銅像はなぜ迫害されるのか。軍人→裸女→空白。「台座の交代劇」から考察する日本人の特殊な銅像観
歴史の変革に銅像破壊あり。アメリカのBLM運動の報道で、銅像が破壊される映像を何度も目にした。政権交代の象徴としては、レーニンやフセインの銅像が引き倒されてきた。日本の銅像はどうだったのか。日本人にとって銅像ってなんだ? 銅像の歴史を遡り、戦前から『あいちトリエンナーレ2019』に引き継がれた「台座の交代劇」を検証しながらノンフィクションライター近藤正高は、意外な真理を発見する。
黒い布を被せられて
アメリカでは、5月にミネソタ州で黒人男性が白人警官に暴行されて死亡した事件以来、人種差別への抗議がつづいている。そのなかで、黒人差別や奴隷制、あるいは植民地主義に関連する銅像を破壊したり撤去したりする動きも現れ、ヨーロッパなどにも広がりつつある。破壊の標的となったのは、アメリカ大陸を“発見”したコロンブスの銅像や、南北戦争で奴隷制度廃止に抵抗した南部連合の人物、さらには奴隷解放宣言をした大統領リンカーンや、インド独立の父ガンジーの像にまで及ぶにまでおよぶ。イギリスでは奴隷商人の銅像が引き倒され、海に投げ込まれた。ストリートアーティストのバンクシーはこれを受けて、奴隷商人の銅像を引き倒すデモ隊をも一緒に銅像にし、歴史に残そうとスケッチで提案している(『中日新聞Web』2020年7月17日配信)。
銅像を撤去する動きは、アメリカでは今に始まったことではない。2017年には、バージニア州のシャーロッツビルで、南部連合の威光を讃えるロバート・リー像とストーンウォール・ジャクソン像の撤去を市議会が可決。これを受けて撤去賛成派と反対派の間で大きな衝突が起き、多数の死傷者が出ている。このあと像は黒い布を被せられ、慰霊のためのモニュメントに転じたという。
ほかの国でも、1989年の東欧諸国の民主化から1991年のソ連邦の解体へと至る過程で、ソ連の建国者で社会主義体制の象徴だったレーニン像が各地で引き倒された。また、2003年のイラク戦争では、米軍によって首都バグダッドが制圧されると、市内中心部の広場に建っていたフセイン元大統領の銅像がやはり引き倒されている。
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