『ラフ&ミュージック』で実現した松本人志と太田光の絡み。220秒に凝縮していた30年弱の因縁(てれびのスキマ)

2021.8.29
ダウンタウン(クイック・ジャパン vol.104)

テレビっ子のライター“てれびのスキマ”が、昨日観た番組を記録する連載「きのうのテレビ」。2020年から毎日欠かさず更新中。

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FNSラフ&ミュージック』第1夜

「本番前、手鏡を見てた」という松本に対するナイナイからのイジリで始まり、すっかり「新人アナウンサー」になっていた竹俣紅や、珍しく緊張したのか「浜崎あゆみ」を噛みまくってしまうザコシショウ、『クセスゴ歌謡祭』で“身内”を一生懸命フォローするかのようにがんばる千鳥など見どころたくさん。

放送前に想像していたよりミュージシャンの割合は少なめ。芸人とミュージシャンのコラボでは、前の時間帯で『MUSIC FAIR』に出てたIMY(山崎育三郎、尾上松也、城田優)がどぶろっくと「大きなイチモツをください」を歌ったのが秀逸だった。独特のタメを使って歌う山崎、ロック調に歌う尾上とそれぞれの特色を出した被せをするなか、城田は「僕は大きなイチモツはいらない♪」と変化球。「サイズは充分なので大きな真珠を授けてください♪」とキャラクターを存分に生かした歌詞に。ピアノやバンド演奏なども本格的で壮大な仕上がりに。何気に森が主役級の役回りだったのもおもしろかった。松本「ちょっと涙出そうに……」。

そんななかで、やはり今回のハイライトはふたつの夢の絡みだろう。

MC陣の生電話で翌日のゲストをブッキングという企画。ノブが本田翼に電話したのを皮切りに、岡村が山田孝之、矢部が蛍原、中居が鶴瓶とつづく。「家や!」というひと言を瞬時に笑いどころと察知して繰り返し、一斉にイジらせる鶴瓶の懐の深さ。この手の企画での圧倒的信頼感がある。

そして、最後に松本の番。まずは鶴瓶に再びかけるというボケをしたあと、「長いことしてないけど……してみようかな」「出ない可能性非常に高いよ」「消されてるかも……」と不安がりながらもかけるとしばらく呼び出し音が流れ、ようやくつながる。

「もしもし……?」「もしもし?」と探り合うふたり。「松本です」「松ちゃんですか?」「久しぶり」「内村です」と松本が電話をかけたのは、盟友・内村光良。どよめく会場に静かに笑う内村。「ごめんな、ウッチャン」「はいはい」「久しぶりに電話して、ちょっとテレビ絡みなのよ」「はい、観てました」と互いに気遣い合うやりとり。「どこで観てるの?」と振ると、「あ、自宅です」と普通に答える内村にずっこける面々。「あ、そうか。ごめんごめん。『家や』か(笑)」。

内村は当日、裏で『イッテQ』をやっているため難しいだろうという話になるも、出られる道を探ろうとする内村に「なんで、そんなに前向きなの……?」と笑う松本。「緊張すんねん、ウッチャンと会うの」。ずっと優しげな内村の声が印象的で、めったに会わずとも30年来の篤い信頼関係があることを窺わせる言葉少なな会話にグッとくる。松本「もし来てくれるなら、お土産としてナンチャン連れてきて(笑)」。

そして、トリに登場したのが爆笑問題。漫才の冒頭で「皆さんね、ひとつだけお願いがあるんですけど、明日はですね、『ワイドナショー』じゃなくて『サンデー・ジャポン』を観てください」「ガキの使いやあらへんで」「太田、動きまーす」「松ちゃん、見てるー?」と、松本を意識したセリフ。それを観て笑う松本の姿が映し出される。漫才が終わると「来るよ、来るよ!」とまわりから囃し立てられ、松本は「絡みたくねぇなあー」と天を仰ぐ。「ずっとこの番組、爆笑問題と俺の絡みで引っ張ってたんやで。めんどいわー(笑)」。

直前に歌を披露した中島美嘉とのトークを挟み、番組開始から実に4時間30分経過した番組最終盤、ついに爆笑問題が松本のいるスタジオに登場。太田がファイティングポーズのような構えを見せると、立ち上がってそれに応じる松本。太田と松本の間にすかさず入る田中と、太田の首根っこを捕まえる中居。見事な連携。「共演NG!」「太田、動きまーす」などと太田が騒ぐのを叩いて制す田中。

