『元彼の遺言状』7話 「僕は殺人犯なんだ」篠田(大泉洋)の正体問題に進展あり

2022.5.30
元彼の遺言状7

文・イラスト=北村ヂン 編集=アライユキコ


月9ドラマ『元彼の遺言状』(フジテレビ)。剣持麗子(綾瀬はるか)の元上司が痴漢に間違われた冤罪事件をきっかけに、食品会社への脅迫事件など3つの事件が盛り込まれた7話を漫画家でライターの北村ヂンが考察する(ネタバレを含みます)。


事件は盛りだくさんだが………

弁護士・剣持麗子(綾瀬はるか)の元へ3つの事件が持ち込まれる。

元上司である津々井君彦弁護士(浅野和之)が満員電車の中で痴漢と間違われた冤罪事件。
シチューで有名なひぐま食品に「5月23日、社食の毒入りシチューで死人が出る」という脅迫状が届いた事件。
そして、後妻絡みの遺産相続問題。

1話完結のお仕事ドラマでは、基本的に1話でひとつのトラブルを解決するのがお約束。しかしシリーズに一度くらい、いくつものトラブルが同時多発的に起こって大騒ぎ……みたいなエピソードが入ってくるのも定番だ。

ただ、関係のないトラブルが同時に起こりつつも、真相に近づくことで、それぞれに共通点があることが判明していくのが普通だが、今回のエピソードはホントに3つの事件が同時に起こっただけだった。

動機は「休みたかったから」

3つの事件が同時進行するということで、どうしても個別の事件は小粒なものになってしまう。
特に後妻絡みの遺産相続問題は、ほぼ事件とも言えないようなトラブルだったので、メイン事件は痴漢冤罪と、脅迫状ということになるだろう。

痴漢冤罪事件の真相は、被害女性のでっち上げ。

かつて津々井は、ハヤテ自動車を不当解雇で訴えた集団訴訟で会社側の代理人をしていた。この裁判は、会社側が再就職を斡旋するという条件で和解に至ったものの、会社の言う「再就職」とは名ばかりで、結局、原告の社員たちのほとんどは、ただ解雇されただけだったという。
当時、原告団のひとりだった女性(三戸なつめ)が電車で“たまたま”津々井を見かけたことで、復讐のために痴漢をでっち上げたのだ。

ひぐま食品のほうは、脅迫状につづいて、「社員食堂の白いシチュー、5月23日は青酸カリ、ヒ素、トリカブト、トッピング無料」というビラがまかれたり、社食中の蛍光灯が外されたりと犯人の脅しはエスカレートしていく。
そしてやってきた5月23日。犯人は従業員全員。動機は「休みたかったから」。張り切る管理職のせいで、ろくに休むこともできず、サービス残業も常態化していたのだという。


犯人たちの無謀過ぎる行動

どちらの事件も、それなりに意外性があり、事件解決までの過程は楽しめたのだが、事件を解決するための決め手がボンヤリしており、例のごとく「よく犯人がわかったな」というエスパー推理が炸裂してしまっていた。

痴漢冤罪では、津々井が過去に被害女性側の弁護士と会ったことがある→ハヤテ自動車の集団訴訟だ→原告団を調べたら被害女性がいた!……というメチャクチャ運のいい偶然の連鎖。
脅迫状のほうは、従業員の出勤表を調べたところ、徳丸浩次という社員が毎年5月23日に忌引を取っていることが判明→みんなの勤務状況がハード過ぎる→犯人は従業員全員!

毎度毎度、麗子の推理力がスゴ過ぎる。探偵じゃなくて弁護士なんだけどな……。

今回のエピソードには「同時多発事件!事件は全て事務所で解決!?正体は○○の中に…」というサブタイトルがつけられている。
おそらく、探偵が自ら現場に足を運ばず、周囲から入ってくる情報から推理を巡らせて事件を解決する安楽椅子探偵モノを狙ったのだろう。
しかし、現場に足を運ばないどころか、大した情報も証拠もないままエスパー推理で事件を解決してしまうのを安楽椅子探偵モノと言ってしまっていいものか……。

そして、どちらの事件の犯人も無謀過ぎ! 
満員電車で恨みのある弁護士を見つけて、突発的に痴漢冤罪をでっち上げちゃうところまではまだしも、弁護士を立てて「徹底的にやってほしい」と依頼するとは……。
ひぐま食品の従業員も、管理職のパワハラまがいのプレッシャーで休めない不満が溜まっていたにしても、嫌がらせの程度が過ぎる。
これだけ騒ぎを大きくしちゃって、問題の管理職も処分されるにしても、従業員のほうだってただですむとは思えないけど……。

