海外需要と「あさココ」
2020年以降は、穴場になっていた早朝の3時4時くらいでも配信が行われるようになる。特にホロライブのさくらみこなどは『マインクラフト』『Ark』長時間配信の鬼で、この時間帯においても1万人以上の同接者を集めていた。
日本人の徹夜組ももちろんいるが、この時期になると海外視聴者が増加しているのも大きい。アメリカをはじめ、ロシアや東南アジアや南米圏などの視聴者が増えることで、時間帯をずらしたほうがより見やすくなる状況が出てきた。ホロライブメンバーの配信には英語のほうが日本語より多くなったり、配信者によってはロシア語やタイ語やポルトガル語が飛び交うようになる。
2019年12月29日の朝6時から配信されていた「あさココLIVE」が、VTuberの早朝の空気をガラリと変えた。今は卒業したホロライブの桐生ココが行っていた配信シリーズで、20分間のニュースとして作り込まれた、クオリティが極めて高い定期配信番組だ。CMのコーナーなどもあり、ひとりで作った配信企画とは考えられないレベルのもの。話題性は一瞬で高まり、これは見逃せないと早起きするファン、または徹夜してこれを見てから寝るファンが続出。早朝6時なのに同接数はかなり多かった。
「あさココLIVE」の前にあった数分の人気歌番組、角巻わため「わためのうた」がうまい具合にパス回しになっていた。彼女が毎日歌唱動画を上げるという、これまた凝った、根性のいる内容。
さくらみこの夜ふかし配信を見る→「わためのうた」→「あさココ」→就寝、というドタバタしたスタイルは、かなり楽しい。ファン仲間と共に眠い目をこすって、次はこっちだ!とリアルタイムでフェスのように移動しながら朝を迎えること自体が、思い出深い体験になる。
ゆるいラジオのような朝活タイム
しばらくして、朝活をするVTuberが増えてくる。「おはよう」「行ってらっしゃい」「おやすみ(徹夜明けの人に)」を言いながら見るような状況で行われる配信だ。
夕刻ロベルはトークが得意なVTuber。週中の平日かなりの頻度で、午前10時くらいから雑談配信を行っている。頻度がものすごく高いので、安心して楽しみにできる、午前のゆるいラジオのようなノリだ。
この時間は学生は学校に、社会人は会社に行っている時間。そのため休みの人以外だと主婦層のファンが増える、というVTuberとしてはおもしろい方面への展開を見せている。
神城くれあもほぼ毎日朝8時半からだいたい2時間くらいの朝配信をしているVTuberだ。こちらは朝ごはんタイムの雑談のほか、お天気、占い、今日はなんの日、ニュースと、ワイドショーのようなてんこ盛りの内容を毎日行っている。固定ファンが非常に多く、11月18日に550回を超えるほどに。これを毎日ひとりで準備して回していることが驚きだ。
ニートタイムを楽しむ新機軸
昼食後の午後は比較的穴場だ。この時間帯でしかできない配信を始めたのが、笹木咲だ。
不定期に行われている「不登校にーとらじお。」はタイトルのとおり、ニートや不登校向けに行っている配信。居場所のない人間がのびのびできる空間を作ってしまったのだ。煽るでもなく、慰め合うでもなく、クズだなーとだらり上を向かずニートタイムを楽しむ、というのはなかなか味わえない極上の瞬間。もともと笹木咲が陰の者に寄り添うタイプのキャラクター性だったのもあり、頻度は高くないのだが、貴重な午後の枠として大いにウケた。
ここまでくると「時間重視」から「視聴者ターゲット重視」に視点が動いてくる。誰もが多くの人に見てもらいたいという思いは当然あるが、その時間でしか見られない海外の人、主婦層、学生、ニートと狭くターゲットを絞ることで、おもしろさはより強まっていく。
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