永野|正田真弘写真室「ラッセンの絵の向こうがわ」第7回

2021.6.4

文・撮影=正田真弘
編集=竹村真奈村上由恵


カメラの前に立ちはだかり、ネタの瞬間ものすごい存在感でエネルギーを放出するお笑い芸人。その姿はまるで気高い山のようだ。敬愛するお笑い芸人の持ちネタをワンシチュエーションで撮り下ろす、フォトグラファー正田真弘による連載「笑いの山脈」。本業はポカリスエット、カロリーメイト、どん兵衛、Netflixなど見たことある広告をいっぱい撮っている人。

毎日のようにニュースから”安全安心”という言葉が聞こえてくる。
優等生を求められているような閉塞感がつづくと、どうだろう。
そろそろ何か叫びたくなる衝動に駆られなくもない。

80年代、僕が小学生のころ。
地元栃木の農協祭りで大声大会が毎年開催されていた。
家から近くの農協の屋上で自由に言いたいことを叫び測定するというもので、
熱量よりほのぼの感が上回ってしまうのだが、僕も1回だけ出場した。
何を叫んだか、忘れてしまったけれど。

「ラッセンが好き。」
これはパンクな名作だと思う。

『永野CHANNEL』(YouTube)を観ていると、
映画音楽談義、アイドル、コントといったコンテンツが広がっていて
90年代に読み漁っていたカルチャー誌のようでどこか心地よい。
ラッセンという扉の向こうに、高円寺から下北、新宿、秋葉原をつなぐ地下迷宮を作り出しているようで
カウンターカルチャーをエンジンに、縦横無尽にトンネルを掘りまくっている
永野さんは僕にとって新発見だった。

扉の前で楽しむか、中に入って迷宮を楽しむか。
僕らの視点の置き方でカルト芸人永野さんを限りなく楽しめる。


永野
1974年生まれ、宮崎県出身。グレープカンパニー所属。1995年、ピン芸人としてデビュー。「孤高のカルト芸人」として名を馳せていたが「ゴッホとピカソに捧げる歌」でブレイク。ブレイク後も「クワバタオハラがおったらそこはもう大阪や」など、一度聞いたら忘れられないネタを生み出しつづけている。


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