「テレビに出てる芸人の中で一番地獄にいた人」チャンス大城がブレイクするまでの軌跡

てれびのスキマ

テレビっ子のライター“てれびのスキマ“が、昨日観た番組を記録する連載「きのうのテレビ」。バラエティやドキュメントの中で起こった名場面、名言、貴重な会話の数々を書き留めます。2020年から毎日欠かさず更新中。


『アンタウォッチマン!』

ゲストはチャンス大城。スタッフが本人取材のため自宅に訪れた際、ドアに「配達の皆様 ドアをノックして下さい インターフォンこわれてます」という貼り紙がされていたのが妙に印象的。

イジメられていた中学2年のころ、『4時ですよ~だ!』の素人大会で優勝(そのとき披露していたのは『F1カーにはねられそうになった野良猫』など)し、学校のヒーローになった彼は、翌年、中3でNSC(8期)入学。千原兄弟、FUJIWARA、バッファロー吾郎らが同期。ブリッジで使っていた「オッヒョッヒョ」があだ名に。

が「まわりにおもしろい人ばっかりだったので心が折れてしまい途中で行かなく」なってしまった。定時制高校卒業後、改めてNSC再入学。今度は野性爆弾、ブラマヨ、次長課長などが同期。くわばたりえに恋をして付き合うが、卒業後は吉本を辞め、いわゆる地下芸人化。

「将来、自分が売れることはないと思っていた。死ぬまでの時間稼ぎだった」と振り返る。そのころ、よく一緒に活動していたのが永野。「お笑い無法地帯」などのライブに出演していた。お互い「無法地帯」というライブ名をなぞるように「すごい量のお酒を飲んでライブに臨んでいた」そう。永野も、売れる見込みはないけど普通の仕事もできないから「現実逃避でお笑いに参加してた」と振り返り、当時の自分たちを「よくない方向に走ってた」と語る。「どんだけ人として外れていることをやってくれるのか」を期待する客にしか褒められなかったと。

当時の生活はどん底。公園で寝泊まりし「生きるのがツラかった」と大城は言う。そのあと、付き合っていた女性が「旅に出る」と言ってしばらく会わず、再会したときには子供を産んでいてその場で婚姻届に判を押す「知らなかった結婚」し、すぐに酒癖の悪さから離婚するなど波乱万丈の人生がつづいていたが、最初の同期の千原兄弟のライブ『チハラトーク』出演をきっかけにチャンスを掴んでいった。

せいじは「チャンス大城はおもろいことをやりつづけている人なんで、ただまわりが売れてほしいって思う芸人」と、永野は「たぶんテレビ出てる芸人の中で一番地獄にいた人」とチャンス大城を形容し、ふたりが口をそろえて「おもしろい人は売れるんだ」と言っていたのが印象的だった。

『ドキュメント72時間』

「“どろんこパーク” 雨を走る子どもたち」と題された今回は、子供のやりたいことが尊重され禁止事項はほとんどない川崎の「子ども夢パーク」の夏の3日間に密着。

雨の中、泥だらけになりながら遊ぶ子供たち。3年前、学校がつまらないとこのパークに通い始めた9歳のボーイッシュな女の子。パンキッシュな風貌のその母も泥にまみれて一緒に遊ぶ。母は娘から学校がつまらないと聞いたときには「けっこう揺れた」というがこのパークに通い出して「予測できないことを楽しめるようになった」と。

10歳の美少年も、友達に「バカ、死ね」と言われたのが嫌で学校に行かなくなったという。撮影機材に興味を示したのはYouTubeなどもやっているという12歳の少年。このパークでリーダーシップを取っていて慕われている感じが伝わってくるが、彼もまたイジメられ不登校になっていたそう。

出てくる子一人ひとりがドキュメンタリーの主人公になりそうな子や親で、みんな自分の言葉をしっかり持っているから、それぞれの“物語”が伝わってきて30分とは思えないほど濃密だった。中でも9歳の少女がサッカーをやる際、仲間たちと口論になりつつも懸命に自分の意見やその理由を言っていて、それを理解した友達と自分たちで解決策を見つけ出すシーンは印象的だった。とてもいい回の多いこの番組の中でも屈指の回だった。

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  • 【連載】きのうのテレビ(てれびのスキマ)

    毎夜ライフワークとしてテレビを観つづけ、テレビに関する著書やコラムを多数執筆する、てれびのスキマによる連載。昨日観た番組とそこで得た気づき、今日観たい番組などを毎日更新で綴る、2021年のテレビ鑑賞記録。

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てれびのスキマ

1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。

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