『魔改造の夜』番組屈指の名勝負。伊集院「まさかトラとウサちゃんに泣かされるとは」

てれびのスキマ

テレビっ子のライター“てれびのスキマ“が、昨日観た番組を記録する連載「きのうのテレビ」。バラエティやドキュメントの中で起こった名場面、名言、貴重な会話の数々を書き留めます。2020年から毎日欠かさず更新中。


『魔改造の夜』(4月27日放送)

ついに始まった地上波レギュラー、初回は「トラちゃんウサちゃん50mリレー」。トラちゃんとウサちゃんのおもちゃを改造し、バトンリレーで50m走をするというもの。ポイントは、いかにバトンを渡すか。

挑戦するのは「Kセラ」、「T・DK」、「Yマハ発動機」という大手3社。Kセラのトラちゃんを見て「大金持ちの応接間みたい」、T・DKのトラちゃんは「デパートの屋上にありそう」と言い合っていたのが可笑しい。

「仕事」として参加したT・DK。「これは夢がありますねえ。そして不安もありますねえ」と伊集院が漏らしたバトン渡しの構造は、なんとペットボトルを輪切りにし、内側に巻きたがる性質を利用したもの。

Yマハ発動機は、原付と同じ30kmのスピードが出ると豪語し、ほかの参加者たちを騒然とさせる。しかも、トラちゃんの尻尾にバトンをつけ、バックで走らせるという。

1試技目、Kセラはコース横のガイドに乗り上げてしまい、途中でストップ。T・DKは伊集院が「不安がある」と漏らしていたとおり、バトンミスで失格。

対するYマハは、宣言した30kmには遠く及ばなかったが、なんとか初の完走を果たす。毎回そうだが、失敗するとほかのチームも悔しそうにするし、成功すると一緒に喜ぶのが、なんともいい。

今回、とりわけカッコよかったのは、T・DKのリーダー北村智子。途中開発が行き詰まったときも「なんにもやってない人はなんでも言うんです。『俺だったらこうしたのに』『なんでこうやらなかった?』って。そのときに『でも、勝ちましたよね』って。そのカードを持つこと。もう勝つしかない」とメンバーを鼓舞する。

トラの動きとウサギのそれぞれの動きの特徴をちゃんと反映させた、走る構造もこだわりを感じていい。1試技目失敗のあとも、スピードが出過ぎたためにバトンがうまくいかなかったと分析し、毅然とスピードを落とすことを決断。

そして2試技目、トラちゃんとウサちゃんが走る姿もなんだか懸命さが感じられて感動的だった。伊集院も「泣けちゃったなあ。まさかトラとウサちゃんに泣かされるとは思わなかったな」と涙ぐむ。

いつもどおり熱量がものすごい上、番組屈指の名勝負だった。

『水曜日のダウンタウン』(4月26日放送)

「冠番組パターンドッキリ」と題して、以前行った「『冠特番』ということで喜んで受けたオファーが『世界の冠を紹介する』という特番のいちパネラーだったとしても『だったらやめます』とは言いづらい説」、「『帯番組』のMCということで喜んで受けたオファーが『着物の帯を紹介する番組』だったとしても『だったらやめます』とは言いづらい説」の別パターン集。

ネルソンズには、旅番組ではなく「足袋の番組」『すこやか足袋ぐらし』のMC。コットンには、またぎの時間にやる番組ではなく『ニッポン職人遺産』という「またぎ」を紹介する番組。

どちらも勘違いだとわかると、すぐに気持ちを切り替えて前向きに。さまざまなタイプの番組のオファーが来る時期だから、それはそれで、と考えられるのだろう。

逆に『M-1』以後多忙を極めるウエストランドは、Amazonの番組ではなくアマゾンへ行く番組『ぶっとびホームステイ』で、なにより1週間拘束されることに難色を示す。

「ワンランク上がるくらいの反響がある番組だったらいいんですけど」「ふたりで1週間いたくない」と井口の文句は止まらない。これもよくわかる反応。ネタバラシされ、井口「何週か休め! 説がないなら!(笑)」。

鉄板トークを用意するよう事前にお願いされるも、鉄のほうの鉄板のトークだったオズワルド伊藤が、そのドッキリを受けたのが自分だけだとわかったときの「誰とも比較されないですんだっていうのがよかったっすわ」という反応も、芸人の生理がよく出ていておもしろかった。

そしてやはり一番笑ってしまったのが津田。「まわしで出ていただきたい」と言われるも、衣装がまわしだったというもの。それがわかると笑うしかない津田。

まわし姿になり前室で待機していると、あとからまわし姿のみなみかわがやってくるという、まさかの展開も用意されている周到っぷり。

みなみかわは「裏まわしで出てほしい」と言われ「松竹初ちゃう?」と喜んでいたが、わざわざタグをつけたまわしを裏に着させられるという屈辱。

「津田さん、ないっすよ。なんで鵜呑みにしたんですか!」と言うみなみかわ。津田「もう47歳やねん!」。


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  • 【連載】きのうのテレビ(てれびのスキマ)

    毎夜ライフワークとしてテレビを観つづけ、テレビに関する著書やコラムを多数執筆する、てれびのスキマによる連載。昨日観た番組とそこで得た気づき、今日観たい番組などを毎日更新で綴る、2021年のテレビ鑑賞記録。

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1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。

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