お笑いの「次の10年」を考える、QJWebの「【総力特集】お笑い2020」。
ミルクボーイにつづく独占インタビューは、M-1で衝撃的なインパクトを残したぺこぱ。
ギャル男だったシュウペイとミュージシャンを目指していた松陰寺が出会ってコンビを結成し、現在のネタができるまでを振り返った前編につづき、後編ではM-1決勝戦までの道のりを中心に話を聞いた。
M-1以降で初となるロングインタビューを、前後編でお届けする。
サンミュージックに誘ってくれた“師匠”のひと言
波瀾万丈の1年だった。
年始には“ブレイク芸人の登竜門”と言われる「ぐるナイ 新春おもしろ荘」で優勝。5月には所属していた芸能事務所のお笑い部門閉鎖という憂き目に遭い、その後サンミュージックに移籍。そして年末にM-1グランプリで3位になって一躍全国区に。
そんな2019年を、ぺこぱのふたりはどのような気持ちで過ごしていたのだろうか?
松陰寺 大きかったのは2018年のM-1予選で、シュウペイがボケて着物姿の僕がツッコむというスタイルで準々決勝まで進んだんですよ。正直ネタも粗いし、全然仕上がってなかったにもかかわらず、切り口だけで結構いいところまで行けてしまった。
シュウペイ そこで手応えを感じて、敗退した直後にはもう切り替わってたというか、来年のM-1に向けてネタをしっかり作り込む1年にしていこうってなって。(松陰寺に)はい、つづきどうぞー。
松陰寺 悪くないだろう。そんで、ネタ固めしてる途中で「おもしろ荘」の出演が決まって、しかも優勝までしてしまった。元旦の朝から生放送が入り、さすがに「これは来た!」と思ったんですが……その後はあまり仕事が入らなくて、テレビを見たら夢屋まさるが「パンケーキ食べたい♪」って出まくってて、うわ〜、こっちだったか!となって(笑)。
シュウペイ あっちのほうが明らかにテレビ向きだもんね。
松陰寺 でも不思議とヘコまなくて。というのも、すでにM-1モードになってたので、もう1回ちゃんと潜ってしっかりネタ作ろう、むしろ変に消費されないでよかったって思えたんです。それは前の事務所のお笑い部門が突然解散となったときもそうで、特に焦りはなかったんですよね。そしたらもともと同じ事務所に所属してたピン芸人のTAIGAさんが「サンミュージックに来たかったら話してやるぞ」って声かけてくれて。すぐネタができる環境に行きたかったので「お願いします」となって、わりとスムーズに移籍できたんです。
シュウペイ あ、でも公式には(カンニング)竹山さんがスカウトしてくれたことになってなかったっけ(笑)。
──おふたりは前事務所のお笑い部門が解散したあと、AbemaTV『カンニング竹山の土曜The NIGHT』の「行き場を失った芸人たち」特集に出演し、番組内で竹山さんから「ウチに入れ」と言われてそのままサンミュージック所属が決まったというニュースを見ました。
松陰寺 もちろん最後は竹山さんのひと言だったんですけど、きっかけを作ってくれたのは僕らの師匠であるTAIGAさんなんですよ。いろんなところでこの話をしてるんですが、なぜかいつもTAIGAさんの名前が消えてしまう(笑)。
──正しいぺこぱ史を記しておきましょう。
シュウペイ そんなこんなで大変な1年だったねって言われるんですけど、実際はすごく充実してて。ライブも一番出てたと思うし、ネタの話し合いや反省会もずっとやってたし、ひたすら笑いと向き合った1年間でした。