実は春日もいた!?テレビのフォーマットで遊び切った『ここにタイトルを入力』(てれびのスキマ)

2022.5.18
てれびのスキマ

テレビっ子のライター“てれびのスキマ“が、昨日観た番組を記録する連載「きのうのテレビ」。バラエティやドキュメントの中で起こった名場面、名言、貴重な会話の数々を書き留めます。2020年から毎日欠かさず更新中。


『ここにタイトルを入力』

最終回は、フットボールアワー後藤が司会の「真夜中のおしゃべり倶楽部」。だが、やはりオープニングにスタッフが後藤の楽屋を「報告とご相談」で訪れ、「出演者が人気者ばかりだったから裏被りが心配」と言い出し、「なんとかしておきましたから」と不穏なことを告げる。後藤「……ん?」。

そうして始まった「真夜中のおしゃべり倶楽部」。カメラは出演者がいるはずのところを捉えているが、映っているはずの出演者は見えない。出演者の声も消され、テロップだけで進行。ゲストがIKKOだということも、パネラーにフジモンやジャンポケ斉藤がいるらしいことも、テロップでのセリフでわかる。見えないはずの出演者たちがバラエティを見慣れた僕らには段々と見えてくるような錯覚に陥るから不思議だ。

さらには遊園地ロケVTRもレポーターのぺこぱの姿は見えず、ナレーションや絶叫マシンで出演者の横に座るスタッフが映るのみ。そのVTRを見るスタジオの出演者のワイプも空。催眠術師・十文字幻斎だけは裏被りの心配はないという判断なのか姿が見え、スタジオで見えない出演者たちに催眠術をかけるのだ。そして最後に「トゥース!」のテロップ。それまでしゃべっていなかったらしい春日もいたことがわかる。

全6回、さまざまな角度からテレビのフォーマットを使って遊び切った。こういうチャレンジ枠は今後もつづけてほしい。

『まんが未知』

宮下兄弟による「プロまんが未知」の続編。藤田和日郎の激アツアドバイスにより、第1話は劇的によくなったものの、前回、少年誌の編集者に2~3話を酷評された宮下兄弟。今回はそのネームを手直しし『Bバージン』などの山田玲司に見てもらうことに。読了してすぐ弟に「この話どう思った?」とまずふたりともが本当におもしろいと思っているのかを問う山田。言いよどむ弟に兄・宮下が、本当はやりたいことが別にあってそこまでの道筋を2~3話に描いたと説明。すると「3話目をフリにしたら連載が終わる」ときっぱり言い放つ。そして「設定資料を読まされてる感覚」だと正直に酷評。その上で新人漫画家は「4話目以降のことは考えなくていい」と、1~3話目の具体的で実践的な描き方をレクチャーしていく。

1話では、世界観の説明などはいらないから「ムカつくやつ殴りてぇ」などシンプルなところで読者と共感するキャラクターを出し、「まるで俺のようなやつ」と思わせることが大事だと。その俺のようなやつがこんな目に遭っちゃうとなると読まずにはいられなくなると。そこで山田は宮下の相方の草薙を例に出し「草薙くんは『わかるわぁー』の塊。今の時代、みんながあの人に共感する。それを漫画でもできるはず」と語る。

2話目はその感想戦(前回の振り返り)を冒頭に持ってきて、主人公が今の状況を理解するのと読者が物語を理解するのがリンクするようにし、終盤に次なる予想外の展開で主人公が重要な選択を迫られるようにする。3話目で一番気持ちいい展開(または残酷な展開)を持ってくきて、主人公の決断を描くのだと。

草薙を例に出した通り、藤田和日郎のアドバイス同様、すべてのエンタメに通じる話だろう。しかし、山田は「まずこれを基礎として、このメソッドをぶっ壊さないといけないの、次の人が」と注釈することも忘れない。そして何より重要なのが「(描いている)ふたりでいかに楽しめるか」だと。


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1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。