『M-1』は「死にゲー」?マヂラブ野田が『DARK SOULS』と芸人人生を重ねる(てれびのスキマ)

マヂカルラブリー

テレビっ子のライター“てれびのスキマ“が、昨日観た番組を記録する連載「きのうのテレビ」。バラエティやドキュメントの中で起こった名場面、名言、貴重な会話の数々を書き留めます。2020年から毎日欠かさず更新中。


『ゲームゲノム』

野田クリスタルとラグビー日本代表・福岡堅樹をゲストに「死にゲー」の金字塔『DARK SOULS』を特集。このゲーム最大の魅力である「究極の達成感」についてゲームクリエイターの宮崎英高は、「重要なのは、あくまで達成感を感じてほしいこと。高い難易度を、理不尽ではなく経験と学習が有効になるようにデザイン」していると回答。これに対し、『野田ゲー』で死にゲー「信~NOBU」を作った野田は「僕が作る難しいゲームって不愉快なんですよね。理不尽で不愉快」と、『DARK SOULS』がいかに「絶妙なバランス」で作られているかが、作ってみてわかったという。

野田は『M-1』挑戦と『DARK SOULS』を重ね「あれに毎回挑戦してはやられるんですけど、決勝行けたと思って喜んでいたらまさかの決勝でドンズべリしまして、最下位。俺、これ『死にゲー』だなって」と語る。さらに「リスクを恐れない」ことが本作攻略の肝だという話でも「そもそもこの仕事やってることがリスクですよね。リスクのない人生でいいのかって自問自答しちゃうんですよね」と、郵便局で働いてほしいという親の願いに反して芸人をつづけたことを回想。

また、「心折れた戦士」などを筆頭に「敗れし者」が登場する本作、『M-1』で優勝した瞬間のことを思い返す野田。紙吹雪がピシャーと出たときに「その間に負けた芸人たちがうしろに並び出すんですよ。それがチラッと見えたときに、僕はそっちにいたんで、1回は。そっちのことを考えてしまって、正直なんか、喜び切れなかったところはありましたね」と。だからこそ彼は、優勝が決まった直後のコメントで「最下位取っても優勝することがあるんで皆さん諦めないでください」と敗者たちに向け呼びかけたのだろう。

そして、野田は芸人人生こそ「死にゲー」のように難易度の高いゲームだと言う。「失敗を失敗と思わなくなりましたね。こういう仕事してると1回失敗して激ヘコミすることが多かったんですけど、でも『DARK SOULS』は失敗したことが大事。初見でクリアする人はいないんで、そもそも人生もそうだなって。こんなんスマートに全部行くやついないだろう、こんな難しいゲーム。って思うと1回1回のミスは経験値だなって思うようになりましたね」。

『DARK SOULS』の世界観が野田の芸人人生と妙に重なる。マヂカルラブリーが優勝したときの『M-1アナザーストリー』で添えられたBGMが「負けた、負けた、今日も負けだ」という歌詞が印象的な、ハンバート ハンバートの「虎」だったことを思い出した。『DARK SOULS』という題材から野田の芸人人生、人生観が色濃く語られた観応えのある回だった。

『アンタウォッチマン!』

「1997年の松村邦洋」と題して松村の転機を探る。松村とほぼ同期の爆笑問題は、松村が素人からプロになった直後、太田プロライブの3回目に初出演したときの衝撃を語る。「まったく無名の素人が来て全部持っていきましたよ。あれはビックリした。こんな天才がいるのか!って。あの衝撃は忘れられない」と太田が言えば、田中も「これはとんでもない大スターが生まれるなって、1回のライブのネタで思った」と語る。

太田は松村のスゴさのひとつを「発見」する力だと分析。「たけしさんって不思議なもので誰かがやるとできるようになる。(ものまねのスゴさは)“発見”なんですよ。松村くんはだいたいのものまねの先駆者」。

デビュー2年目『笑っていいとも!』レギュラーに抜擢されるなど順風満帆だった松村は、『進め!電波少年』に起用され「体当たり芸人」の道を進むことに。しかし、1997年、国民投票で番組を降板させられるとスランプに。ほかの番組では「わりと大事にされるんですよね。大事にされると自分じゃないなって」と自分の立ち位置がわからなくなってしまっていた。

そこで松村は原点回帰。大河ドラマの津川雅彦と西田敏行を見て「またイチからものまねの腕を磨こう」と決意。録画してふたりのセリフをすべてノートに書き起こして日々研究し、ビデオの音声を消してものまねでアテレコ。それを繰り返して完コピを目指したという。

そんな松村が再び大きく注目されたのが「ひとりアウトレイジものまね」。実は、これは中尾彬が「お前がやれそうな人いっぱい出てるから今のうちに新宿の映画館でさらっておきな」という助言から生まれたという驚きの事実。それも、松村がものまねする対象者をリスペクトし大事にしてきたからゆえなのだろう。一見、天才肌に見える松村の日々の鍛錬のすごみを感じさせる特集だった。


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てれびのスキマ

1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。

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