『剣持麗子のワンナイト推理』新川帆立/宝島社
原作『剣持麗子のワンナイト推理』新川帆立/宝島社

篠田が告白「僕は殺人犯なんだ」

さて、毎回ほぼコレのために見ていると言っても過言ではない篠田敬太郎(大泉洋)の正体問題。
麗子から、本物の篠田敬太郎はすでに死亡していることが告げられ、「あんたいったい何者?」と問い詰められても「言いたくない」と逃げていた篠田。
しかし、篠田を雑用係扱いした津々井に、麗子が「篠田は雑用係じゃありません。私の助手です」と反論する言葉を聞いたことで感涙。自分から正体を明かす気になったようだ。
それぞれ名前の違う免許証や保険証、マイナンバーカードを見せて、「僕は殺人犯なんだ」と明かした。

今回、篠田は「小笠原家之墓」に手を合わせていた。小笠原という人物はこれまで登場していないと思うが、篠田はこの小笠原の死に関わっているのか?
そして、麗子の元彼・森川栄治(生田斗真)が残した「し・の・だ・を・た・の・ん・だ」というメッセージは「篠田の弁護を頼んだ」という意味なのか?

生前の栄治は麗子にこんなことを尋ねていた。

「麗子ちゃんはどうして弁護士になろうと思ったの? お金のため? それとも正義のため?」
「もちろん、儲かるからよ。でも理由はそれだけじゃない。どんな悪党でも聖者でも金持ちでも貧乏人でも、はかるのは法律という同じ物差し。そこが好きなの。そして私は絶対に負けない」

今後は「絶対に負けない」麗子が、篠田の無実(?)を晴らしていくことになるのだろうか。
それにしても篠田、名前を変えてまで警察を避けているわりに、これまで顔も隠さずにメチャクチャおおっぴらに行動している。この人も無謀だ!

【“殺人犯”篠田の運命は?!富治も再び!】綾瀬はるか×大泉洋『元彼の遺言状』第8話 30秒PR! 5月30日(月)夜9時〈フジテレビ〉

この記事を気に入った方はサポートをお願いします。次回の記事作成に活用いたします。

この記事の画像(全12枚)


関連記事

この記事が掲載されているカテゴリ



北村ヂン

Written by

北村ヂン

(きたむら・ぢん)1975年群馬県生まれ。各種面白記事でインターネットのみなさんのご機嫌を伺うライター&イラストレーター。藤子・F・不二雄先生に憧れ過ぎています。

QJWeb今月の執筆陣

酔いどれ燻し銀コラムが話題

お笑い芸人

薄幸(納言)

「金借り」哲学を説くピン芸人

お笑い芸人

岡野陽一

“ラジオ変態”の女子高生

タレント・女優

奥森皐月

ドイツ公共テレビプロデューサー

翻訳・通訳・よろず物書き業

マライ・メントライン

毎日更新「きのうのテレビ」

テレビっ子ライター

てれびのスキマ

7ORDER/FLATLAND

アーティスト・モデル

森⽥美勇⼈

ケモノバカ一代

ライター・書評家

豊崎由美

VTuber記事を連載中

道民ライター

たまごまご

ホフディランのボーカルであり、カレーマニア

ミュージシャン

小宮山雄飛

俳優の魅力に迫る「告白的男優論」

ライター、ノベライザー、映画批評家

相田冬二

お笑い・音楽・ドラマの「感想」連載

ブロガー

かんそう

若手コント職人

お笑い芸人

加賀 翔(かが屋)

『キングオブコント2021』ファイナリスト

お笑い芸人

林田洋平(ザ・マミィ)

2023年に解散予定

"楽器を持たないパンクバンド"

セントチヒロ・チッチ(BiSH)

ドラマやバラエティでも活躍する“げんじぶ”メンバー

ボーカルダンスグループ

長野凌大(原因は自分にある。)

「お笑いクイズランド」連載中

お笑い芸人

仲嶺 巧(三日月マンハッタン)

“永遠に中学生”エビ中メンバー

アイドル

中山莉子(私立恵比寿中学)
ふっとう茶☆そそぐ子ちゃん(ランジャタイ国崎和也)
竹中夏海
でか美ちゃん
藤津亮太