VTuberとはただの言葉だ。音楽ユニット「MonsterZ MATE」は「エンタメ」という区画で戦っている

2020.7.19
「MonsterZ MATE」サムネ

2020年6月27日、SPWN(バーチャル3D空間上のエンターテイメントスペース)で2周年の無観客ライブを行ったふたり組人気音楽ユニット「MonsterZ MATE」(略称「MZM」)。舞台慣れした進行で次々と曲が披露され、ネットの評判も上々。ライブを終え、現在2枚目のフルアルバムを制作中のふたり、アンジョーとコーサカに、音楽について、エンタメ活動について、VTuberについて聞いた。

2周年ライブは素朴な感情からのもの

───2周年ライブで「2年間の結果」を出した、という感覚はありましたか?

コーサカ そういうのはないですね。

アンジョー ずっと地つづきだよね。

コーサカ 別に出し切ってないし、集大成でもない。事象としての2周年ライブを高いクオリティでやった、ってだけです。もちろんそこに入魂もしているし渾身で作り上げているけれども、2年間当たり前にやってきたことを当たり前にやっただけな気がしますね。

【MV】Live your life!! / MonsterZ MATE

アンジョー ぼくたちの活動はもっと素朴なものだと思うんですよ。「音楽がやりたい」。この素朴なものが地つづきでつづいて、結果として「2周年のライブよかったね」って見えたんだとしたらぼくらの中では成功でもあるし、これで熱が冷めないまま次に向いているってのはいいんじゃないかなと思います。

──素朴ってどんな感覚だと考えていますか?

アンジョー 純粋で、混じりっけのない、誰にも邪魔されない、まっすぐな感覚。

コーサカ 以上でもないし以下でもない。

アンジョー 結局最終的に一番大事にするのは自分たちの気持ちなんです。やりたいかやりたくないか。時には妥協したり試行錯誤しつつ、基本的には自分たちがしたいことをやっているつもりですね。

──2周年ライブで「これは入れたかった!」というのはありますか?

コーサカ 「Live your life!!」の背景映像は実は映像チームが1周年ライブのときに流すはずだったんですが、エラーで流れなかったので、その悔しさを載せて流しました。

アンジョー 今回用に新しくなってたよね(笑)。

コーサカ そうそう。あと新曲は絶対頭のほうでやるっていうのも決めていました。2年目はコラボも多かったので、星乃めあ、ワニのヤカを呼んで、あと天開司…はもうMZMみたいなものだから(笑)。

【MV】call me now feat. 星乃めあ / MonsterZ MATE

アンジョー ポイントごとにドラマは起こるようにしてますね。

コーサカ 一応流れは打ち合わせしたもんね。「Beep☆CARAMEL」最初と最後どっちでやるかとか。

【MV】Beep☆CARAMEL / MonsterZ MATE

──コラボや頻繁なMVのアップなど、それ自体がファンにしてみたらドラマチックだったのかもしれないですね。

コーサカ 結果としてそうなっている。「また明日」でも歌っているんですけど、「gimmickばかりドラマ」は嫌なので。作られたエモも嫌いじゃないですけど、「こう感動してほしい」みたいな作りはしたことはないです。

【MV】また明日 / MonsterZ MATE

──「また明日」や「透明な日曜日」あたりは日常の感想ですよね。

コーサカ そうです。ただただ起きたことを誇張せずに。最近のオタクって形容詞でかいじゃないですか。何かを報告する上で、その報告自体や感想自体に注目を集めようとするのがまじで嫌いなので。

【MV】透明な日曜日

──新曲「Last Judgement」はかなり圧迫感がありました。どういう意図で作られたんでしょうか?

アンジョー Coffee Creamersさんに書き下ろしていただいた楽曲です。コーサカから「これは『千年愛』と同じ布陣(スタッフ)でいきたい」という希望があって、コロナの状況になる前からめちゃくちゃ準備していたんですよ。ライブ終わったらすぐ音源配信したいよねとか。

コーサカ ワンマン用の仕かけの曲、っていう感じだったんですけど、こんなご時世になって計画がうしろ倒しになっていく状態。溜まっていった鬱憤をぶつけた曲です。

【MV】Last Judgement / MonsterZ MATE

──ということは歌詞は途中で変わっていったんですか?

コーサカ 歌詞を作りながら合わせて行ってたんですけど、どんどんうしろ倒しになっていくなか、製作期間とその時期も被っていたので、恨みつらみしか書いてない(笑)。

アンジョー ラップの部分はコーサカが手がけているので、楽曲に感化されて、かつコロナという状況があって、コーサカ自身の焦れた感情もあって、「Last Judgement」の世界観は意味づけられたんじゃないかと思いますね。

──MVの内容は途中で変更などされたんですか?

コーサカ あれはビデオディレクターの深山詠美が曲から得たインスピレーションを全部ぶち込んだもの。ダンサーの暴徒に楽曲渡して「振り考えておいてほしい」って言ったとき、同時に深山がMVの案としてチェス盤を見せてくれたんですよ。暴徒が振り付けできて「イメージ的にチェス盤の上なんだよね」って言われたとき、めちゃくちゃヤバかった。もちろんふたりは話してないのに、イメージが一緒だったの。

──そういう一致ってあるんですね。

コーサカ 絵に描いたんじゃないかって一致多いですね。MZMのまわりは起こる出来事の母数が多いからだと思うんですよ。10分の1でおもしろいことが起きるパッケージが100個あったら10回起きるけど、1個しかなかったらほぼ起きないじゃないですか。

「MonsterZ MATE」ワンマンライブの描きおろしビジュアル。この衣装は「hero_ 」「千年愛」「Enter the Avatar」などのMVで見ることができる。 イラスト/しのとうこ ©2020 Balus CO., LTD.
「MonsterZ MATE」ワンマンライブの描き下ろしビジュアル。この衣装は「hero_ 」「千年愛」「Enter the Avatar」などのMVで見ることができる。 イラスト/しのとうこ (C)2020 Balus CO., LTD.

VTuberとはただの言葉

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たまごまご

道民ライター。『ねとらぼ』『Mogura VR』などのWEBメディアや、雑誌『コンプティーク』『Vティーク』『PASH!』などで執筆中。マンガ、アニメ、VTuber、サブカルチャー中心に活動中。『仕事のマナー「気がきかない」なんて言われるのは大問題ですっ!』などなど発売中。バーチャルプラットフォーム..

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