田中、アンガールズを救ってくれた母の死を語る「あれぐらいまわりの人を楽しませる人になりたい」(てれびのスキマ)

てれびのスキマ

テレビっ子のライター“てれびのスキマ“が、昨日観た番組を記録する連載「きのうのテレビ」。バラエティやドキュメントの中で起こった名場面、名言、貴重な会話の数々を書き留めます。2020年から毎日欠かさず更新中。


『金スマ』

「アンガールズ 母と歩んだ22年」と題してアンガールズと田中の母を特集。田中の母といえば、お茶目なキャラクターでバラエティ番組に多数出演し愛されていた。また、SNSで定期的にバズる「弁当」の話など田中との愛情あふれる親子関係もアンガールズのいいイメージを形作っていた。

アンガールズは『爆笑問題のバク天!』出演をきっかけに「ジャンガジャンガ」ネタで「キモカワイイ」などと評されブレイク。だが、やがて「4年目くらいで売れてるんで、しゃべる能力もほとんどなくて全然おもしろいことしゃべれてなかった」ふたりは、同時期に売れ始めたアンタッチャブルやタカアンドトシらのやりとりにまったくついていけず、仕事が激変したという。

そんな時期にアンガールズを救ってくれたのが、当初は芸人になることを猛反対していた田中の母。「年に数回、家族でなんかやってほしいっていう企画がいろんなテレビ番組であって、俺らみたいなうまくテレビ出れない人でも家族OKにしてたら仕事ってなんとか来る」ため「食いつなぐというか露出をギリギリ保つことができた」そう。「母親は一緒にテレビ出るとめちゃくちゃ爆笑取るんですよ。『さんま御殿』に出たら「踊る!ヒット賞」とか獲って帰るし。正直、助かりましたね。それだけでテレビ年間10本くらい出れるときあったから」と田中は振り返る。しかも「けっこう家族モノってゴールデン番組が多いから威力が強い」のだという。

テレビに出始めたころの心境を語った母のインタビュー音源が残っており、それによると「私が出るんで1本でも成立すればいいかなと思って出た。出たいことはなかった。私が出ないと番組に呼んでもらえないんだったら私が出ることで呼んでもらえたら」という思いだったよう。共演者たちからはもちろん、APからロケバスのドライバーに至るまで番組スタッフからも愛されていたのがスゴかった。

しかし、去年の2月、希少がんに侵されてることが発覚。「余命1~2年」と言われたそう。しかもコロナ禍。お見舞いにも行けないまま、そのわずか3ヵ月後の5月10日、69歳の若さで亡くなった。気持ちの整理がつかず、言えばズンとなって仕事にならないし、一般の人だから公表しなくていいと思っていたという田中だが、ロケ先でお母さんのファンという人に「元気にしてる?」と言われたり、いまだに番組出演のオファーが来て、そのたびに嘘をつくのがしんどくなってこのタイミングで公表したという。

「ありがとう」と伝えられなかったことが心残りだという田中は「生きてるときに『ありがとう』って言ったら『死んじゃうのかな』って感じになるから」と涙をこぼす。田中「あれぐらいまわりの人を楽しませる人になりたい」。

『久保みねヒャダこじらせナイト』

ゲストはアンガールズ。当初は視聴者からネタを募って「ジャンガジャンガ」を演じてもらう「投稿!ジャンガジャンガ選手権」をする予定だったが「それで稼いでいるネタをほかの人が書いてもおもしろくない」(ヒャダイン)というわけで変更。実際に自分も作ろうとして「めちゃくちゃ難しい」「なんてスゴいネタなんだ」と気づいたという能町みね子が「ジャンガジャンガがなぜスゴいか」をプレゼンすることに。

まず「長い会話はできない」のが特徴。「会話劇ではない」と。次に「ふたりとも常識人」だと。漫才やコントでは、ひとりは明らかにおかしい人の場合が多いが、このフォーマットのときの山根は基本常識人。ごく普通のふたりがたまたまおかしなことになる。これを作るのは意外と難しい。田中「生活感が大事なんで。みんなが日常でちょっと体験しそうなこと」。

そして「最終的にふたりともワタワタしないといけない」。これは「めちゃくちゃ高度」(能町)で、「再現性難しい」(久保)と評すのだ。こういうネタの構造の言語化はとてもおもしろいし、その上でネタを改めて観るとよりスゴさとおもしろさがよくわかって、とてもいい。

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てれびのスキマ

1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。

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