は……?

第1話からの懸案事項である、篠田の正体についても若干の進展があった。

かつて使用人として仕えていた栄治との出会いは、川で溺れている人を見かけて、ふたりで助けに飛び込んだこと。
びしょ濡れの栄治に缶コーヒーをおごってやるというベタ過ぎるシチュエーションでの出会いだったようだ。
その後、何がどうなって、大学のミステリーサークルの先輩のふりをすることになるのか。そして別荘の管理人になるのか?

一方、亡くなった栄治から「し・の・だ・を・た・の・ん・だ」というメッセージを残された麗子も、何も考えずに居候をさせているわけではなかった。
リアル探偵に頼んで身辺調査をしてもらっていたようだ。次回あたりで篠田の正体についても明かされてくるのだろうか……。

そして、次回はもうちょっとマシな犯人捜しが見られるのだろうか!?

【密室の教会でホストが殺された?!アナザーver.】綾瀬はるか×大泉洋『元彼の遺言状』第6話 30秒PR! 5月16日(月)夜9時〈フジテレビ〉


この記事の画像(全10枚)




関連記事

この記事が掲載されているカテゴリ

北村ヂン

Written by

北村ヂン

(きたむら・ぢん)1975年群馬県生まれ。各種面白記事でインターネットのみなさんのご機嫌を伺うライター&イラストレーター。藤子・F・不二雄先生に憧れ過ぎています。

QJWeb今月の執筆陣

酔いどれ燻し銀コラムが話題

お笑い芸人

薄幸(納言)

「金借り」哲学を説くピン芸人

お笑い芸人

岡野陽一

“ラジオ変態”の女子高生

タレント・女優

奥森皐月

ドイツ公共テレビプロデューサー

翻訳・通訳・よろず物書き業

マライ・メントライン

毎日更新「きのうのテレビ」

テレビっ子ライター

てれびのスキマ

7ORDER/FLATLAND

アーティスト・モデル

森⽥美勇⼈

ケモノバカ一代

ライター・書評家

豊崎由美

VTuber記事を連載中

道民ライター

たまごまご

ホフディランのボーカルであり、カレーマニア

ミュージシャン

小宮山雄飛

俳優の魅力に迫る「告白的男優論」

ライター、ノベライザー、映画批評家

相田冬二

お笑い・音楽・ドラマの「感想」連載

ブロガー

かんそう

若手コント職人

お笑い芸人

加賀 翔(かが屋)

『キングオブコント2021』ファイナリスト

お笑い芸人

林田洋平(ザ・マミィ)

2023年に解散予定

"楽器を持たないパンクバンド"

セントチヒロ・チッチ(BiSH)

ドラマやバラエティでも活躍する“げんじぶ”メンバー

ボーカルダンスグループ

長野凌大(原因は自分にある。)

「お笑いクイズランド」連載中

お笑い芸人

仲嶺 巧(三日月マンハッタン)

“永遠に中学生”エビ中メンバー

アイドル

中山莉子(私立恵比寿中学)
ふっとう茶☆そそぐ子ちゃん(ランジャタイ国崎和也)
竹中夏海
でか美ちゃん
藤津亮太