劇団ひとりが「冗談でも腐せない。傷つけたくない」と語る「天才」男女コンビとは?(てれびのスキマ)

てれびのスキマ

テレビっ子のライター“てれびのスキマ“が、昨日観た番組を記録する連載「きのうのテレビ」。バラエティやドキュメントの中で起こった名場面、名言、貴重な会話の数々を書き留めます。2020年から毎日欠かさず更新中。


『ゴッドタン』

2年ぶりに開催の「この若手知ってんのか!? 2022」。今回の進行は2015年の「天才」部門で1位だったモグライダー。感慨深い。ここで紹介されたことがきっかけで売れた芸人も少なくないなか、時間がかかったと言われ、芝「2パターンあるんですよ。ハネていくヤツとここでフォーム崩すヤツ(笑)」。

「こいつは天才だ!」と一目を置かれている芸人部門は、5位にサルベース(「ボケのともやっぷがギャグが7万個ありムチャ振りでスベったことがない」との評)、4位にパンプキンポテトフライ、3位にリンゴゴリラ、2位にゼンモンキー、そして1位は、人力舎の2020年結成の男女コンビ・人間横丁。1年目から『ENGEIグランドスラム』にも出演したと聞いて事務所の先輩の矢作「なんで俺たちの耳に入らないんだ?」。

「これまで人生で友達がいなかったという山田くんが養成所で内田さんと『自然が好き』という理由で意気投合」したというほんわかコンビ。ネタ合わせも芝生にシートを敷いてやったりするという。「付き合ったりとか?」と男女コンビに聞きがちなことを聞くと「あぁ~いけない質問だぁ~」と山田。独特の雰囲気に一気に掴まれる。

コンビ結成を誘ったのは山田。養成所の授業が最初、Zoomだったというのもコロナ禍ならでは。内田の自己紹介動画を観たときに「(自分と)ふたりで漫才してる!」と思って声をかけたというが、メールを送るのに「4日くらい悩んだ」そう。でも、もし直接対面でだと彼の性格上、誘えなかったのではないかと思うとコロナ禍が生んだコンビなのかもしれない。

プレゼント交換もしているという彼ら。山田は人にプレゼントを贈ったことがないから何を贈ればいいかわからず手紙を渡したそう。そこには「内田さんと出会って人間に近づけた気がします」と書かれていたという。そんなふたりに乗せられていたBGMは菅田将暉の「虹」。これがめちゃくちゃ合う。劇団ひとり「冗談でも腐せない感じあるよね。傷つけたくないなって(笑)」。

K-PRO児島代表が「芸人からの人気もすごくて、いま“袖視聴率”ナンバー1の芸人」と評す「天才」部門4位のパンプキンポテトフライは「クズ芸人」部門でも1位だったという。

谷は、常に4~5人の女性から援助してもらっていた女たらし芸人。毎日ホテル代や食事代を出してもらっていたというエピソードを話すと「結婚する気があるのか?」と問われ、答えを濁していたが「結婚すればいい話になる」となおも迫るひとりに「いい話にする気ないです!」とキッパリ言い放つ。天才芸人だから褒められると思って来たという谷に矢作「人間横丁とひと言もしゃべるなよ(笑)」。

『お笑い向上委員会』

向上ゲスト・ランジャタイにモグライダーから「もう営業に来ないでくれ」とクレーム。『M-1』ツアーでは決勝の順位で登場順が決まるため、ランジャタイの次がモグライダーという順番になる。

「自分らのネタをちゃんとやんない。他人のネタやるんですよ」と。毎回、無駄にクオリティの高い和牛のネタコピーを2~3分やったあと、少し自分たちのネタをやり、最後、5~6分、永野のネタをやるという。「ウケてんの?」と聞かれ「これが、ウケるんですよ!」と苦々しくモグライダーが声をそろえる。荒れまくっているから自分たちが普通にネタを始められないと。

錦鯉・渡辺もランジャタイが「時間を守らない」と追随。優勝したためトリを任せられているがランジャタイが長過ぎて、錦鯉の持ち時間が2分しかなくなり、「ノリノリまさのり」だけを踊って終わったことがあると。渡辺「僕はひと言もしゃべってない。手拍子してるだけ(笑)」。

「ボケと傍観者」という独特の関係性のランジャタイ。伊藤はネタ合わせのときはちゃんとツッコんでいるが、本番では驚くだけと暴露され「緊張してたんでしょうね。本番弱い」と笑う一方で、ツッコんだら「終わっちゃうんで。終わらせたくない。(国崎のボケを)もっと見てたい。この人だけをみんなに見てほしい。永遠に見ていたいですね」と語る。

相方のボケを「ずっと見ていたい」というスタンスは新しい。いや、むしろ原点回帰、初期衝動のままともいえる。だったら「出ないほうがいいんじゃない?」というマヂラブ村上の身も蓋もない言葉を受けさんま「相方が客席って新しい(笑)」。

営業で、四千頭身の代打におぼん・こぼんが入ったというエピソードも無性に可笑しかった。

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  • 【連載】きのうのテレビ(てれびのスキマ)

    毎夜ライフワークとしてテレビを観つづけ、テレビに関する著書やコラムを多数執筆する、てれびのスキマによる連載。昨日観た番組とそこで得た気づき、今日観たい番組などを毎日更新で綴る、2021年のテレビ鑑賞記録。

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1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。

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