『R-1グランプリ2021』ゆりやんに肉薄したZAZY、痛恨のミスが悔まれる(てれびのスキマ)


昨日観た番組、そこで得た気づきを綴る連載「きのうのテレビ」。2020年から毎日更新中の“てれびのスキマ”によるテレビ鑑賞記録です。


『R-1グランプリ2021』

今年から芸歴10年以下に制限して「ニュースターを作る」と謳った大会だったが、優勝したのは、すでにスターのゆりやんレトリィバァ。やはり豊富な経験値で1枚も2枚も分厚さを感じた。優勝が決まったあとの本気の涙(からの、いつもの変顔)は感動的だった。

そんなゆりやんに肉薄したのがZAZY。最後の最後でフリップを止めるクリップがついたままという痛恨のミス(最後の「そ」がめくられなかったのもミス?)。もしかしたらコンビ芸なら柔軟にそれを笑いにできたかもしれないけれど、さすがに想定外過ぎて今回それを求めるのは酷。ピン芸の難しさを感じた。7点差、つまり7人の審査員ひとり1点分だったので、もしこのミスでそれぞれが「-1点」をつけていたとしたら、と考えると心底悔しいだろうなあ、と思う。

今回、最大の注目だったのは一新された審査員。ザコシショウは、テンガロンハットにメガネにスーツという出で立ちで登場。しっかりとした審査コメントもしていた。が、それだけに時間の都合なのだろうが、審査コメントが最小限に抑えられてしまっていたのが残念だった。やはりこういう大型賞レース番組は、ネタのおもしろさはもちろんだが、審査員がどのような評価をするかが重要。過去の歴史を見ても、審査員コメントやそれへの返答が“物語”を作ってきた。その物語が大会の“熱”となっていたはず。

せっかく胸が躍るような審査員のメンツだったので、よりいっそう、コメントをもっと聞きたかった。慌ただしく進むため余韻もないのも没入度を削がれ、笑いにせよ、番組にせよ、やっぱり間が大事なんだなと改めて思った。司会を務めた霜降り明星をはじめとする関係者たちのラジオなどで、大会の“間”の部分が語られると思うので楽しみ。暫定ボックスのレポーターとして参加したおいでやす小田「わし、いらんやないかい!(笑)」。

『テレビ千鳥』

イニガを生んだ「面白新キャラクターを作ろう」企画に「おっさん芸人応援宣言」と妙な副題が。錦鯉・長谷川、5GAP、TAIGA、アルピー平子というキャスティングに、ノブは「渋い、渋い!」とツッコミ。ひとりだけ毛色が違う平子は「悪意がある」と嘆きつつ、「悪意のキャスティングではあるけれど、そのキャスティングの向こう側に行くから」と意気込む。

テーマは「中年の星となる面白スーパーヒーロー」。だが、長谷川が披露しようとする直前に「ちょっと待ってください」と、大悟がVTRがあると言う。母からの感動的な応援メッセージVTR。そのVTR終わりに幕が開くと、長谷川は「コムサ ザ ボウズ誕生!」と出てくるが、その顔には涙があふれている。

「VTR良過ぎるから泣いとる!」とノブは悶絶し、大悟と一緒に「ごめーん!」と土下座。すると長谷川も正座。3人が正座する画が無性におかしかった。『バナナサンド』の「苦労芸人ネタ自慢大会」の発展版のような展開。「テレビで泣いたのは初めて」「感情には逆らえない」と長谷川。大悟「人ってぐわーってなると、膝から崩れるんですね」。

TAIGAには妻子からのメッセージVTR。当然、「ミスター東京」に扮したTAIGAは号泣。やはり3人正座状態で「涙の量が金スマなのよ」とノブ。

5GAPには大吉からメッセージ。病気で腎臓を父親から移植してもらった話などをし、大吉が「父親から内臓を受け継いだお前が今、ホルモン屋でアルバイトしてるって短編映画にすべき話。君たちの悪い癖は、テレビ慣れしてないところなんです。ただ自分たちを信じて自分たちが劇場で培ってきたものを出せば、カーテンが開いた瞬間、人生が変わると思う」と語っていると、ほかのおじさん芸人たちはもちろん大悟もノブも号泣。幕が開くと「祭りの盆踊りの最中に敵を倒すドンドン松下」と「弟子の便所コウロギ」に扮した5GAPは泣きはらして立ち尽くしている。泣きと笑いが同居し「ドーランの下に涙の喜劇人」という言葉を思い出さずにはいられない。

最後は平子。「笑いで締めましょう」と当然感動VTRが来るものだと思って目いっぱい振った平子だが、平子だけVTRなしというすかし。「森の狩人ジンザ」になって憮然とした表情で登場し、激怒する平子「やったな! 来るところまで来たな!」


今日観たい番組:『でっけぇ風呂場で待ってます』にKOUGU維新&トリプルファイヤー吉田

『しゃべくり007』(日テレ)に綾瀬はるか。

『激レアさん』(テレ朝)は「酔っ払ってネットオークションをしてしまった結果、全くいらない消防車を購入していた人」「親知らずを4本同時に抜いたらめちゃくちゃ腫れた人」。

『しくじり先生』(テレ朝)はマヂカルラブリーの完結編。

『有田ジェネレーション』(TBS)、「有ジェネガールズバー」に錦鯉。

『さまぁ~ず論』(テレ朝)は狩野英孝。

『かまいガチ』(テレ朝)は「サバンナ高橋&ハナコ岡部&女子アナ軍団を巻き込んでサムネ撮影!」。

『スジナシシアター』(TBS)、第1夜・山崎育三郎。

『久保みねヒャダこじらせナイト』(フジ)、「麒麟がくる最終回にこじらせ」「クラブハウス3人でやってみたが」「千葉雄大ミュージカル観て気づいた事」。

『でっけぇ風呂場で待ってます』(日テレ)にKOUGU維新、トリプルファイヤー吉田。



  • 【連載】きのうのテレビ(てれびのスキマ)

    毎夜ライフワークとしてテレビを観つづけ、テレビに関する著書やコラムを多数執筆する、てれびのスキマによる連載。昨日観た番組とそこで得た気づき、今日観たい番組などを毎日更新で綴る、2021年のテレビ鑑賞記録。

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てれびのスキマ

1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。

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