今田耕司と江頭2:50、“テレビの裏側”をそれぞれ語る「心の拳銃はとっくに捨てた」「ウソじゃなくて設定」(てれびのスキマ)


テレビっ子のライター“てれびのスキマ”が、昨日観た番組を記録する連載「きのうのテレビ」。2020年から毎日欠かさず更新中。


『あちこちオードリー』

今田耕司、後編。

「よく“ダウンタウンさん病”に誰でも罹るって言うやん。でもあれはテレビ越しに見て、病に罹ったんでしょ。俺、直やからな! 症状強いさぁ!」と若いころを振り返る今田。『爆笑レッドカーペット』のころには、“心の拳銃”は「とっくに東京湾に捨てた」という。

東野と共にウッチャンナンチャンらのMC横を務めた際、心の拳銃は「邪魔なんちゃうか」と思い始め、「しゃしゃり出なあかんときと、しゃしゃり出んでいいときがテレビにはあるらしいぞ」と気づいたと語る。

『たけしの誰でもピカソ』が始まったのは、北野武が50歳のころ。31歳ごろだった今田は「とんでもない緊張感。収録行くたびに毎回リセットされる。ちょっと距離詰めたかなと思っても、次行ったらやっぱ、たけしさんはたけしさん。怖かったけど、好きが勝つ」と振り返る。

そんな今田は「あるときから芸人さんが『怖い』というフレーズを言うようになった。俺らの時代は怖くても、それを言ったらお客さんが引く。怖いって言ったら負け、殺されるだけ」と時代の変化を語る。

確かにそうかもしれない。もしかすると「怖い」を公言し出したのは岡村隆史あたりではないかな?と漠然と思った。

サブ(副調整室/音声や映像などを調整する部屋)は、怒号が飛び交うスタッフの戦場。タレントが足を踏み入れてはいけない場所だと今田は言う。ある日、生放送でサプライズ出演する際、サブで待機したことがあるという。「(サブにいるときの)片岡飛鳥さん、俺の知らない人だった。穏やかなイメージがあったけど…怖かったよぉ……(笑)」。

30歳を過ぎてから、『ダウンタウンのごっつええ感じ』のゲーム企画で、頭の中で描いていることが全然できないことがあった。それをきっかけに、天才肌ではない自分にとって「これから(必要なの)は、もしかしたら体力ちゃうか」と、思い運動(総合格闘技)を始めた。

禁煙を始めたのも芸人の中では早かったそう。「そりゃあ、みんなに笑われたさ。せせら笑われた」と今田。だが、松本も体を鍛え始め、東野もトライアスロンを始めた。また、いまやタバコを吸っている芸人のほうが少ない状況。今田「ほれみい!」。

「そろそろお時間です」というカンペに対し「もうちょっといいですか?」と若林が嘆願し、話をつづけたのが印象的だった。

『567↑8』

ある日の『エガちゃんねる』収録後の江頭2:50。地下駐車場から愛車のプリウスで帰ろうとした刹那、「8ちゃんねる」を名乗るブリーフ団風の男が車にぶつかってくる。そして、車から出てきた江頭をそのまま拉致。いかにも『めちゃイケ』感のある演出。ついに、片岡飛鳥(クレジットでは企画構成)が動き出したとワクワクするオープニング。

番組は、若手ディレクターが撮った企画VTRを江頭が見てコメントしていくという内容。いきなりの状況に「お前らふざけんじゃねえよ。もうそういうのやめようぜ」という江頭に、「江頭さんこそ、そういうのもうやめませんか? ここまでの流れ、全部台本どおりじゃないですか」と8ちゃんねるの面々。

江頭は「ちょっと待ってよ。そういうの言っちゃうの?」と困惑するが、「それを言わないでやることのほうが僕らの世代にとっては古いのかなって。駐車場とかも全部台本どおりじゃないですか」と反論。江頭「ちょっと待てぇ! それ言うなよ!」。

YouTubeでも「ウソ」は絶対ダメだと江頭は語るも、「お言葉を返すようですけど、さっき僕らと一緒にウソを全力でやって……」と言われ、「だからそれはウソじゃなくて、“設定”じゃん……」と弱々しく返す。

そして「テレビの中では、ウソはあってもいいですよね?」ということで最初の企画は「嘘席食堂」。その後もタレントの個性を活かそうという「3時のヒロイン記者会見」、劇団ひとりのフェイクドキュメント「ハイパーハードボイルドひとリポート」など挑戦的な企画がつづく。

出色だったのは、コロナ禍での賞レース「ゼロ-1グランプリ」。司会は遠藤章造と西野未姫。審査員は黒沢かずこ、ハチミツ二郎、松村邦洋、ウエストランド井口、海原はるかというメンツ。

まわりが全乗っかりの中、井口だけが「この大会、なんすか?」と困惑しながら「僕、審査員? 実績も残してないのに」と疑問を呈す。すると「年末にきっちり実績は残していますよ」と遠藤。ハチミツも「厚生労働省が実績認めてるよ」と補足。そう、司会・審査員全員がコロナ感染の判定がpositiveだった経験がある人たちなのだ。

出場者はおいでやすこが、サンシャイン池崎、なかやまきんに君、阿佐ヶ谷姉妹、ひょっこりはん、ハリウッドザコシショウといった、大声や歌声など「音」が重要な芸人たち。だが、飛沫防止の観点からマスクをつけて声を出してはいけないルール。けれど、3人が100点満点をつけたザコシショウを筆頭に、サイレント状態でもおもしろいのがスゴい。

「痺れましたね。今でも痺れてるんですけどね、左手が」など、巧みにコロナをネタにしたコメントをするハチミツも抜群。VTRを観て「羨ましかった。ザコシショウ、ズルくねぇか?」と自らもゼロ-1スタイルでネタを始める江頭。江頭vsザコシショウなんて夢の対決が見たくなった。

「ディレクターとの関係っていろいろあってさ、演者とディレクターには相性があると思うんだよ」「片岡飛鳥は自分を追い込んでくれる」「そういう演者とディレクターの関係、大切にしてって言いたい」などと熱く語り、「ちょっと語り過ぎたかな」と照れ笑いを浮かべる江頭。そんなシーンも新鮮でおもしろかった。


今日のテレビ:『青春高校3年C組』最終回SPなど

『水曜日のダウンタウン』(TBS)みんなの説SP。

『あちこちオードリー』(テレ東)アンミカ&宮下草薙。

『コントミチ・笑う心臓』(日テレ)マヂラブ×ニッポンの社長×空気階段×シソンヌ。

『ハネノバス』(フジ)第2弾。

『青春高校3年C組』(テレ東)最終回SP。

『ヨーロッパ企画のYou宇宙be』(フジ)最終回。

『まんが未知』(テレ朝)スタート。

『TOKIOカケル』(フジ)長瀬智也から最後のメッセージ。


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  • 【連載】きのうのテレビ(てれびのスキマ)

    毎夜ライフワークとしてテレビを観つづけ、テレビに関する著書やコラムを多数執筆する、てれびのスキマによる連載。昨日観た番組とそこで得た気づき、今日観たい番組などを毎日更新で綴る、2020年のテレビ鑑賞記録。

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てれびのスキマ

1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。

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