宮迫vs江頭 どうしてYouTubeで差がついたか(中川淳一郎)

2020.2.19
nakagawajunichiro

文=中川淳一郎 編集=谷地森 創


宮迫博之と江頭2:50、ほぼ同じタイミングでYouTubeチャンネルを開設したふたりのベテラン芸人。江頭が芸人史上最速でチャンネル登録者数100万人を突破するという「伝説」を作る一方、宮迫には「時期尚早」など賛否両論の評価が寄せられている。

なぜ、江頭はここまで愛されるのか。テレビでは人気司会者だった宮迫がなぜYouTubeでは受け入れられないのか。ネットニュース編集者の中川淳一郎が「ネットの風」を読む。

※チャンネル登録者数などは、特記のない限り2月18日9時時点の情報に基づいています。


YouTubeで明暗分かれる宮迫と江頭

雨上がり決死隊・宮迫博之が1月29日にYouTubeチャンネルを開設。2日連続で「急上昇ランク」で1位になるなど幸先のよい滑り出しをした。そのことを宮迫がツイッターで報告。 同日(2月1日)朝、芸人・江頭2:50がYouTubeチャンネルを開設。

初回の動画では、尻の穴に筆を挿入し「エガちゃんねる」と書道するという動画を投稿した。

江頭2:50、YouTubeに参上!【BADASS SAMURAI】

第2回動画冒頭では「チャンネル登録者数1万人を目指す」と言ったが、カジサックが1年間で100万人に到達したことを知ると自身も「100万人を目指す」と宣言。

エガちゃんが公約大発表!「チャンネル登録100万人達成したら・・・」EGA’s pledge

もしも達成できなかったら全身の毛を剃り、達成できたら『『ぷっ』すま』(テレビ朝日系)で共演していた草なぎ剛を番組に呼ぶと宣言した。この動画は240万回再生され、高評価が13万、低評価が700だ。動画のコメント欄には「超久しぶりに涙が出るほど笑った。エガちゃん、ありがとう!(抜粋)」(コメント欄より)といったコメントや激励の声が多数書き込まれている。

江頭2:50、芸人史上最速で100万人突破

そして江頭のチャンネル関連の報道についてはSNSだろうがニュースサイトのコメント欄だろうが5ちゃんねるだろうが好意的な意見が圧倒的に多い。

結果、登録から9日間で、日本の芸人としては史上最速でのチャンネル登録者数100万人を突破。「100万人達成でありがとうの股間大爆破!」という動画も公開。 殺風景な部屋で巨大風船を膨らまし、江頭がそれに押しつぶされて破裂するという内容でこれも拍手喝采となった。

100万人達成でありがとうの股間大爆破!

現在、チャンネル登録者数は、江頭は158万人、宮迫は59.2万人となっている。今後の両者の伸びがどうなるかはわからないが、たぶん、江頭が勝つだろう。


ネットで「なぜか愛される著名人」「なぜか叩かれる著名人」

宮迫は決定的にネットの空気を読めていない。ネット民(あまりこの言葉は好きではないがあえて使う)は、これまで20年以上に及ぶ「マスゴミ」との対決的文脈を経てネットを楽しんでいる。

宮迫がYouTube動画を更新するとネットニュースがその内容について報じるが、かなり叩かれたのが「宮迫『僕はテレビの人間、YouTubeは敵だった』『相方の横に戻りたい』ネットで謝罪動画」(iza)だ。

そして、YouTuberグループ・レペゼン地球と一緒に登場したときは、「司会ばかりしておもしろくない」とネットで文句を言われていることについて宮迫が反論。要旨をまとめると「ひな壇やコントを経験して勝ち上がり司会者ポジションを取った」と言い「なんでわかってくれへんの?」と語った。

【暴露】レペゼン地球の質問にNGなしで答えてたら放送事故に。。。

これを見て「なぜネットの風がわからないのか」と私は思った。もともとネットでは、「なぜか愛される著名人」「なぜか叩かれる著名人」がいる。前者の代表が江頭で、宮迫は後者だと言える。

宮迫が叩かれる理由

当然宮迫を擁護するネット民も多いが、アンチの声のほうが強い状況にある。 なぜか。不倫報道のときに猛烈に叩かれ、反社会勢力への闇営業問題のときにこの評価は決定した。

ざっくりとまとめると「宮迫は不倫のときも『オフホワイト』というよくわからんジョークを飛ばしふざけていた」「闇営業のときは最年長で貧乏な後輩芸人のことを守らなくてはいけないのに、自己の正当化ばかりした」「会見で涙を流していたけど、それも白々しい」といったものである。

正直、こうした批判はよけいなものだと個人的には思う。だが、芸能人というものは人気商売のため、上記動画のように、アンチに対していちいち苛立ちを伝えても仕方がない面がある。

私は「ネットの有名税と無名特権、ダルと志らくはもっとやっちゃえ」というコラムを週刊ポストに書いた。ここでは、匿名の人々が“無名特権”を持っており著名人をボコボコに叩くことに対して「匿名だからって甘えてるんじゃねぇよ。お前ら公の発言に責任を持て」と匿名の誹謗中傷者批判をした。

ただし、ネット民の批判の中にはまっとうなものも多く、上記宮迫の「オレは勝ち上がって今のポジションがある」的発言は正直ダサいし、それを愚痴ってもさらに反発を食らうわけだからよけいなことは言う必要がない、といった指摘をこの記事でしたのだ。

次のページ: 江頭が長年かけて培ってきたネット民との絆


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中川淳一郎

(なかがわ・じゅんいちろう)ネットニュース編集者。1973年東京都出身。1997年博報堂入社、CC局(現PR戦略局)配属。2001年退社。以後無職、ライター、雑誌編集者などを経て現在はウェブメディア中心の編集者に。ひたすらネット上の珍騒動や事件を毎日テキストファイルに記録する生活を長年つづけている。

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