『元彼の遺言状』6話 森蘭丸が織田信長を殺害…そのネーミングおかしくない?さらに深まる篠田(大泉洋)の謎を考察

2022.5.23
元彼の遺言状6

文・イラスト=北村ヂン 編集=アライユキコ


月9ドラマ『元彼の遺言状』(フジテレビ)。最初から犯人がわかっている「倒叙形式」で始まったものの、剣持麗子(綾瀬はるか)の立場が加害者の弁護士であることで、話が不思議なことに。篠田敬太郎(大泉洋)の正体の謎も深まった6話を漫画家でライターの北村ヂンが考察する(ネタバレを含みます)。


シロでもクロでも守るって言っていたのに……

綾瀬はるかと大泉洋がバディを組んだ月9ドラマ『元彼の遺言状』第6話。
今回のエピソードは、冒頭に犯行の様子が描かれる倒叙形式。当然、犯人はわかっているので、そこからいかにトリックを解明するかがドラマの肝になってくるのだが……。

弁護士・剣持麗子(綾瀬はるか)の元に、以前助けたホスト・武田信玄こと黒丑益也(望月歩)から連絡が入る。先輩ホスト・森蘭丸(味方良介)が殺人事件に巻き込まれたというのだ。
殺害されたのはホストクラブ「戦国」のナンバー1ホスト・織田信長(土井一海)。

蘭丸と信長は仕事のあと、飲みに行ってベロベロに。「いったん休もう」ということで、
信長が入信している教会の休憩室に行くことに。そこで1時間ほど寝て、起きたら信長が死んでいたという。

普通の倒叙ミステリーの場合、すでにわかっている犯人を、刑事や探偵の推理で追い詰めていく。
しかし本作では主人公が弁護士ということで、大企業を経営する蘭丸の母親から「シロでもクロでも関係なくお守りします」と依頼を引き受ける変わった展開に。

とはいえ、現場の休憩室は密室。信長の入っていた生命保険の受取人が蘭丸になっていたという事実も発覚し、なおかつ信長がその生命保険を解約しようとしていたこともわかっている。どう考えても蘭丸の逮捕は揺るがなそうだ。

ここで麗子が“クロをシロ”にして、蘭丸の逮捕を防ぐという展開ならおもしろかったのだが、結局、今回も単なる犯人捜しに没頭してしまうのだ。

決め手は事件のあと、現場から“なくなったもの”と“増えたもの”。
なくなったのは信長が“お風呂のときも絶対に外さなかった”指輪。増えたのは蘭丸のほおの傷。

殺害の際に揉み合って、信長の指輪でほおに傷がついてしまったため、蘭丸が指輪を隠したのだ。
しかし、いくら探しても現場から指輪が見つからなかったことから、麗子は「蘭丸が飲み込んだ」とエスパー推理をかます。「シロでもクロでも関係なくお守りします」と言っていたのに……。

結局、今回も5億円の報酬をフイにして、事件を解決しただけになってしまった。

森蘭丸が織田信長を殺害するって!?

しかし、今回はここからもう一展開する。

事件の裏で、信長たちがお世話になっていた教会の神父・木下(尾上寛之)が動いていたのだ。

木下神父は元・ヤクザで、刑務所に入っていて、出所後は神父に。子供がいたが、7年前に持病の発作が起きて病院に運ぶ途中、渋滞にはまって間に合わず、亡くなってしまった。その後、身寄りのない子供たちの養護施設を作ろうとしていて……と、要素盛り盛りの人。
7年前の渋滞の原因が信長だったと発覚したことから、殺害を考えたという。

「保険を解約か、確かにそれは裏切りかもしれないね」
「怒りを発散するのはけっして罪なことではないんだよ」
「あそこ(仮眠室)は防犯カメラもなくて不用心だから気をつけてね」

木下神父は蘭丸をそそのかすことで、信長を殺害させたのだ。

またこのパターンか……。

4話では、推理作家が完全犯罪のトリックが書かれた小説を読ませることで殺人を行わせようとしており、「それ、無理あるだろ!」と突っ込まずにはいられなかったが、今回はさらにレベルアップして、ささやきオンリー!

この程度では殺人教唆にもならないんじゃないだろうか……。


なぜ原作の名前を変更したのか

何より謎なのは、登場人物たちのネーミング。
原作『剣持麗子のワンナイト推理』では、信長を殺人したホストの名前は明智光秀になっているのだが、ドラマでは森蘭丸に変更されている。
神父(原作ではバーの店主)の木下雄一郎は、豊臣秀吉の幼名・木下藤吉郎から取ったのだろう。

明智光秀が織田信長を討った本能寺の変の裏に、秀吉の暗躍があったのではないか……という説をなぞらえたネーミングだったはずだが、そこで信長を殺したのが森蘭丸になってしまうと意味がよくわからなくなってしまう。

今回の殺人事件の動機は、保険金目当てというよりは、信長が蘭丸との信頼関係の証しだった生命保険を解約しようとしていたこと。
信長と蘭丸の関係性を際立たせるため、リアル・信長から寵愛されていた森蘭丸の名前を採用したのだろうか?
ただ、そのわりには殺害シーンで蘭丸は「だったら死んで支払ってくださいよ!」と言いながら信長を刺してるんだけど……。

『剣持麗子のワンナイト推理』新川帆立/宝島社
原作『剣持麗子のワンナイト推理』新川帆立/宝島社

篠田はニセ篠田だった

さて毎回恒例となった“篠田敬太郎(大泉洋)の正体は何者なのか問題”の進展。

麗子の元に届けられた身辺調査の結果、麗子やその元彼・森川栄治(生田斗真)が通っていた大学のミステリー研究会には確かに篠田敬太郎というOBがいたが、見た目はまったくの別人で、なおかつその人はすでに死亡していることが判明した。
大学に在籍していなかっただけではなく、「篠田」ですらなかったのか!

こうなってくると気になるのは、栄治が残した「し・の・だ・を・た・の・ん・だ」というメッセージの意味。

実際にミステリー研究会に在籍していた栄治は、本物の篠田敬太郎のことも知っているはずだが、回想シーンでニセ篠田に「篠田さんも好きなんだ、秦野廉(4話に登場のミステリー作家)」と語りかけている。

栄治も、なんらかの事情で本物の篠田とニセ篠田がすり替わっていることを認識しているのではないだろうか。
回想シーンの「じゃあもし、いつかボクに何かあったら弁護してくれる?」という栄治の言葉も気になるところ。

栄治とニセ篠田が共謀して何かヤバイことをやっていたのでは……!?

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北村ヂン

(きたむら・ぢん)1975年群馬県生まれ。各種面白記事でインターネットのみなさんのご機嫌を伺うライター&イラストレーター。藤子・F・不二雄先生に憧れ過ぎています。

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