「ここでいいんですか?」と席を指差し、そこに机をよじ登って椅子に座ると「太田はこっちちゃうんかい!」と田中を間に挟んで座ることにツッコむ松本。ひと息ついて「ご無沙汰してます」と太田がここでしっかり挨拶すると、「ご無沙汰してます」と松本も返す。もうこのやりとりだけで胸がいっぱいになる。が、太田と松本の本格的な攻防が始まるのはここから。

太田「今の(漫才)何点でしょうか?」
松本「(笑)。中島美嘉さん、まったくわからんかったって」
中居「(※中島に)ちゃんと話したかったよね、俺らと。(※太田に)早いよ、入ってくるの」
太田「入れ、入れって言うから、俺だって入りたくなかったよ、こんなとこ!」
松本「(スタッフが)ざわざわざわざわして」
太田「『ネットが荒れる』っていうから。アハハハハ。大崎さん、ごめんなさい!」
田中「(※太田を叩きながら)いいよ、もう」
矢部「これはどうなんですか? まわりの大人がピリピリしてるだけなんですか?」
太田「知らないですよ、そりゃ。わからないですよね?」
松本「ここの奥さん(太田光代)が俺のツイッターをフォローしてるのよ」
太田「(※手を叩きながら)アッハハハハ」
松本「それの意味もわからなくて、なんか遠回しに威嚇されてんのかなと」
太田「アハハ。いやいや、威嚇したのはそっちでしょ!」
手を叩いて喜ぶ矢部ら。立ち上がって太田を本気で叩く田中。
田中「俺がやっつけますから」
岡村「田中さん、頼む、しっかりしてください」
太田「今日の司会(アナウンサー)の方々はステマやってるんですか?」
田中「やってねえよ! 別の種類のダメなところ言うんじゃねえよ!」
アナウンサー陣「やってませんよ!」
松本「唯一やってない3人」
田中「唯一じゃないでしょ!」
太田「ホントに、緊張しました!」
矢部「後輩とかもここの関係はいろいろ聞きたい」
フット後藤「この3ショットがまずないですもんね」
中居「ナインティナインと松本さんもなかったから」
太田「『チンカス』ですもんね?」
松本「アハハハ(※机に突っ伏す)」
矢部「(自分を指して)『ダウンタウンのチンカス』」
松本「アハ、そうそう、だからダウンタウンはこの場合、『チンコ』ってことやからね」
中島「(笑)」
中居「中島さん、やっとウケた」
(一同拍手)
松本「今の何点ですか?」
太田「ちょっと待ってくれ、『チンコ』で笑うの?」
岡村「ちょっと長くかかりましたもんね、こういう絡みするのも」
松本「うーーーん」
太田「ワイドナショー!」
矢部「めっちゃはしゃいでるやん!」
岡村「ちょっと緊張してますやんか」
太田「楽しくなっちゃって」
松本「絡みたくないねん」
太田「(手を叩いて)アハハハ」

わずか3分40秒の松本と太田の絡み。その220秒に30年弱の因縁が凝縮していてヒリヒリした。『遺書』や『いいとも』での松本の言葉を引用しつつ、「威嚇したのはそっちでしょ!」という決定的な言葉を用いて、ギリギリのラインをちょっとだけでも越えようとする太田の切り込み方には痺れたし、松本の受けや矢部のさりげない引き出し方も見事だった。こういう瞬間があるからたまらない。

もちろん、うまくいってるところもうまくいってないところもあったけど、それも含めて、いかにもフジテレビらしい、フジテレビでしかできないワクワクする生放送だった。

明日観たい番組:『しくじり先生』で「TAIGAのブレイク方法研究」

『激レアさん』(テレ朝)「誰よりも必死に身長をサバ読み続けてきた元プロ野球選手」「普通のサラリーマンなのに、いま中東で一番有名な日本人で王族の皆さんとめっちゃ友達の人」。

『しくじり先生』(テレ朝)「TAIGAのブレイク方法研究」。

『ソウドリ』(TBS)、なすなかにしvsTOKYO COOLvsアントワネットvsカップルノテイ。

『さまぁ~ず論』(テレ朝)に銀シャリ。

『トゲアリトゲナシトゲトゲ』(テレ朝)、キャラ芸人になって子どもウケを狙う夜。

『紙とさまぁ~ず』(テレ東)に小松菜奈。

『徹子の部屋』(テレ朝)にハリセンボン。


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  • 【連載】きのうのテレビ(てれびのスキマ)

    毎夜ライフワークとしてテレビを観つづけ、テレビに関する著書やコラムを多数執筆する、てれびのスキマによる連載。昨日観た番組とそこで得た気づき、今日観たい番組などを毎日更新で綴る、2021年のテレビ鑑賞記録。

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てれびのスキマ

1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。

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