「天狗になっていた」山里亮太が後悔している『M-1』で麒麟・川島にかけたひと言(てれびのスキマ)

てれびのスキマ

テレビっ子のライター“てれびのスキマ“が、昨日観た番組を記録する連載「きのうのテレビ」。バラエティやドキュメントの中で起こった名場面、名言、貴重な会話の数々を書き留めます。2020年から毎日欠かさず更新中。


『櫻井・有吉THE夜会』

ゲストは麒麟・川島、南キャン山里、ダイアン津田。川島が山里、津田より2期先輩だが年齢は2歳年下で「baseよしもと」で苦楽を共にした関係。

FUJIWARA、シャンプーハット、陣内智則らが主軸となりアイドル的人気で連日超満員、イベントをやれば3万人が集まるほどだったbaseよしもとだが、その人気者たちが一気に卒業。笑い飯、千鳥、麒麟の3組が主役になり一気に雰囲気が変わったという。このあたり以前『おかべろ』での笑い飯ゲストの回と合わせると当時の雰囲気が立体的に見えてくる。

「(川島さんは)baseよしもとのときはめちゃくちゃ怖くて。おもしろくないものは認めないって顔で。僕なんか川島さんの前で震え上がってました」という山里の川島評を受けて「今でも田村くんの前では鬼の顔する」と笑う有吉。

一方、津田は川島にかわいがってもらっていてお互いの家を行き来する仲で、山里とも仲がよかったそう。彼の愛されっぷりがよくわかる。山里はいち早く売れ「天狗になってた」と本人が言うように川島も「うっすらみんなから嫌われてた」そう。しかし、大悟の前では「いい後輩」の顔を見せていたという。

やはり彼らの中で『M-1』は大きく、笑い飯、麒麟、千鳥、南キャン、ノンスタがしのぎを削っており、年末が近づくと口を利かなくなっていた。

2004年には南キャンが決勝進出。麒麟は敗者復活から上がってきた。その際、山里は川島に「おかえりなさい」と、ただでさえバチバチのライバル関係なのに偉そうに上から言ってしまったことを後悔しているという。だが川島は「うれしかった」と振り返る。誰も話しかけてくれないような雰囲気だったときに話しかけてもらえてよかったと。

だから次の2005年、ストレートで決勝に行った麒麟に対し千鳥が敗者復活から上がってきたため「おかえり」と言おうとした。だが、楽屋に入ってくるなりノブは声かける隙なく「……危ねぇーど!」。

そんな若手時代から戦友の川島と山里はいまや多くの番組を任されるMCに。そのふたりが同じ悩みを抱えているというのが興味深かった。それはふたりとも『山ちゃんの~』だとか『川島の~』のような自分の名を冠した番組がないこと。

それぞれの憧れのMCを川島は「人間で仕切っている感じ」がする加藤、山里は「内に秘めたるものを隠しながらひょうひょうとやってる感じがカッコいい」と東野を挙げているところに、明確に自分の将来像を描いている感じがした。

『タモリ倶楽部』

旅行ガイドブック『地球の歩き方』がコロナ禍でなんと売り上げ9割減になる大打撃。その代わり新機軸として始まった『世界のグルメ図鑑』『世界の巨像』などの「旅の図鑑シリーズ」が好調だそう。そのボツ企画を再プレゼンするという企画。

最初の編集部員は「世界のすごい青」をプレゼン。企画会議では盛り上がったが、「青」の風景を集めると海ばかりになってしまうとボツになったそう。そんななかでモロッコのシャウエンの風景を紹介。壁やドアが青に塗られている絶景にタモリは「モロッコは行きたくて『いいとも!』終わってすぐ行ったね」と明かし、パリやマドリードも行ったがやっぱりテレビで見ているまんまだった、モロッコだけは本当に異国に来たという感じだったと熱っぽく語る。

次にプレゼンされたのは「世界のすごい火山」。タイトルを聴いただけで説明を聞く前に「読みたい」の札を上げるタモリ。実際、この企画がまだ通ってないのが意外なほど。ゲストの市川紗椰が提案するのは「世界の階段」。ポルトガル・リスボンの階段の話にやはりタモリは食いつき「おもしろいのは日本は上のほうが高級住宅街だけど、ポルトガルは上のほうが繁華街」と語る。

編集長は「世界のすごい地層」をプレゼン。予想どおりタモリも市川も即「読みたい」の札を上げる。「地層を知ればその土地のなりたちがわかる。旅と親和性が高い」という編集長にタモリは「いちいちごもっとも!」とうなずく。

伊豆の地層切断面には「地層断面前」というバス停が。当然、訪れたことがあるタモリは「地学の用語がバス停になってるのはたぶん世界でここだけ! 俺も写真撮ったもん」と語る。めちゃくちゃタモリと相性のいい企画。いつもながらこの番組はタモリが前のめりになればなるほどおもしろい。

【関連】『たりないふたり』山里&若林が語るMC論「偉そうって言われるか、ナメられるか」


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  • 【連載】きのうのテレビ(てれびのスキマ)

    毎夜ライフワークとしてテレビを観つづけ、テレビに関する著書やコラムを多数執筆する、てれびのスキマによる連載。昨日観た番組とそこで得た気づき、今日観たい番組などを毎日更新で綴る、2021年のテレビ鑑賞記録。

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1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。

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