テレビっ子のライター“てれびのスキマ”が、昨日観た番組を記録する連載「きのうのテレビ」。2020年から毎日欠かさず更新中。
『有吉の壁』
「ブレイクアーティスト選手権」が豊作だった。
パンサーによる「正直隊」は安定のクオリティ。チープさが癖になる。「最後のフリ、ミスりました」とうなだれる菅だが、有吉は「この3人をプロデュースして芸能界を辞めようかと」と笑う。「ネットで紳助さんっぽいって言われてますので(笑)」。
ランジャタイ&インポッシブルは、大衆演劇風の「小紫一座」。町娘役の伊藤が可憐。有吉は「全然よくなかった!」と「×」を出すが、これは「いい×」に違いない。
そして「おたから塚歌劇団 うめ組」。「娘役」には煌みやび(パーパーあいなぷぅ)、そのまわりを囲む「男役」に椿(椿鬼奴)、春風卍丸(ヒコロヒー)、一十百千万(阿佐ヶ谷姉妹・渡辺江里子)、木村万次郎(阿佐ヶ谷姉妹・木村美穂)と、「まん様ばっかり」の布陣。めちゃくちゃいい。
2.7次元の「KOUGU維新」、大衆演劇の「小紫一座」、少女歌劇の「おたから塚歌劇団 うめ組」とそろってきたので合同で何かやってほしい。
『お笑い実力刃』
ゲストのタメにならない伝記を作る新企画「タメ伝」。
最初のゲストは錦鯉。スタジオには、約16年前から錦鯉を見ていたという伊集院。「その時点でもう少しくすんでいた」と。
『M-1』優勝決定時にもらい泣きしていた富澤は、そのときの心境を「すごい報われたなあ、奇跡を今ここで見てるんだっていうのと、これから忙しくなるからかわいそうに……って」と語る。
同期や後輩たちがブレイクするのを「最初は悔しいという思いはめちゃくちゃあった。でもどうすることもできない。おもしろくなるしかない。でも、慣れてくる。抜かれていくのにどんどん慣れていく。(それよりも)芸人つづけられているのが幸せだなって」と思っていたという渡辺。
また、自分たちのような年齢のコンビを後輩たちが受け入れてくれた地下ライブに感謝していると語る。同じ土俵で戦って切磋琢磨し「モグライダーに負けたりしたら悔しいな!って思う気持ちが芽生えてきた」と。
そんなモグライダー芝は、錦鯉について「偉ぶる感じがないし、おもしろいからずっと一緒にいたい」先輩だと語る。「隆さんは、まさのりさんがいないときでもスーパースターって言ってた。『おもしろいだろ、うちのスーパースターは』って自然に言う」ことに驚いたという。
そして、渡辺が繰り返し言っていたのは「俺の代わりはいるけど、まさのりさんの代わりはいないから、とにかくまさのりさんを見せてあげたい」ということ。
長谷川の母は、芽が出ずお金をせびる連絡しか来ないころを振り返り「テレビで銀行強盗とかコンビニ強盗とかのニュースがよくあるじゃない? うちの息子じゃないかと思って真剣にテレビを観て、あ、年齢違う、名前違うってそういうのを確認する」と回想。この気持ちはよくわかるし、そう思わせてしまっていた苦しみもよくわかる重いひと言だった。
2011年に北海道テレビで、長谷川の帰省に密着するドキュメンタリーが放送された。錦鯉は2012年結成だから結成直前ということだろう。
それを観た渡辺は「その映像は、ハゲでやせているおじさんがライブでスベっているという内容だった。まさのりさんがただのかわいそうな人になっていた。その映像を観てちょっとムカついた。まさのりさんのおもしろさをたくさんの人に伝えたい。そう思った」と綴っている。
「芸人としてじゃなくて何もできない人を撮ってる、ただ哀しくさせるドキュメンタリーに見えてしまったんです。まさのりさんはこんなんじゃないと」。これが錦鯉結成の引き金になったのかもしれない。
伊集院は、錦鯉の漫才の特異な点を「普通、漫才だったら相方と話しているフリするし、ツッコまれたらそっちを向く。一切ない」と看破。「(渡辺は)大好きなスーパースターをみんなにおもしろがってもらう役目」に徹しているのだと。「叩かれても振り向かないって。人間として、その(反応する)機能はついてるはずじゃん(笑)」。
解散しようと思ったことは一回もないというふたり。長谷川は、目に見えてステップアップしていたから「芸人やってて楽しかった」と言う。「だから青春というか……青春ですね」と最後までズッコケさせるのが「スーパースター」たるゆえんだろう。
コメントを寄せたザコシショウが「大事なことを言い忘れた」と最後に錦鯉にメッセージ。「ネタをずっとやりつづけろよ。芸能人になるんじゃないよ。ずっと芸人でありつづけろよ」。
どこまでもカッコいいザコシ。その言葉を姿勢を正して聞く姿で、いかにザコシをふたりが尊敬しているかがわかる。ブレイク前のザコシや小峠からの助言といい、錦鯉がSMAで本当によかったと思える彼らの軌跡だった。
明日観たい番組:『かりそめ天国』朝食バイキングの三つ巴にロバート秋山が迫る!
『かりそめ天国』(テレ朝)2時間SP「仁義なき函館ホテル戦争にロバート秋山が潜入」。
『酒のツマミになる話』(フジ)未公開トーク。
『脱力タイムズ』(フジ)銀シャリ橋本&桜井ユキ。
『タモリ倶楽部』(テレ朝)「大学対抗!ストローのズズズ音 解消大作戦」。
『ジロジロ有吉』(TBS)「モデルから逆指名される人気カメコになる方法」。
『あさイチ』(NHK)「プレミアムトーク」に伊藤沙莉。
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【連載】きのうのテレビ(てれびのスキマ)
毎夜ライフワークとしてテレビを観つづけ、テレビに関する著書やコラムを多数執筆する、てれびのスキマによる連載。昨日観た番組とそこで得た気づき、今日観たい番組などを毎日更新で綴る、2020年のテレビ鑑賞記録。
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