デペッシュ詣
石野 2013年の6月9日、ベルリンオリンピックスタジアムと、その翌々日のライプツィヒ、これに行ったんですよ。「デルタ・マシーン・ツアー」(※23)って言って、『Delta Machine』(2013年)ってアルバムが出たときね。日本だと想像つかないかもしれないけど、特にドイツだとデペッシュ・モードってもう、とてつもない人気があって。で、べルリンに住んでたっていうこともあって、もう自分たちの国のバンドぐらい、「おらがくにのスター」ぐらいの感じがさ──。
瀧 これ、見てください、マーティン・ゴアの欄(パンフレットを見せる)。「一人だけドイツのベルリンに住んでいるマーティン」っていう(笑)。
石野 マーティン・ゴアがボンデージファッションみたいのしてて。もう裸にチェーンだけとかさ。それ見たとき、「お〜、全裸より寒そうな格好ってあるんだな〜」と思ったもん(笑)。
瀧 「金属って何?」っていうね(笑)。
石野 そのころ来日して、『夜のヒットスタジオ』(※24)に出てるんだよね、当時深夜にやってたから。古館伊知郎さんが司会やってるころ。それ、たぶんYouTubeとかであると思うんだけど。で、そのときにライブが終わってスタジオに来るんだけど、マーティン・ゴアの誕生日だったんだよね。当時の日本の歌謡番組ってバンドがいたじゃん。ダン池田とニューブリード(※25)みたいな。で、デペッシュ・モードがスタジオに入ってきて、「マーティンの誕生日です!」ってなったときに、デペッシュ・モードの曲をあのバンドアレンジでやるんだよね(笑)。
瀧 なるほど(笑)。なんの曲?
石野 「A Question of Lust」(1986年)かな。
石野 で、2013年。どうせデペッシュ・モードを観るんだったら、絶対ベルリンがいいなと思って、ベルリンで観たんですけど。オリンピックスタジアムってその名の通りすごいデカいアリーナなんだけど、もう(観客が)びっちりで。ライプツィヒまで追いかけていったっていうね。どこ行っても超満員。しかも、ドイツから始まってワールドツアーをやって、もう1回ドイツに戻ってきて、同じツアーで2回ドイツを回ったりとかするんだよね。
そのあと、2017年に次の「グローバル・スピリット・ツアー」(※26)っていう、『Spirit』(2017年)ってアルバムのときのツアーにも行くんだけど。2017年の6月にそのツアーをベルリンのオリンピックスタジアムで観て、2018年の1月にも同じツアーをベルリンのメルセデスベンツアリーナで観た。同じツアーを2回観たんだよね。でも、内容とかが変わってて。このときにね、デヴィッド・ボウイ(※27)がコンサートの直前に死んで。デペッシュ・モードと同様に、デヴィッド・ボウイとベルリンって縁が深いじゃん。それもあって、最後にアンコールで「“Heroes”」をやったんだよね。
瀧 いい話。俺、お土産もらってるよね。18年のやつかな? これね(Tシャツを見せる)。
石野 基本的にね、行ったら物販は片っ端から全部買うようにしてる(笑)。で、同じツアーを2回行ったわけじゃない。2回目に行ったときは「もう前回買ってるからいいや」ってたかをくくってたんだけど、中身が全部変わってて。このとき、雨が降ったのよ。で、カッパも売ってるのね。それはもう、雨のときのライブじゃないと買えないやつじゃん。
ちなみに、これはコンサートの物販じゃないんだけど、デペッシュ・モードの人形。DEVICEGIRLS(※28)の和田(一基)くんにもらったんだけど。84年ごろのデペッシュ・モードの格好ですよっていう。
瀧 すげえな、これ。カラーコピーみたいなパッケージだけど(笑)。
石野 あと、これとかね(『Violator 』『Ultra』)。最初に紹介した『Speak & Spell』みたいなのから、だんだんもっとヘビーでロックっぽい音になってくんだけど、それがまたね、スタジアム映えするっていうかさ。
瀧 メンバーもえらいことになったりして、っていうのもありつつね(※29)。
石野 そうそう。トラブルみたいなのもあったんだけど、それを乗り越えて、今なおビッグバンドで。そんな感じで、デペッシュ・モードとウチらと──。
瀧 結びつきが深いんですけれどもと。卓球くんね、なんでここまで饒舌かっていうと、デペッシュ・モードもう大好きなんですよ、ほんとに(笑)。
※23 デルタ・マシーン・ツアー(Delta Machine Tour):2013年のアルバム『Delta Machine』のリリースに伴う、2013~2014年に開催されたツアー。全106公演。
※24 夜のヒットスタジオ:1968年から1990年までフジテレビ系列で放送されていた音楽番組。デペッシュ・モードは1986年7月23日に出演して「A Question of Lust」を演奏。当時の放送時間は21:02~22:52。古舘伊知郎は1985~1990年に司会を務めた。
※25 ダン池田とニューブリード:『夜のヒットスタジオ』のハウスバンドとして1969~1985年に演奏。
※26 グローバル・スピリット・ツアー(Global Spirit Tour):2017年のアルバム『Spirit』にのリリースに伴い、2017~2018年に開催されたツアー。全130公演。独ベルリンのオリンピックスタジアムでの公演は2017年6月22日、メルセデスベンツアリーナでの公演は2018年1月17、19日。
※27 デヴィッド・ボウイ:1947年、イギリスのブリクストン生まれのミュージシャン。1976年にドイツ・ベルリンに移住、トニー・ヴィスコンティ、ブライアン・イーノと共に「ベルリン三部作」と呼ばれる『Low』(1977年)、『“Heroes”』(1977年)、『Lodger』(1979年)を制作した。「“Heroes”」はそのころの代表曲。デペッシュ・モードは、1980年にデイヴ・ガーンがジャムセッションで同曲を歌っているのを聴いたヴィンス・クラークが誘って結成された、というエピソードがある。
※28 DEVICEGIRLS:和田一基によるデザインユニット、映像作家、VJの名義。石野卓球がオーガナイズするフェスティバル「WIRE」や石野が行っていたパーティー「STERNE」、電気グルーヴのライブなどで、VJを担当。電気グルーヴ/石野のVJを務めている。
※29 デペッシュ・モードのトラブル:1996年、ヘロインなどのドラッグ中毒だったデイヴ・ガーンが自殺未遂をしたが、リハビリを経て回復。マーティン・ゴアもアルコール依存症だったことを告白している。
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